ショトキーバリアダイオード(SBD)で音は変わるか?

はてブ数 2006/11/05電子::アンプ

ACアダプタ電源の改造

現在調整中の新たに作ったディスクリート電流帰還(電流駆動)アンプ。電源に10.5V 600mAなんていうしょぼいACアダプタを使ってます*1。他になかったんでたまたまこれを使ってるんですが、ふとみるとアダプタが普通のネジ止めタイプでして分解できる。内部の整流ブリッジをSBD(ショットキーバリアダイオード*2)に変更して、ついでに電解コンも手元に余ってたMUSE FG 1000uFに変更してみました。

このアンプの電源部分は、ACアダプタ電源を10Ω+1000uFのOSコンで平滑して、12V3端子レギュレーター経由でMUSE KZ 1000uFという構成。徹底的に平滑してレギュレーターかましてますから、そんなんダイオード変更したぐらいで大して音なんて変わらないよな……と思ってました。

結論から言うと「何これ!? 無茶苦茶音が綺麗じゃん!」。音のクリアさというかなめらかさというか到底同じアンプとは思えません。音のSNが異様なほど向上したという感じです。コンデンサ交換は経験上あまりSNとは関係ないので、SBDの恩恵のようです。正直ここまで音が変わるとは思ってませんでした。

他の要因もあるかもしれないと、試しにTA2020の電源として使ってみたのですが、これまた音が変化。ただでさえ綺麗(クリア)なTA2020の音がより一層クリアになりました。これはすごい効果です。電源の重要性、分かっていたくせに正直侮ってました。すごすぎます。

注意

通常の整流ダイオード(電圧降下0.7V前後)をSBD(電圧降下0.3V前後)に変更することで、電圧降下が少なくなり約1Vほど電源電圧が上昇します。

参考

*1 : 使用時出力電圧14V前後

*2 : 通常のダイオードに比べ整流時にノイズが少ないと言われている

2006/10/12(木)PCスピーカー(電流出力アンプ)の調整

この前の続き。中音がうるさいきで、中にフェルト吸音材を入れてみました。音がかなりクリアになりました。つまり中音の厚みが減ったので若干ドンシャリ気味。これ以上電圧帰還率を上げられないので、後日、さらに小さい電流帰還抵抗(0.2Ω or 0.22Ω)を買ってきて調整します。

ついでにF特を取ってみました。

ftsu_pc_speaker_curamp_fft.gif

箱が箱だから仕方ないですけど、下が思ったほど出てないですね。聴覚上は上も下もあまり不足なくて出てるんですけど(100Hzから下のベースの音などは別として)、こんなもんでしょう。周波数特性的にはあまり褒められませんけど、音はいいですよ音は。

調整後 2006/10/23

0.20Ωに変更してみました。中域に厚みが出てきまして、かなり良くなりました。しかしこれはもうすごすぎます。なにがすごいかって(作って)音を聴いてくれとしか言いようがないのですが、音の立ち上がりというものがここまで聴覚上の差として現れるとは思いませんでした。音を再生しておいて、あまりに自然な鳴り方にびっくりするんですよ。「えっこれ、本当にスピーカーから鳴ってるの?」って。自然に音が広がってユニットの存在を忘れさせるんです。

部屋にはSunsui D907 Limitedもありますし、(それと比べると)スピーカーボックスの大きさからして100Hz以下の低音だけはどうにも出ませんが*1、ドラムやピアノのアタック音の自然さや高域のなんとも言えない伸びは帯域500kHzを持つサンスイアンプをもってしてもあと一歩敵いません。コンデンサエージングも進んだのか非常にクリアな音で、電源は1アンペアも取れないようなACアダプタなのにも関わらず駆動力に全く不足を感じません。

コンデンサこそ音響用ですが、抵抗やボリュームは音響用でない安物でこの状態ですからね。ディスクリート電流出力アンプ、ますます楽しみです。

*1 : アンプのせいででないのではなく、F通の箱をそのまま使っているから出ないだけ

2006/10/09(月)いい音って??

音の要素

例えばそこにスピーカーとアンプがあったとして。なにが一番重要なんだろう。

よくスピーカーやアンプの性能で出てくるF特(周波数特性)というのは周波数ごとの音の強さ(音量)を表したもので、たしかにフラットであるに越したことはないんだけど、それだけに捕らわれると音の本質を見失ってしまいます。F特というのは(回路系でいうところの)定常状態の特性しか表していません。

まず重要なものとして位相というものがあります。簡単に言えば音がなってから左右の耳に到達するまでの時間差のことです。これについては周波数特性表で表せます。これがずれていると、音の定位というものが定まらなくなります。生録が一番分かりやすいのですが、ボーカルがぴったり中央にこなければ狂っています。2way、3wayではクロスオーバー付近で大幅に位相が狂うので、どうしても不利になります*1

そして大切なのが、音の立ち上がりと立ち下がりのようです。これは回路系でいうところの過渡応答に相当するのですが、この辺の鈍さは音の臨場感(生っぽさ)に関係あるような気がします。電流出力方式が絶対的に有利なところですね。*2

例えば、録音したヴォーカルやピアノ、オーケストラが、あたかもそこで鳴っているように聞こえたら、多少F特なりが悪かろうとそれがいいように思うんですよね。しかし、最近よく思うのですがピアノの音をリアルにならすのって並大抵のことではないようです。

仮説

スピーカーって楽器だよなぁーと思うんですよね。だから押さえつけて演奏させるよりは、箱をまるでノドのように鳴らしてあげる方がいいんじゃないかと。

*1 : バスレフ等は低音しか出さないので(低音しかださなければ)、多少遅れますが中域ほど位相は関係なくなります。例えば300Hzならば、1波形が1m以上あるわけで相対的に位相の影響をうけにくい。

*2 : あとはよく言われるトランジスタ(アンプ)の歪み。これは鬼門です。負帰還(NFB)をかければみかけの歪み特性はいくらでも改善するのですが……、どうもそういうものではなように思います。A級アンプとB級アンプの越えられない壁はこの歪みなのかも。

2006/10/08(日)スピーカーの調整

リプトン vs ガラスウール

この前いじったダブルバスレフスピーカーを再度調整してました。吸音材としてさらにリプトンを2つ追加したのですが、高域が死んだように感じたので(背圧増加?)今度は抜いてみたり、スピーカーと反対の面にガラスウールを再度詰めてみたりと色々。

一日がかりでいじってましたが、難しいです。とりあえずわかったこととしては、スピーカーユニットから直線と反射を繰り返して再度ユニットに戻るルートがあると反射音が出てしまうようでした。グラスウールは吸音すがある程度は反射してまいます*1。反射面を無効化する吸音材よりも、反射路遮断してしまうリプトンテトラパックの方が優秀でした*2。あと吸音材入れると低音の量感も減ります。

*1 : 厚みにもよる

*2 : ただテトラパックでは完全に反射路を遮断しきれない

PCスピーカーその後

……ボリューム崩壊のため死亡。参った(この辺じゃ2連ボリュームなんて手に入らないし……

2006/10/01(日)スピーカーユニットまとめ

スピーカーパラメーターでよく聞くQ(or Qo or Qts)が直感的によく分からないので、色々調べてみました。間違ってたら訂正お願いします。

スピーカーユニットのダンピング

ダンピング([e2j:damping])というのはすなわち制動能力のことで、よく聞くオーバーダンピングというのはスピーカーユニットの機械的/電気的制動が効きすぎるものとなります。次のグラフはspedを用いてユニットの特性をプロットさせたものです。

unit_q_fe103e.gif

unit_q_fe83e.gif

回路のLC共振などを勉強した人は共振の尖度Qを学んだことがあると思いますが、機械系の制御も結局同じレベルで共振を論じることができます。スピーカーコーンの共振についての話がユニットのQであるわけです。FE103Eは、Qtsが0.36と異様に低く裾が広い共振インピーダンスを持っていることが分かります。

  • Qtsが低すぎて(オーバーダンピング。上図FE103E)で低音が出ないというのは、ユニットの機械的/電気的制動が強すぎるために*1、低域でのインピーダンス上昇が起こり低音が出ないということです。
  • Qtsが高い(FE83E)ということは、低域での大きなインピーダンス上昇がおきないということです(ただしインピーダンス上昇の山は鋭くなります)。

つまり、ユニットの低域の再生限界には2種類があって、1つは低域共振でのインピーダンス上昇による音圧の低下。これは能率の悪い、重たいコーンをもつユニットを用いることで解決することができます。もう1つはユニットが小さいことによる空気の空振り現象による限界。後者はユニット(ホーン)の面積が大きくすることで解決することができます。

しかしながら、重たいコーンなどのユニットは電気信号をあたえてから実際に音として現れるまで(定常状態に落ち着くまで)若干のタイムラグがあります*2。立ち上がりの悪い音になるでしょう。

参考文献

*1 : ダンパーのバネとしての能力(電気のLに相当)やダッシュポットとしての能力(電気のCに相当)が大きいということです(Qms)。Qtsには電気的なダンピングも含まれます(Qes)。

*2 : 重たい重りの付いた振り子と、軽い重りの付いた振り子を、手で押して同じ周期で揺らすことを想像すれば分かると思います

アンプのダンピングファクター

アンプのダンピングファクター(DF)というのもありまして、これまた制動を表す値です。こちらは比較的簡単に調べることができ、「ユニットのインピーダンス÷アンプの出力抵抗=DF」です。この値が大きいほど電磁制動がかかります。

電磁制動というのは何かと言うと、ユニット両端を解放したときに(DF=0)ユニットを軽く手で押すと簡単に動きますが(コーンに傷を付けないように注意してください)、ユニット両端をショートした状態(DF=∞)では押す力に対して反動があります。これが電磁制動です。*3

  • ダンピングファクターは、主にアンプの負帰還(NFB)よって発生する。*4
  • DFには、Qts(Qes)をDFで割る効果がある(制動能力がDF倍される)。
  • DFが低い(1や1以下)と、低音の制動が効かず、自由振動の分、出力音圧が増した感じになる(悪く言えば低音がボン付く)。

現在の世の中の設計思想としては、アンプ側はDFを高く(制動力を強く)、ユニット側はQtsを高く(制動力を低く)のようです。

NFBがかけると音が悪くなることについて

理論的な根拠は示せませんが、NFBが強くかかると音が元気ではなくなり、平明的な鳴り方になるなどと言われます。色々と言われてることを集めてみると、だいたい1つに集約されます。DFが大きすぎると過制動となり、音の立ち上がりが悪くなる。どうもユニットが自由に振動できなすぎて、結果的に波形追従性が失われているようです。

参考文献。ダンピングファクター(DF)とスピーカーの固有振動と制動について

*3 : もっと理論的に詳しく知りたい人は電磁気学を勉強してください。

*4 : NFBをかけないときのDF×負帰還量(倍)=DF×10^(負帰還量(dB)/20)

オーバーダンピングユニットにぴったりの方式

書いていて思ったのですが、

オーバーダンピングで低音が出ないというのは、制動が強すぎるために低域でのインピーダンス上昇が起こり低音が出ない

ということは、まさに探し求めていた(?)電流出力アンプ向けのユニットということではないですか。電流出力アンプでは、(電圧が十分にあれば)インピーダンス上昇による低域や高域の減衰は無視できますし、電圧出力とは比較にならないほど優れた立ち上がり特性を得ることができます。唯一にして最大の欠点は、電磁制動がまったく効かないこと(DF≒0)と、それによるユニット共振周波数(fo)での音圧の上昇です。

オーバーダンピング(Qtsが低い、軽量コーンで磁気回路が強力な)ユニットというのはDFが大きくても機械的制動が期待出来るユニットです。このユニットをなるべく背圧がかからない(Qtsが上昇しない)ようなエンクロージャ(箱)に納めれば、電流出力アンプと互いの欠点を相殺しあって非常に良い結果になりそうです。……いつか試してみます。