導体性高分子コンデンサ聴き比べ

電解コンデンサは、OS-CONに狙いを定めてから、もっぱらOS-CONのSEPCばかり使ってきましたけど

「はたしてSEPCってそんなに音いいの?」

という疑問が湧いてきたので検証してみました。

検証

一昔前は固体電解コンデンサと言えばOS-CONしかなかったのですが、現在では導体性高分子コンデンサを各社が開発・製造しています。ですので、他社製品も検証してみようというのが今回の記事です。

pcap.jpg

  • Panasonic SEPC 2.5V 2700uF / 10mΩ / σ:0.1
  • ニチコン PLG 2.5V 2700uF / 8mΩ / σ:0.08
  • ニチコン PLG 2.5V 3900uF / 8mΩ / σ:0.08
  • 日本ケミコン PSC 2.5V 2700uF / 8mΩ / σ:0.1

いずれもほとんど同サイズ(φ10mm×12-13mm)でほぼ同性能の導体性高分子コンデンサの大容量低ESR品(8-10mΩ)になります。新しいD級ヘッドホンアンプの電源用コンデンサとして使用しました。

SEPC

これまで数多くのアンプで使用してきました。元々SANYO製で、SANYOがなくなったあとはパナソニックが製造を引き継いでいます。

OS-CONは元々有機半導体コンデンサについた名称で、現在の固体コンデンサ(導体性高分子コンデンサ)のパイオニアとなった技術です。

SPECは高分子コンデンサの中では、大容量・低ESR品になります。

os-con.png

https://industrial.panasonic.com/jp/products/capacitors/polymer-capacitors/os-con

PLG

刻印が「LG」なのでニチコンLGと呼ばれることが多いようですが、以前はLGというシリーズ名だったようですが、現在の正式名はPLGです。刻印はLGになります。高分子コンデンサの中では、SEPCと同様に大容量品に位置します。

nichicon.png

http://www.nichicon.co.jp/products/solid/solid_daia_f.htm

PSC

刻印「C」で型番がAPSCで始まるためAPSCとも呼ばれることがありますが、正式名はPSCです。高分子コンデンサの中では標準品に位置しますが、他社との比較では「大容量品」に相当します。

ni-cemi.png

https://www.chemi-con.co.jp/download/(pdf)

聴き比べ

ソケットを使わず、めずらしくすべてハンダ付けによる検証をしました。*1

PSC >> PLG 3700uF > PLG 2700uF >> SEPC

という具合でした。SEPC音良く無いじゃん!(笑)

PSCやPLGはエージングが進まないと結構酷い音がするのですが、SEPCはその点少し安定している印象でした。

*1 : エージング含め、とても時間かかりました……

追加検証

大容量品ではなく、小型品(φ6.3~8)でも検証してみました。検証回路は異なるものを使用しています。

  • SEPC 6.3V 560uF / 7mΩ
  • SEPC 16V 470uF / 10mΩ
  • PSF 16V 470uF / 10mΩ
  • PSC 6.3V 560uF / 8mΩ
  • PSC 16V 470uF / 10mΩ
  • L8 6.3V 1000uF / 9mΩ
  • S8 6.3V 680uF / 8mΩ

PSFはPSCの低ESR品です。6.3V品が流通していないため、16V品で代用しました。

L8、R8はFPCAPシーリズの1つです。FPCAPは元々富士通が開発・製造していたコンデンサのシリーズですが、現在はニチコンが買い取りニチコンより販売されています。

聴き比べ

PSF 16V > PSC 16V > PSC 6.3V > S8 > L8 > SEPC 16V ≥ SEPC 6.3V

やはりPSCの音質が優れる結果に。そして比べた時のSEPCの音の悪さ(苦笑)

ついでに、HZやMCZなどの高分子ではない従来の低Zコンデンサと比較してみましたが、SEPCより明らかに劣りました。

追加検証2 2021/07/22

KEMET_A750_16V.png

KEMETのA750というタイプの高分子コンデンサを購入したので、追試してみました。

  • PCM2704 DAC Ver2の電源部
  • ヘッドホンアンプの信号部*2

いずれもECPU 0.1uF(フィルムコン)が並列に入っています。*3

  • KEMET A750 16V 470uF / 13mΩ / A750KS477M1CAAE013
  • SEPC 16V 470uF / 10mΩ
  • PSF 16V 470uF / 10mΩ
  • PSC 16V 470uF / 10mΩ

PSF 16V > A750 16V > PSC 16V > SEPC 16V

A750とPSFは僅差です。好みでも変わってくるかと思います。音はたしかに違うのですが、帯域によって得意不得意があるような感じです。

  • 奥行き感や音の綺麗さが良い: PSF 16V
  • 低音が良い(多分): A750 16V

注意として、A750 16V 470uFとPSF 16V 470uFはスペックこそ一緒ですが、A750が直径8mm、PSFが直径10mmとPSFの方が大きく、そしてESR低くなっています。固体コンは、同容量同電圧でも「大きさが大きくなるほどESRが低く性能が良くなる(音が良くなる)」ことが多く、このことからA750が不利な比較とも言えます。

追加検証2-2

同サイズ、同容量、同耐圧と条件を揃えて、A750とPSFを比較しました。

  • A750 6.3V 820uF / A750EM827M0JAAE008
  • PSF 6.3V 820uF / APSF6R3ELL821MF08S

比較結果。

A750 6.3V 820uF > PSF 6.3V 820uF

サイズを揃えてしまえば、A750に軍配が上がるようです。DigikeyやMouserで買いやすいことを考慮すると、これはなかなか良さそうです。

*2 : 低電圧ヘッドホンアンプ Ver3 (op-dbuf3)で言うところのC3/C4相当。

*3 : 並列のフィルムコンを入れないないほうが差が顕著に現れますが、普段からフィルムコンを並列に入れるので普段の状況でテストしました。

まとめ

  • 導体性高分子コンデンサも、種類によって音が違う
  • SPECは音質よくない
  • 低ESRはだいたい正義

これからはKEMETとPSFをメインで使っていこうかなと思っています。

補足

SEPCの性能が悪いわけではないのでそれだけは誤解しないでください。これは性能テストではなくて音質テストです。性能テストならば、もっと全く別の評価をする必要があります。

また空間再現能力を最重要視してテストしていますが、音質に関する要素は人それぞれ好みがあり、ましてコンデンサはオーデオ的な音色の差が出やすい素子ですので、その点はご理解願います。

薄膜チップ抵抗を含めた、抵抗の聴き比べ(音質再評価)

もう9年前になる抵抗の音質を正しく評価するの記事以来、まともに抵抗の音質評価をしていなかったので、古い記事のアップデートも兼ねてチップ抵抗を含めた音質の再評価をしてみました。

抵抗の音質について分かっていること

経験則から以下のことが分かっています。

  • 抵抗の構造や素材によって音質が異なる
  • 電流雑音係数はほとんど影響がない
  • 同シリーズならば、温度係数(ppm)が低いほど音質が良い
  • 同シリーズならば、ワット数(W)が大きいほど音質が良い
    • 今回の結果から必ずしも成り立たないようです。
  • 信号に対して直列に入る要素は影響が大きく、並列に入る要素は影響が小さい(詳細

そしてよくよく考えてみると、音質が良い抵抗は温度係数も低いことが分かっています(ただし逆は必ずしも成り立たない)。

  • 音質の良い金属皮膜抵抗 15~25ppm
  • 無誘導巻線抵抗 20~50ppm(ワット数大きめ)
  • 金属箔抵抗 0.5~2.5ppm

リード抵抗などの音質再評価

比較方法として、D級ヘッドホンアンプのNFB抵抗R3の2KΩを変更して聴き比べてみました。空間再現能力を再優先で評価しています。

pwm-hpa2-main.png

差し替えた直後は音が安定しないので、すべてしばらく鳴らしこんでから試聴しています。

LGMFSA 金属皮膜 / 精度0.4% / 15ppm / 0.6W / 42円

最近のメインです。bispaのLGMFSAをよく使っていますので、これを目安に評価したいと思います。

LGMFS50 金属皮膜 / 精度0.5% / 25ppm / 0.5W / 26円

LGMFSAより安価ですが、音質は劣ります。とはいっても、普通アンプ回路を作るには安価で十分な音質だと思います。0.25W品のLGMFS25は0.5W品より音質が少し劣ります。

Ohmite WNA(無誘導巻線)/ 精度1% / 50-90ppm / 0.5W / 200円

2Kがないので、100Ω(WNA100FET)で比較しました。LGMFSAよりWNAの方が上だと思っていたのですが、空間再現はLGMFSAのほうが明らかに上でした。

同じくOhmite無誘導巻線抵抗のWNC 1K(WNC1K0FET/2W)とも比較してみましたが、同様にLGMFSAのほうが空間再現能力は上でした。ちなみにLGMFSと比べると、Ohmite無誘導巻線のほうが音質は優れています。

ただ、無誘導巻線のほうが音が元気でLGMFSAは良く言えば少しおとなしい感じです。悪く言えばWNAに比べLGMFSAは若干音が曇ります。いわゆる金皮の音といってこれを嫌う人も世の中にはいるようですが、(無誘導巻線と比べて)歪まないからおとなしく感じるだけのような気も。

昔の音質比較で無誘導巻線(NS-2B)は「直結と差が分からない」と書きましたが、現在の再生環境だとWNAに関しては決してそんなことはなく奥行き感が失われます。

MF1/4CC 精度1% / 50ppm / 0.25W / 1円

よくある普通の金属皮膜抵抗です。そこまで悪くはないのですが、LGMFSAと比べると音が平明的でガヤガヤします。*1

カーボン抵抗 精度5% / 50ppm / 0.25W / 1円未満

秋月で購入したどこにでもあるカーボン抵抗です。MF1/4CC以上に音がガヤガヤし平面的な音になります。

チップカーボン 厚膜 / 精度5% / 200ppm / 0.1W / 1円未満

大昔にリールをカットしてもらったもので型番はメモってないのですが、おそらくERJ3GEYJ222Vあたりです。リードカーボン抵抗よりもさらに酷く、のっぺりとした平らな音がします。

ここまでのまとめ

LGMFSA > Ohmite無誘導巻線 > LGMFS50 >> その他

*1 : この抵抗からチップカーボンまで2.2Kを使用しました。

薄膜チップ抵抗の音質評価

一口にチップ抵抗といっても色々ありますが、音質に定評があり値段が高すぎない*2薄膜チップ抵抗をメインに試聴してみました。2012サイズに絞って製品をピックアップしています。なるべく温度係数低いものを中心に選んでいます。

ERA-6A 精度0.1% / 10-25ppm / 0.125W / 64-141円

LGMFSAよりもクリアに鳴り奥行きも良いです。±10ppmより±15ppmが高いという不思議な値段設定になってます。

6ARB(10ppm) > 6APB(15ppm) > 6AEB(25ppm) > LGMFSA(15ppm)

音質は「同シリーズなら温度特性が良いほうが音が良い」という法則通りになりました。

TNPU 精度0.1% / 5ppm / 0.125W / 297円

無誘導巻線抵抗で有名なDale製の薄膜抵抗です。5ppmなのでいいお値段しますが、それだけあってLGMFSAより明瞭。

TNPW 精度0.1% / 15ppm / 0.125W / 106円

TNPUより温度特性は劣りますが、高性能な薄膜抵抗です。しかしながら、音は明瞭さに欠け曇ってしまいます。データシートを読むと素材にセラミックを使用しているようなので、それが原因かも知れません。

RNCF 精度0.01% / 5ppm / 0.125W / 256円

0.01%という高精度で温度特性も優れた抵抗です。しかし、音が少し平面的になってしまいます(奥行きが少し悪化する)。

PLT 精度0.05% / 5ppm / 0.25W / 508円

Vishayの薄膜抵抗です。他と違い定格1/4Wになります。値段にびっくりしますが、音質もびっくり。LGMFSAよりも明らかによく(聴き比べてすぐに分かるレベル)、明瞭で奥行きの優れた音になります。

金属箔抵抗より安いとはいえ、値段が高過ぎるのと250Ωからしか値がないのが難点です。

PATT 精度0.1% / 25ppm / 0.25W / 164円

PLTほどではありませんが、LGMFSAよりクリアで明瞭な音です。125℃対応品。

PAT 精度0.1% / 25ppm / 0.25W / 116円

PATとほぼ同じ性能でこちらは通常温度版でちょっとお安い。しかも音質はPATTより上でPLTにかなり近い音です。PLTがちょっとだけ上という感じ。

値段や抵抗値(PLTは最小が250Ω)を考えたらPAT断然買いです。

RT0805 精度0.1% / 25ppm / 0.125W / 47円

差し替えてしばらくは「おおっ」という感じの音がするのですが、しばらく鳴らしていると音質が悪化してLGMFSAよりも奥行きのない鳴り方になります。風を当てて冷ますと元に戻るので熱の影響のようです。

RN73 精度0.1% / 10ppm / 0.1W / 72円

値段は安いのに大変クリアで明瞭な音がします。LGMFSAより上です。

RR1220 精度0.5% / 25ppm / 0.1W / 13円

LGMFSAより少し明瞭です。慎重に聴き比べないと分からないレベル。

RG2012 精度0.1-0.05% / 10-25ppm / 0.1W / 67-124円

RRは中国製ですが、この2つは日本製。同じ精度のは売ってなかったので、こうなってしまいました。LGMFSAよりクリアに鳴ります。

RG2012N(10ppm) > LGMFSA(15ppm) > RG2012P(25ppm)

RG2012Pは差し替えた瞬間に聴いただけでも平面的な鳴り方でイマイチでした。

2012まとめ

ほとんどがLGMFSAより音質が優れるという意外な結果になりました。

  1. PLT0805 5ppm 508円
  2. PAT0805 25ppm 116円
  3. PATT0805 25ppm 164円
  4. RN73 10ppm 72円
  5. ERA-6ARB 10ppm 131円
  6. TNPU0805 5ppm 297円
  7. ERA-6APB 15ppm 146円
  8. RG2012N 10ppm 124円
  9. ERA-6AEB 25ppm 64円
  10. RR1220P 25ppm 13円(ERA-6AEBとほとんど一緒)
  11. LGMFSA
  12. その他の薄膜チップ

圧倒的な音質はPLT0805とPAT0805です。聴き比べてもすぐに分かるレベルなので、この2つは群を抜いてます。その代わり、PLTはお値段も圧倒的ですが、肉薄する音質のPATなら値段もそこそこ抵抗値も多いのでおすすめ。

RN73以下は順位を2つぐらい飛ばさないと明確な差は分かりにくい感じの群雄割拠状態ですが、それでもRN73シリーズのコストパフォーマンスには驚きです*3。KOAに似た型番の抵抗があるようですが、試聴したのは「TE Connectivity」ですのでご注意ください。

更にコスパを求めるなら、RR1220Pの25ppmでも良いとは思います。

*2 : 音質に定評のあるチップ金属箔抵抗は高すぎるので対象から外しました。

*3 : 記事書いてるうちに50円から72円に値上げ(苦笑)

1608薄膜チップ抵抗の音質評価

スルーホール抵抗(リード抵抗)では同シリーズならワット数の大きいものが音が良いことが多いのですが、チップ抵抗ではどうなるのか検証してみしまた。

PATT0603 精度0.1% / 25ppm / 0.15W / 162円

ほぼ同じ音ですが、少しだけ1608サイズの方が上でした。

PAT0603 精度0.1% / 25ppm / 0.15W / 111円

明らかに1608サイズの方が上でした。

RR0816P 精度0.5% / 25ppm / 0.063W / 12円

差が微妙なのですが、何度試聴しても何時間かエージングしても2012サイズのほうが音が良い印象でした。

RG1608N 精度0.05% / 10ppm / 0.1W / 106円

ほとんど差がないけども、RG1608Nのほうがいいのかな?ぐらいでした。

ERA-3ARB 精度0.1% / 10ppm / 0.1W / 122円

明らかに1608サイズのほうか音質が上でした。

RP73 精度0.1% / 25ppm / 0.167W / 71円

同一品種や同一仕様がなかったので同一メーカー比較です。RP73の音が悪かったです。というかそもそも、LGMFSAより音悪かった(苦笑)。1608唯一の無かったことに。

RNCS0603 精度0.1% / 25ppm / 0.063W / 60円

同一メーカーですが物は全然違います(苦笑)。RNCFの高精度抵抗は音悪かったので、RNCSが上でした。

AT0603 精度0.1% / 25ppm / 0.1W / 51円

安いので買ってみたのですが、刺した瞬間「これは格が違いそう」という音がしまして、案の定エージングが進めば進むほどどんどん音質が向上していきました。とても優れた空間再現能力です。

MCT06030 精度1% / 50ppm / 0.125W / 20円

追試。1608サイズを網羅すべく買ってみたのですが、50ppmということもあるのか、LGMFSAより音質が劣りました。

RT0603 精度0.5% / 25ppm / 0.1W / 26円

追試。AT0603は自動車向けなので、通常品を買ってみました。他の抵抗は、自動車向けのほうが音質悪いので。この抵抗も、通常品の方が音が良かった。

RT0805の音が悪かったので1608版は買わなかったのですが、最初から買っておけばよかった。こんなに音が違うとは……。*4

RT0603 精度0.1% / 10ppm / 0.1W / 76円

追試。10ppm版です。25ppm版より音いいけど、他の抵抗のppmの差ほど音質差はないイメージです。

VKMF1608 精度0.5% / 25ppm / 0.0625W / 10円

追試。Bispaのオリジナル抵抗VMFKです。RG1608Nよりは上ですね。比べると、RG1608はややどんよりした音に聞こえます。

1608まとめ

  1. RT0603 10ppm 76円
  2. RT0603 25ppm 26円
  3. AT0603 25ppm 51円
  4. ERA-3ARB 10ppm 122円
  5. PAT0603 25ppm 111円
  6. PATT0603 25ppm 162円
  7. VKMF1608 25ppm 10円
  8. RG1608N 10ppm 106円
  9. RNCS0603 25ppm 60円
  10. LGMFSA
  11. その他(RR含む)

上位5つはどれを選んでもかなり良いです。その5つの中でも、追試したRT0603の2種と、その下3つは結構はっきりとした差があります。RT0603は他の抵抗と違い、10ppmと25ppmの音質差が非常に小さく、値段を考えると25ppmで十分だと思います。

2012サイズのERA-6ARBはそこまででもなっかたのですが、ERA-3ARBは圧倒的でした。でもエージングが進んでAT0603がそれを追い越してしまいました(笑)

PATT0603とVKMF1608間にそれなりに差があります。

*4 : AT0603を約1万円分注文してしまったんですが困った(苦笑)

おすすめ抵抗ランキング

  1. (1608)RT0603 0.1% / 10ppm / 0.1W / 76円 / 5~330KΩ
  2. (1608)RT0603 0.5% / 25ppm / 0.1W / 26円 / 2~1MΩ
  3. (2012)PLT0805 0.05% / 5ppm / 0.25W / 508円 / 250~260KΩ
  4. (1608)ERA-3ARB 0.1% / 10ppm / 0.1W / 122円 / 1K~100KΩ

RT0603は値も在庫も比較的豊富で、仕様上では1Ω~1MΩまで存在します。温度係数による音質差がそこまでではないので、通常は25ppmで十分だと思います。

一部に人気のススムの抵抗ですが、それより安くて音の良い抵抗がたくさんあるので買う理由が全くありません。

  • リード品:LGMFSA 0.4% / 15ppm / 0.6W / 42円

値段を考えても大きさ*5を考えても音質面でもLGMFSA以外を選択する理由がほとんどありません。抵抗値が10~1MΩまで揃っているのもありがたいです。

注意

抵抗には同じシリーズでも細かい型番で温度特性(音質)が異なるものが存在します。温度特性をよく確認してから購入してください。

*5 : いわゆる1/4W抵抗サイズ

まとめ

  • 薄膜チップ抵抗はだいたい音質が良い。
  • 薄膜チップ抵抗も同一シリーズならば温度特性が良いほど音質が良い
  • 抵抗値の精度は音質に影響しない。
  • リード抵抗のときに微妙だったススムRGとRRは、予想通り大したことない。
  • 薄膜チップ抵抗はサイズが小さいほど音が良くなる傾向がある。*6

何度も書きますが同シリーズでも温度特性が異なる抵抗は音質が別物です。聴き比べる際は特に注意してください。

後日、RT0603を10~47KΩで揃えて長年常用しています。

*6 : ちなみにRN73の100Ω/10ppmで2012と1005の比較をしたところ、後者のほう明らかに良かったです。

1005サイズの追試 2023/01/06

何年も経ってしまいましたが、RT0603とRT0402で比較してみました。同一アンプの入力抵抗として、同じ10KΩを左右で変えての比較。

サイズ以外同一スペックです。予想通り、RT0402(1005サイズ)のほうが良い音でした。1005サイズは手付けが少々面倒なのと、そこまで大きな差ではないので、通常使う分には1608で十分かと思います。

抵抗体が変わってるとは思えないので、抵抗体そのものより、外装(抵抗体を貼り付けているベース)の影響が大きいのかもしれませんね。リード抵抗とかでも、被膜の影響大きいとききますし。

参考

高音質アッテネータ①抵抗の音 : 通電してみんべ
薄膜チップ抵抗、金属箔抵抗などの音質評価をしている貴重なブログです。1608サイズのほうが音が良いという貴重な発見をされています。

2011/02/21(月)ECPU 0.1uFとECHU 0.1uFとカップリングコンデンサ

某DACのオペアンプを載せ替えて色々遊んでいたのですが、DACの音が向上してきたためTPA1517アンプ(加筆済)で音質比較するのが厳しくなってきました。そこでキット版より音が悪いユニバーサル基板回路をあれこれ改修してたのですが、分かったことを少しまとめておきます。

TPA1517アンプの回路図

tpa1517amp.png

  • C1はMuse FGの2200uF/16Vを使用しています。
  • C5/C6はECPU 1uFです。

フィルムコンの解説

いずれもパナソニック製チップフィルムコンデンサ。

  • ECPU 高性能フィルムコンデンサ。素材はプラスチック(PS)。素材が同じではないけど、音は昔あったスチコン(プラスチックコンデンサの1種)の現代版と思って問題ないかも。
    • ECPU 0.1uF/16V : 2012サイズ。50円ぐらい。
    • ECPU 1uF/16V : 3225サイズ。100円ぐらい。
  • ECHU 超高性能フィルムコンデンサ。どうすごいのかはメーカー解説を参照してもらうとして、感覚としてはECPUよりワンランク上。素材はプラスチックの一種でポリフェニレンサルファイド(PPS)と言うらしい。音で言うとずば抜けた低ひずみ。
    • ECHU 100~2700pF/16V : 1608サイズ。LPFに重宝。50円ぐらい。
    • ECHU 0.1uF/16V : 3225サイズ。100円ぐらい。

パスコンで音が変わるか

C3,C4にECPU 0.1uFでパスコンを打ちました。0.1uFのパスコンは昔から非常によくやられますが、それほど効果があるのか疑問でした。結果明らかに音がよくなりました。

3端子レギュレータ1次側にも10uF/1uF/0.1uFの積セラを入れたのですが、この部分だけ単独で試さなかったため効果は未確認。多少は効果あると思います。*1

*1 : 音がキンキンしてしまうので、2次側に積セラは厳禁。

カップリングコンにパラ挿入

個人的にはカップリングコンを全く使わないのであまり知らなかったのですが、電解コンデンサなどのカップリングコンに「ECPU 0.1uF」などをパラ挿入すると音質が大きく改善します。(電解コンはどうしても高域が苦手/固体コン除く)

ECPU 1uFにも同じことができるという話を耳にし、C5,C6のECPU 1uFと並列にECPU 0.1uFを付けたところ、明らかに音質が改善しました。

ECPU 1uFはフィルムコンデンサでもともと(電解と比較して)高周波特性が優れます。そこに0.1uFを付けて変わるものかと半信半疑でしたが、かなり驚きました。0.1uFがちょうどいいかは分かりませんが、0.01uFでは改善効果は弱くダメでした。

ECHU 0.1uFを使ってみる

ECHUの100pF/330pFはDACのLPFで使用して、知っている小容量フィルムコンの中で一番音質が優れていることは実感していました。容量が大きいとどうなるのか興味が湧いてECHU 0.1uFを購入してたものの何ヶ月も放置されていました。

C5,C6につけてあるECPU 0.1uFのうち、C5だけECHU 0.1uFに交換してみました。音声信号ラインとはいえたった1箇所です。差はハッキリと現れました。音がおとなしく丸くなったような感じです。

正直期待はずれかと思いましたが、さらに念入りに比較していると面白いことが分かってきました。

  • ECHU 0.1uFのほうが音のまざりが少ない
  • ECHU 0.1uFのほうが音の空間上の位置がよく分かる(演奏場所の奥行きまで分かる)

LT1037ACNを使ってる時も感じることなのですが、ボーカルなどの張りが消える傾向があります。だから聴きなれた音と比べると若干違和感があったりするのですが、聴き馴染んでくるとこの音の良さが分かってきました。

まとめ

  • 0.1uFのフィルムコンでパスコンを打つと音がよくなる。
  • カップリングコンにも同じことができる。
  • ECHU 0.1uFの性能は恐ろしい(笑)

こんな話をしたら早速「ECHU 0.1uFはちょっとなあ……。ECPU 0.1uFのほうがいい」というツッコミが来ました(苦笑)

何をもって音が良いとするかは人それぞれですが、このブログでは一貫して

複数の音が混ざらないことを最優先する

ので(苦笑)*2*3

ECHU 0.1uFに変更したときもう1つ感じたことがあって、それは「わずかに音が小さくなった」ということでした。経験則として、ボリュームをいじってないのに音が小さく感じたときは大抵複数の音が混ざらない方向に進んでます(ハイ上がり等で帯域バランスが狂ってない限り)。

ECHU 0.1uFよかったらお試しください(苦笑)。でも入手が面倒*4なので何がなんでも試す必要はないし、そこまでするものでもありません。ECPU 0.1uFで通常は十分すぎます(^^;*5

*2 : 結局のところ、ほとんどの音質劣化の原因は複雑な帯域が織り成す混変調じゃないかと思っている。

*3 : 思うにECHUやLT1037ACNといった部品を活かすにはそれなりの回路が必要で、部品の組み合わせや回路によっては別の選択をしてある程度音作りをしたほうが好まれそう。

*4 : 聞いた話では50V品は若松にあるらしい……。大きすぎる気もするけど。

*5 : そういえば、色々とチューニングをしてるとサイトの方向性とは違うけどこれはすごくウケが良さそうだって音に出会うことが多くて(苦笑)。最近はなるべく「こう変更すると好きな人は多いかも」と書くようにしています。

最新情報 2011/07/28

その後、TPA1517アンプTPA3110D2 D級アンプの比較試聴の為に色々やっていたらもっと良くする方法が見つかりました。

  • ECHU 0.1uF + ECHU 0.01uF + ECHU 0.001uF(=1nF=1000pF)
  • ECPU 0.1uF + ECHU 0.01uF + ECHU 0.001uF(=1nF=1000pF)

ECPU 0.1uFとECHU 0.1uFは単体ではECHUの音が良いですが、更に 0.01u + 0.001u をつけるならどちらでもさほど変わりませんでした。「ECHU 0.1uF」は3225サイズと大きくて邪魔なので後者の組み合わせが使いやすいと思います。

試した場所は以下の2パターンです。

  • 入力カップリングコンデンサ(hot側/cold側)
  • 電源のデカップリングコンデンサ(Vcom等の中点含む)

どちらの場合も、「ECHU/ECPU 0.1uF」「ECHU 0.01uF」「ECHU 0.001uF」のいずれか1つだけ付けた場合も、いずれか1つだけ外した場合も、すべてのケースで聞いて分かる差がありました*6


電解コン(OS-CON)だけで何もついてないところに「ECPU 0.1uF + ECHU 0.01uF + ECHU 0.001uF」をつけるのと、回路や主要部品が変わったかのような劇的な変化を生みます。もっともお値段も3つで100~150円ぐらいしますけど(^^;

今後はこの3つのフィルムコンの組み合わせをベースに色々つくろうと思いました。

*6 : ちなみにECHU 100pFも試しました。差は認められるものの0.1uF~0.001uFの3つに比べると大したことはないという感じです。

2009/12/13(日)STAXを聞いてきた

この休みに友人宅にてSTAXを聞いてきました。コンデンサ型ヘッドホンという奴です。昔は、耳そばで高電圧とかどうなの? とか言ってたし、店頭で聞いた限りはどこが良いのかさっぱり分からないという感じでした。

静かな部屋で、ある程度まともな再生装置を使ってきいてみるとまるで印象が違います。最初の印象は「静かでパッとしない音」ですが、聞き込んでみると圧倒的に濁らない音だということがだんだん分かってきました。それプラス5線式(6線式)の影響で定位感が極めていい。*1

人によって好みは激しく別れるところでしょうが、高域は控えめでものすごく澄んだ音。STAXではない他のどんなヘッドホンとも根本的に違う音がします。ものすごく自然で素朴な音です。あんまり聞いてるとハマりそうだったので途中で聞くの逃げた(笑)

STAXに対する評価ががらりと変わった一日でした。エントリーモデルのようでしたが、上位モデルとかいったいどんな音がするのやら。とりあえず手元の適当なヘッドホンを4線式に改造して定位だけでも対抗してみたくなりました(苦笑)

*1 : 定位場所は脳内定位なのでそういう意味ではオーテクのそれと似ているのですが、出てる音はまるで違います。

ボリュームの聴き比べ

はてブ数 2009/05/21電子::オーディオ
volume_sounde-test.jpg

右から、アルプス電気RK09L(4)、RK27(3)、マルツRD925G(2)、R1610G(1)です。聞き比べのリファレンスとしては東京光音2CP601を使用しました。

東京光音2CP601

もはや言わずと知れた高音質なボリューム。CP2500とかに比べるとエントリーモデルのようにも取れますが、抵抗板に導電性プラスティックを使用したボリューム。ハンダ付けで熱をかけすぎてはダメだったり扱いが厄介な面はあるものの、濁りのないクリアな音質。

今回のリファレンス(基準)です。元々以前のコミケで視聴した方に教えていただいたもの。昔は1890円でいくつか買いこみましたが、値上がりして2500円になってからは買ってません。

アルプス電気RK09L

アルプス電気のミニボリューム。日本製品では比較的よく使われるボリュームです。

秋月や千石で100円ぐらいで売られている可変抵抗よりマシな音だと思いますが、結構がやがやして抵抗独特の音質劣化が感じられます。

アルプス電気RK27

アルプス電気の定番なボリューム。通称ミニデテント。800~900円。

比べなければかなり優秀な音ですが、2CP601と比べるとややガヤ付きます。抵抗独特の歪みがあり、比べてしまうと「うーん」。でも優秀なのはたしかで、値段も安価なことから自作派の定番品となっています。

マルツRD925G

マルツオリジナルの2連ボリューム。1個210円。なぜマルツオリジナル(?)かと言うと、Linkmanというメーカーで調べてたどり着く会社がマルツとほぼ一緒のようなので*1

9mm幅でRK09Lとほとんど同じサイズ。どうせ安物……と思ったのですが、聴いてびっくり。2CP601とほぼ同じ音質。ええっ!? と思ってよくよくボリュームの軸を動かして見るとなめらか。カーボン抵抗独特のガリガリが無いのでカーボン抵抗じゃないのかも知れない。

今度余分を購入したら分解してみます。

*1 : しかも、Linkmanに登録するとPDF参照時にマルツの通販サイトに飛ばされるという(笑)

マルツR1610G

秋月や千石で売っている安物ボリュームとほとんど同じ見た目の157円。抵抗板はおそらくRD925Gと同じ素材。

これまたびっくりの音質で2CP601とほぼ同じか、2CP601より若干いいんじゃないかって感じの音がします。これ絶対見た目で損してるなあ。売り方も、音質とか精度とか色々書けばいいのに(笑)

まとめ

音質で並べると、次のような印象です。図中「≒」とは書きましたが、左側の方が若干音質が良いように感じます。

R1610G > RD925G ≒ 2CP601 >> RK27 >>> RK09L

マルツオリジナルの2品に関しては、この値段でこの音質を出されるとショックですね。今後、高い2CP601を買わなくて済みそうなので、嬉しいといえば嬉しいのですが(苦笑)

メモ

  • 「マルツR1610G」と「Bispa R1610G」はほぼ同じ音質です。
  • 「マルツRD925G」と「Bispa RD925G / BSP92FG5(FG付)」はほぼ同じ音質です。

キットではBispa製ボリュームを使用しています。

分解してみた 2009/05/29

vr-dis.jpg

左がR1610G、右が安物ボリューム。外見が同じだけあって、どちらもよく似た構造。試しに抵抗板だけ交換して聞いてみたところ、やっぱり音質の要は抵抗板にある模様です。左の方が綺麗に塗られてはいますが、材質も似たように見えますし、そんなに変わるものかと不思議に思いますね。