2009/12/13(日)STAXを聞いてきた

この休みに友人宅にてSTAXを聞いてきました。コンデンサ型ヘッドホンという奴です。昔は、耳そばで高電圧とかどうなの? とか言ってたし、店頭で聞いた限りはどこが良いのかさっぱり分からないという感じでした。

静かな部屋で、ある程度まともな再生装置を使ってきいてみるとまるで印象が違います。最初の印象は「静かでパッとしない音」ですが、聞き込んでみると圧倒的に濁らない音だということがだんだん分かってきました。それプラス5線式(6線式)の影響で定位感が極めていい。*1

人によって好みは激しく別れるところでしょうが、高域は控えめでものすごく澄んだ音。STAXではない他のどんなヘッドホンとも根本的に違う音がします。ものすごく自然で素朴な音です。あんまり聞いてるとハマりそうだったので途中で聞くの逃げた(笑)

STAXに対する評価ががらりと変わった一日でした。エントリーモデルのようでしたが、上位モデルとかいったいどんな音がするのやら。とりあえず手元の適当なヘッドホンを4線式に改造して定位だけでも対抗してみたくなりました(苦笑)

*1 : 定位場所は脳内定位なのでそういう意味ではオーテクのそれと似ているのですが、出てる音はまるで違います。

PCM2704で音質のいいDAC

はてブ数 2009/09/24電子::DAC/ADC

※2021/08/05 Version2に進化しました

※2012/12/13 回路図の修正(Ver1.4)

※2011/07/05 回路図の修正(Ver1.3)

※2011/02/10 回路図の修正(Ver1.2)

※2010/11/24 キット頒布開始

※2010/10/27 回路の修正


PCM2702を使用した高音質のDACを公開し、キットの頒布も行いましたが、音はいいものの物量投資しまくりでコストが高くついていました。コストや回路規模を小さくし、バスパワーでそこそこの音質を目指したのがこのDACです。

ユニバーサルで作るのならば、新型PCM2702DACよりこちらの方が楽でよいと思います。

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2009/07/03(金)SBD使用 低電圧HPAを作った方へ注意

問題の詳細

この記事で5月から掲載している電池2本版の回路ですが、SBDの種類によって音が変わるという報告を受けて色々検証してみたところ、SBDによっては発振することがある問題が見つかりました。

  • 日本インターの11EQS03Lをつけると発振する。
  • トランジスタ(2SA1015/2SC1815)のランクがYよりGRのほうが発振しやすい。
  • オペアンプによって発振しやすくなる。

SBDがオフの時、数百pF程度のコンデンサとして動作するため回路の位相特性が複雑になり発振しやすくなっているようです*1。以前よりSBDの例としてあげていた1S3や1S4は比較的問題がありませんでした。

*1 : 難しく言うと位相マージンが狭くなっている。

改良した回路

op-dbuf2.png

Zobelの抵抗R7/R8を3.3Ωに引き下げました(以前は10Ω)。日本インターのSBDを使う場合は2.2Ωにしてください。

低電圧版(SBDの付いた方回路)を作られた方はSBDの種類に関わらず3.3Ωか2.2Ωに変更することを強く推奨します。この方が安定度が増すのため音質も有利なはずです。

この変更後、SBDによる音の差はあまり分からなくなりました。

耐容量性負荷

LME49721、トランジスタは2SC1815/2SA1015GRランクにてテスト。

SBDZobel 3.3ΩZobel 2.2Ω
11EQS03L○2200pF / ×3300pF○10000pF
11EQS04○4400pF / ×6600pF○10000pF
1S3○10000pF○10000pF
1N5187○10000pF○10000pF
  • 10000pF(103)より大きな容量ではテストしていません。
  • 矩形波応答などは確認していません。

2009/06/09(火)PCM2702 DAC の更なる改良

このPCM2702 USB-DACをさらに高音質化すべく各種の検証をしたのでまとめておきます。元々相当音が良かったのですが、この改良により「10万円CDプレイヤーでも何でももってこい」という気分になりました。PCM2702 DACを作られた人はぜひ挑戦してみてください。

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2009/05/29(金)ビデオデッキ HR-X5 の修理

はじめに

現役で活躍中のVictorのビデオデッキHR-X5。このビデオデッキ、ヘッドを破壊して2万円で部品を取り寄せたり結構散々な目にあっているのですが、夏場気温が高くなると画面がまともに映らない不具合がありました。これさえなければ、画質はむちゃくちゃ綺麗でよかったのですが……。

hr-x5_noise.jpg

電解コンデンサを交換してOS-CON大量投入しても直らず、ほとほと困っていました。夏を前に、今年こそ本気で直そうと思い立ちました。

原因を考える

気温があがるとまともに動かないということから、ICの故障だと思っていました。基本的に電解コンデンサは「気温が高くなるほうが性能が良くなる」からです。

しかし、蓋を開けると見る見る直る症状からして、内部が相当に高温(60~80度)なっているのではないかと考えました。よくよく考えると温度特性の悪い積層セラミックコンデンサは温度があがると急激に容量が下がります。特に、この時代(1996年)のチップ積層セラミックは温度特性が良いとは思えません。

問題は蓋を開けてしまうとすぐに症状が直ってしまうことで、原因の特定が非常に難しい。そこで、ドライヤーで熱風を送り、どこの場所の温度が症状と関連しているのか調べたところ、ヘッド後部のプリアンプユニット(変調ユニット?)の中央付近を熱するとこの症状が現れることが分かりました。

hr-x5_01.jpg

修理

hr-x5_02.jpg

プリアンプユニットを外しドライヤーを当てた場所から電解コンと並列になっている電源ラインを外して考えると、めぼしい積層コンデンサが2つみつかりました。C8/C9です。

外してみたところ22~47pF程度だったようなので、47pFを取り付けました。ドライヤーを当てたみたところ症状が起こりません。どうやら修理成功のようです。

両方同時に外してしまったため確認はできていませんが、その後色々試した範囲ではC9が原因だったようです。再発したので、違う場所みたいです。

失敗談

このユニットを戻すときに、ネジを1つ筐体内に落としてしまいました。これが運の尽き(汗)

振っても何しても出てきません。ネジ紛失ぐらい構わないのですが、ネジでショートすると折角直ったものに致命傷を与えてしまいます。仕方がないので、ばらばらに分解。その結果、

  • フラットケーブル破損
  • テープ走行不良

致命傷に近い状況。その後も1ヶ所直すごとに別のところが壊れて散々でした。

  • 再生途中で止まり電源off → テープ右側の巻き取り下部のロータリーエンコーダーが正しく認識できていないか、そもそも巻き取りができてない。
  • 巻き戻し中で止まり電源off → テープ右側の下部のロータリーエンコーダが正しく検出してない。基板が反っていたため、基板裏側からクッションをつめてエンコーダの高さを調整。
  • Hi-Fi音声を再生できるのに録音できない → ヘッドの汚れ。修理中に相当汚したらしく、クリーニングテープでは直らずアルコール系の洗浄剤*1を使い直接清掃(ヘッドを破壊する可能性があり危険です。面倒でもクリーニングテープをしつこく走行させるべき。)。
  • 画面全体にノイズが出る、いわゆるめだかノイズ。プリアンプユニットのGND線をきちんとアースする。
  • テープの飲み込みがおかしい → 機械部の位相ずれ。ギアを分解し、きちんとゼロ位置を合わせて組み立てる。無理やり一部のみ位置を切り替えるとうまく行かない。
  • ビデオヘッドが回らない → CP401の半導体ヒューズが飛んでいる。ポリスイッチあたりに置き換えると良い。
  • フラットケーブルの故障 → 白いフラットケーブルは抜き差しをよほど慎重にしないとすぐ壊れる。同じ系統のビデオデッキから部品を取るか、ビクターサービスセンターで部品を取り寄せるか、さもなければ半田付けして無理やり直せなくもない(汗)*2

というわけでネジ1個落として修理に○日。おかげで、ビデオデッキの構造と仕組みに強くなりましたが*3、今更使えないって。

*1 : というか適当なのがなくて接点復活剤

*2 : 3~4本ぐらいその状態で、二度と外したくない……

*3 : 途中でテープにFM変調かけてぜんぜん関係ない信号でも記録しようかとか色々考えたけども。にしてもテープローディングの仕組みは、VHS登場当初から変わってないんだろうけどよく出来てるなあ。

Victorの対応について 2019/05/15

2019年5月現在も修理は受け付けているようです。

Victorは昔から顧客対応がとても良く、個人でも修理部品を注文することが可能でした。今はどうかわかりません。

昔は、部品注文の際に間違えが無いようにサービスマニュアル閲覧することもできたのですが、サービスマニュアルだけ見せてほしいとお願いしたら見せてくれなかったという情報をいただきましたので、ここに公開しておきます。

部品を頼むときなら大丈夫なのか、方針が変わったのか、昔見れたのがたまたまただっだのかは不明です。