2006/06/27(火)引き続き、アンプ修理

これまでの様子。6/246/256/26

損傷範囲

Zobelネットワークをはずしたことに高域発振による損傷ですが、

  • 10Aヒューズ1ヶ
  • L側終段トランジスタ4ヶ*1
  • エミッタ抵抗1ヶ(0.33Ω、5W、無誘導セメント抵抗)

となりました。ヒューズはどうにでもなりますし、終段トランジスタは事故を見越したかのように予備があるので大丈夫ですが(苦笑)、セメント抵抗がなぁ……。無誘導セメント抵抗なんでまずこの辺じゃ手に入りませんよ(汗)

amp_a1186_break.jpg

とりあえず手元にある部品として、10Ω酸化金属皮膜抵抗(たしか1W)を3個並列にしておこうと思います。ちなみにこの抵抗、強く磁石にくっつきますが(強磁性)気にしない方向で。ここのセメント抵抗は違うものに取り替えてみたかったので、いいきっかけといえばそうなのですが(微妙

メモ1メモ2

*1 : トランジスタは回路的に1つ飛べば4つとも飛ぶことは明らか

負帰還、正帰還、発振について

NFB(負帰還)における発振という話が、極(ポール)だの位相だのと書かれていましたその手の話はあれこれ本で読んでるので概念的には分かっている*2んですが、いまいち実態(回路)と結びつかずに困っています。

アンプの裸のゲインをA、帰還率βとしたとき、

負帰還の増幅率:1/β

ですが、

位相が反転したときの増幅率:Aβ

ということが話を理解しにくくする原因みたいです。これをデシベル換算で書くと

裸のゲイン(Ga) = 負帰還時の利得(Gc) + 位相反転する周波数帯に対する増幅率(Gb)

となります。言葉でまとめると、

NFBをたくさんかける=Gbを増やす=アンプ全体の利得(Gc)を減らす
NFBをかけない=GaとGcが等しい=位相反転しても怖くない

「出力→Ra→Rb→GND」のときのRb←→GNDが帰還電圧とすると

変化帰還率β全体利得Gc帰還量Gb
Raが増える減る増える減る
Rbが増える増える減る増える

*2 : 制御理論の伝達関数を解くことも出来る

Zobelネットワーク再考察

要するに特性の良いトランジスタでエミッタフォロアを組んだとき、それ単体で発振回路(コルピッツ型)となるらしい。(考察の続き

Zobelネットワークは、スピーカーネットワーク設計時に行うスピーカーユニットのインピーダンスが一定という仮定を満たすためにスピーカーユニットと並列に挿入されるもので、付けないと(音声帯域の)高域がキンキンしたりするそうです。そのために10Ω+1uF~0.047uFという比較的大きな容量のコンデンサが付いている(計算するとスピーカユニットのインピーダンスが上昇し始める1kΩ付近から効きはじめる)。電圧制御アンプ(通常のアンプ)である限り理屈の上では音質に影響はない*3

また、エミッタフォロアの発振防止のために、スナバ(=Zobelネットワークとほぼ同一)と呼ばれる高周波減衰用の抵抗+コンデンサが必要。こちらはおそらくMHzといった高域で十分な低インピーダンスにする目的があるとおもわれる。

この2つは目的は違うのだけども、回路としては同一で、しかも大は小を兼ねるから前者の形で実装されている……のではないかという仮説(まだ未検証です)。

*3 : 理想アンプならば音質に影響はない。回路安定の結果として音質が変わるという要因は除く

抵抗がない 2006/06/27

10Ω酸化金属皮膜抵抗(たしか1W)を3個並列にして

も3.3Ωだよ。必要なのは0.33Ωなのに……。しかし3つ並列にする作業をするまで気づかないってどうよ?(汗

2006/06/26(月)さらに修理続き

昨日一昨日の続きです 2006/06/26

写真アップしたいのですが、普通に使う分にはまったく問題ないPen3@800マシンも、630万画素の画像処理はさすがに重たい。Athlonマシン付けるか(笑

回路猛烈に勉強中。この前ジャンパしたコイルはアイソレーショタ(アイソレーション コイル)と呼ばれるもので容量負荷による発振を防ぐために必要らしいです……フルレンジしか繋げないからいいや(ぉぃ)。コンデンサと抵抗の直列の方はZobelネットワークと呼ばれる高域を多少減衰させたりこれまた発振防止の狙いがあるようです。単純に切るには危険そうなので、エージングをして聞き込んだあとで、時定数を下げる(効果のかかる周波数をあげる)か考慮してみようかと思います。(参考サイト

ネットで検索しても必要性は訴えてても、回路式=理論書いてないのばとうよ?と思うんですけどねぇ。おかげでいまいち納得できないです(苦笑) あとやっぱりオシロスコープとファンクションジェネレーターが欲しいなぁ……。というわけで今日はこれから、プリアンプの調整の続きです。

Zobelネットワーク

アイソレータは負荷容量対策ということである程度理解出来るのですが*1。Zobelネットワーク、いろいろ調べてみますがどうにも釈然としません。。Zobelネットワークというのはスピーカー端子と並列にRとCを直列挿入したもので(Rは10Ω、Cは1uF~0.047uFだそうです)、

スピーカーのL成分によって超高域でインピーダンス上昇を防ぐため

だそうです。が、だからどうしたよ? みたいな(笑) アンプというのは普通のアンプ*2である限り負荷(抵抗)に関わらず一定電圧を出すように作られています。インピーダンス上昇がもし回路を不安定にしてるのなら、インピーダンス無限大=スピーカーを接続しないと不安定ってことに。

スピーカーネットワークがあるときにはある意味必須らしいのですが(これはあとで回路立てて計算してみます)、それ以外にもやっぱり出力安定化のために必要とか。どうも勘違いしてたのですが、SEPPなDCアンプの最終段の出力はエミッタホロワだったと。つまり電圧は増幅しない帰還率100%の電流増幅器になっていて、その手前のドライバ段が終段の出力電圧を決める最後の電圧増幅段だったことのようです。その関係でZobelネットワークがある方が安定するらしいのですが……そこが解せない(^^;;

というわけでメモ1メモ2(5章)

*1 : 負荷によって動作が変わってしまうのがいまいち掴めませんが……

*2 : 電圧駆動アンプ=電流駆動アンプというすごい特殊設計でない限り

プリアンプをみてたら

回路図では2SB560/2SD438なところに2SA896/2SC1811がついてる。実はこのアンプ、手に入れたときは故障品でうちほどにも回路が分かっていない素人が手を加えた形跡があり、なんだかなぁー……と思ってたのですが、ついに部品置換を発見。

D907 Limited は一般にパワーアンプ秀逸、プリアンプイマイチと評されるので、その性能改善を狙ったものかもしれません。回路変えないでそこだけ変えても…(以下略)なんですが、検索すると悪い石ではないようなのでそのまま使うことにします*3。……と思ったら電源引き回しをして、どうも故障修理に挑戦した素人とは違う人がこの改造はしたみたいですね(しかもハンダの様子からすると相当昔に)。別にオリジナルにこだわる気質はないので、やはりこのまま堪能することにします(笑)

追記、試しにZobelネットワークを外して動かしてみたら1分程度で……終段トランジスタが燃えた(笑) というわけで非常に危険ですからみなさん試さないように!!(ぉぃ*4

*3 : sony製ってのはアレですが(笑)

*4 : また直さなきゃなぁ(汗)

2006/06/25(日)続アンプ修理中

昨日の続きです 2006/06/25

いろいろ調べた挙げ句、プリアンプ電源のコレクタがグランドと接しているという単純ミスでした(なむー)。というわけで、3.9Ωの不燃抵抗の代わりに4.7Ωのカーボン抵抗が(またかよ(汗))。無論あとで不燃抵抗に取り替えねばらないので、今回で修理完了にはなりそうもないです(^^;;

コンデンサエージングのため、昨晩一夜電源入れっぱなしで放置。最低100時間ぐらいエージングすべきだと思うけどもそれはそれ。出力ローパスフィルタは、D907Limitedの評判でたまに聞かれるキレのある低音の要だったらしく、その傾向はバッサリなくなりました(笑)*1 その出力ローパスの影響はすさまじく、一晩電源入れっぱなしで低音は出るようになったものの、サンスイアンプ独特の元気さも少なく若干つまらない音になりました(苦笑) どうも独特の味付けのだったみたいですね。(後注:アイソレータと呼ばれる容量負荷に対する補償回路であり下手に取ると危険です。またアイソレータはそこまで音質が変わるものではなさそうです。単なるエージングの問題の模様)

まだまだエージングしないと何とも言えないですけど。プリアンプのコンデンサ置き換えと接点の掃除をしたいところですが……今日中に組みあがるのかなぁこれ(汗

*1 : とはいえ出力に直列にコイル入るのは気持ち悪い。エージング終わったらあとでまた聞き比べてみてもいいかもですけど

聞き込んでみて 2006/06/25

プリアンプを通した方が音に味がある感じです(パワーアンプダイレクトの方が源信号に忠実なんでしょうけど)。多少エージングが進んだのかサンスイっぽい鳴りも若干戻ってきました。SNの高さは、名声どおりです。

パワーアンプ部と電源の劣化してる電解コンデンサは(要するに全部)MUSE-FGに取り替えてあるんですが、音の透明度はあるものの、解像度というか定位というかがまだイマイチな気がします。どこかで位相が回転してるんじゃないだろうか? 自作の小型バックロードホーン(FE83E)という時点でフラットな秀逸なF特なんてものは求めてないのですが、位相ずれ(回転)だけは起こって欲しくないです。というのも、歪みはもとより位相ずれも音に悪いような気がしてまして、昨日出力コイルを取っ払ったのもそのためです*2

サンスイの味を残しつつより広帯域化*3したいところ……と思いながら回路図を眺めています。*4

  • 終段ドライバ用トランジスタのデカップリング(電源平滑用)コンデンサが3.3uFの直列(実質1.5uF)になっているけど、ここには100uFぐらい付けた方がいいと思う。
  • パワーアンプ部はDCアンプ(SEPP)になっているんだけど、あちこちで正/負信号ライン間に何カ所も直接コンデンサがはさんであるのが気になる。一部外していいものやら……
  • パワーアンプの終段出力を0.047uFと10Ωの直列でグランドに落としてる(NFBとは並列)。高域発振防止? のようなこれもまた外したいような……危険です
  • プリアンプの結合コンデンサが100uF 35Vの直列になっていて、交換用に100uF 100vのMuse B.P.(無極性コンデンサ)を1ヶを買ってあるのだけど、ある程度電圧かけないとハンダ付け時のコンデンサの被膜が元に戻らないって話だからいかがなものかと……。突入電流のためには、たしかに60V以上の耐圧は必要なんだけど、50V 470uFぐらい付けたいところ。

*2 : 単純に直線的に位相がずれるだけまだ許せるのですが、抵抗と並列だったり直列だったりするとそれこそLPF、HPFになるので……

*3 : 帯域は仕様上DC~500kHzまであるのですが、音声帯域の位相ずれを極力なくしたい

*4 : とはいえ今は眺めるだけ。もっとコンデンサエージングが進まないと結論は出せない

2006/06/24(土)アンプ修理中

AU-D907 Limited修理中 2006/06/24

たたでさえ物量投資のアンプに物量投資を重ねた故障中アンプD907 Limitedの修理中。

d907limited_01.jpg

2SA1068N / 2SC2493Nなどという手にはいるはずもない終段トランジスタを諦めて、比較的手に入りやすい 2SA1186 / 2SC2837というトランジスタを入手しました(その筋では有名なサンケンLAPT素子です)。アンプに使うトランジスタはコンプリメンタリペアといいまして、2SAなんたらと2SCなんたらで対になっているトランジスタ*1を使うのが鉄則なわけです。同じところに発注しまして比較的短時間に入手できたのですが、よくよくこのトランジスタを眺めてみると。

d907limited_02.jpg

いやもちろん発注ミスじゃないです。型番はあってます。でもよくよく見ると一番下に「O」という文字と「Y」という文字が見えると思います。これは増幅度を表す「ランク」という表記で言ってみれば型番の下の副型番みたいなものです*2……おもきし違うじゃん(涙)。対で使うこと分かってるのにランクの違うものよこすなんて、これは新手のイジメですか?(汗) 前途多難……*3

小判型(TO-3)のところに通常トランジスタ(TO-3P)を納める苦肉の策。

amp_final_tr.jpg
amp_final_tr2.jpg

amp_final_tr3.jpg
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午後6時半

いまさら10Ωの抵抗壊れてるのみつけたんですけど(汗) 仕方ないので手元にある普通のカーボン抵抗を付ける。……不燃抵抗じゃないといけないところだけどまあいいか(キケン

午後10時半

パワーアンプ部はとりあえず直った……けど、なんかプリアンプがおかしいんですが。あれぇー、壊れてなかったはずなんだけどなぁプリアンプは(汗

午前3時半

プリアンプ用電源のダイオードをSBD(ショットキーバリアダイオード)に取り替えたときに、一部ハンダクラックしてたのが原因らしい。プラス電源側のハンダクラックを修正して電源onしたらマイナス電源側の抵抗が焼き切れた(涙) ……ものすごくいやな予感(汗)

パワーアンプ部のみで2時間ぐらいならしてみたところ、どうも高域が澄んでない*4。おかしい……これだけ物量投資のアンプでそんなわけない……。とおもって回路を追ったところ、トランジスタの終段出力からスピーカー端子の間に「1Ωと1uH(コイル)」が並列に入ってる。狙いが負荷補償なのか、超高域発信時の信号出力防止なのか、低域の量感増量なのかは分からないけど((ものすごく緩いローパスフィルタなので))、高域が歪むことは間違えないのでバイパス。低域の量感が減ったものの((たぶん電源入れて時間経てば聴ける程度に量感は増すと思う))、高域は綺麗になった。(追記)アイソレーターという負荷補償用部品ですので無闇に外してはいけません。後日元に戻しました。音はほとんど変わりません。


修理の続きは明日。

*1 : わかりやすく言うと、製造時の設定などで対として使えるように作ってあるもの

*2 : 正確には違うけども

*3 : たぶん発送元には、それぞれそのランク品しか置いてないと思われるんだけど……なんだかなぁ

*4 : 濁るとは違うけど、なんだろう、ボーカルの裏の高域みたいなのが出てなかった

2006/06/10(土)Sansui AU-D607X と アクアオーディオ, オーバーホールの話

アンプ試聴中

代理入手の上、代理修理までして13ヶ月!(汗) やっと送りつけて代金奪取できそうなので*1、その前にきちんと動くか確認&視聴してみてます。普段使っているアンプは D607F EXTRA なのですが、D607X DECADE もなかなかよい音がします。

  • 高音域の音の伸びでは D607F に負ける感じはしますが、逆に言えば D607F は高域が耳に刺さる。
  • 音の解像度、ボーカルの定位は D607X の方が上。
  • 無音量時のノイズ、SNは D607F の方が上。
  • 全体的な調子としてはセレクタが1箇所ランプ切れしてますが*2、ガリノイズもなく良好。
  • どちからいえばすっきりならす D607F。どちらかと言うと量感のある D607X。

結論、好みの問題で甲乙付けがたい(笑)*3

というわけで大事にしてくださいね

*1 : 万年金欠で困っているのですが(先々月はうん百円で1ヶ月過ごした……)、こういう立て替えがなぜか多い(涙)

*2 : 使用には問題ない

*3 : まあでもD607X DECADEの方がよいかなぁ~。バランスとか解像度とか。AU-α707に近い感じの鳴りです。

オーバーホールに疑問

そういえば、α707を所有している方が、アクアオーディオにオーバーホールを頼んだんですよ。スピーカーからDCオフセットが出るので、オーバーホール依頼と書いて。で戻ってきた修理明細をみたら……「えっ? リレー交換しただけ??」。DCオフセット(100mV以上)はもちろん直っていません。

いやいやまてまてまてまてま、アクアオーディオさんは元サンスイの技術者ならではの安定した知識と技術がウリなんでしょうに、可変抵抗調整しただけで済ませるってどうなのよ?*4

  • ボリュームに関係なくシーノイズがあることから、トランジスタかどこか劣化が始まっていると思われる。*5
  • DCオフセットがスピーカー負荷によってかなり変化するところから、コンデンサ劣化による発振(多分負荷発振)が起こっていると思われる。

というか問題なのは後者ですよ。購入時はDCオフセット出てない(ポンノイズがでない)ことは確認済ですから、どこかの部品が劣化したのは明らかです。自分が入手したD907も、結局パワーアンプ部のコンデンサ劣化による発振で故障してましたから。あのー、そこ直さないで半固定抵抗のバイアス&基準電圧調整してどうするよっ! 最低限、パワーアンプ部のコンデンサ交換と、明らかに劣化してると思われる半固定抵抗の交換ぐらいしないのかな……。

参考リンク

*4 : もちろんそれで直るような不具合じゃないので、まったく改善せずに戻ってきたわけです。

*5 : D607Xシリーズ以降(続くα707無印含む)のバランスアンプは、どうも回路の仕組み的にノイズが乗りやすいと思われるので元々かもしれない(確証なし)