高品質な低電圧ヘッドホンアンプ(単3×2本)

はてブ数 2008/09/04電子::HPA

進化したVer3はこちら。Ver3のほうが作りやすいと思います。


※2012/12/22 基板のみ委託しました

※2012/10/03 キット頒布終了しました。

※2011/12/14 以前のコメント・TBを別の場所に移動しました

※2009/07/04 低電圧(SBD)回路の一部変更(詳細情報

※2009/05/21 SBD使用回路への差し替え

※2009/02/16 リンク1件追加

はじめに

FETヘッドホンバッファアンプの部品ディスコン問題を解決すべく開発した新型のヘッドホンアンプです。単3電池2本で前作を越える音質というところに拘ってみました。電池が少ないので小型化も可能です。*1

基本的はオペアンプ+ダイアモンドバッファというシンプルな回路です。音質を妥協せずに可能な限り汎用的な部品で構成でき、しかも様々な種類のヘッドホンで使用できるよう配慮しました。

今回もバッファアンプ(+1倍)になっていますが、ちょっと改造すれば利得をかけることもできます。

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2008/08/31(日)OS-CON vs KZE

※2009/10/10修正。2011/02/24さらに修正。

まとめにもありますが、個人的にKZEを特別推奨はしません。低ESRコンデンサでは普通の音で、固体コンのほうが好きです。


OSコン vs KZE

司さんオススメのKZEという電解コンデンサ

hpa_os-con.jpg
kze.jpg

「OS-CON 2.5V 2700uF(導電性高分子*1)」と「KZE 6.3V 1000uF」*2で比較試聴してみました。写真は低電圧ヘッドホンアンプ。コンデンサは差し込み式端子で、どちらも十分に(200時間以上)通電(エージング)してあります。

KZEは差して1分で「非常に明瞭な音」がします。低音もしっかり出ます。司さんのお話ではカップリングコンには向かないとのことですが、少なくとも電源用なら音響用コンデンサよりは良いです。

さてここでOS-CONに差し替えます。全体にモヤが出たような感じKZEよりも音質が落ちます。なんていうのか、1枚ベールを被ったような感じ。ああたしかに、OS-CONはもやったようなに感じます。

問題はこの後

そのまま30分ぐらい放置します。するともやが晴れて高域まで伸びきった明瞭な音がします。明らかにOS-CONの方が良いです。

*1 : いわゆる有機半導体タイプではありません

*2 : 大きさは一緒

追試1 USB-DAC 2008/09/11

USB-DACで比較してみました。エージングは200~300時間。

C17~C19OS-CON 6.3V 1500uFKZE 6.3V 1000uF
C21~C24OS-CON 16V 470uFKZE 16V 470uF

OS-CONの方が明らかに良いという結果でした。

  • 音の輪郭が「ぬるく」なってしまう(粒が立たない)。オペアンプで使ったときと傾向が違うので、DACにおける瞬間的な放電能力の差だと予想します(確認はしていません)。
  • 若干音の明瞭感が悪い(音はとても綺麗なんだけども)。超高域DCDCノイズを吸収仕切れてないみたいです。

瞬間的な給電能力が重要となるとKZEはぜんぜんダメです。当たり前ですがノイズ吸着力も弱いです。

追試2

続いてはこの低電圧ヘッドホンアンプを使って確認してみました。試作プリント基板で電解コンデンサ以外はまったく同一の部品を使用して構成しました(終段バイアス0.4mA設定の回路です)。

KZE
6.3V 1000uF。そつなく明瞭には聞こえますが高域が伸びないし音の瞬発力が弱い。低音が鳴る曲だと音が混ざり明瞭間に劣る。
OS-CON
2.5V 2700uF。音ひとつひとつの輪郭がはっきりする。KZEよりもひとつひとつがよく聞き取れる。

KZEは悪くはないんだけど、やっぱり導電性高分子コンデンサには敵わないです。

まとめ

コストパフォーマンスを考えるとKZE/KZHも悪くはないけども(売値50円ぐらい)、音質は圧倒的にOS-CONに軍配。

OS-CONはエージングにやたら時間はかかりますが、高音~超低域まではっきりと(粒が立って)聞こえます。KZEの低音は綺麗だけど、音がぼやける印象があります。

ちなみにKZEが特別に良いというわけではなく、だいたいの(固体コンデンサ以外の)低ESRコンデンサはこれぐらいの音を出せますし、その中でもKZEはESRが高い(性能が悪い)ほうです。KZHぐらいだと低Z品として使いやすいけど、個人的には超低Z品の「nichicon HN」や「Rubycon MCZ」のほうがいいと思います。

なお、OS-CONは固体コンデンサの中でも性能(音質)が優れています。

レールスプリット vs 正負電源

はてブ数 2008/08/27電子::アンプ

前々から気になっていたのですが、電池駆動時レールスプリットと正負電源はどちらが良いのか検証してみました。

ことの発端

レールスプリットと正負電源どっちが良いのでしょうか? 随分前にコメント欄で議論になって以来すっかり忘れられてましたが、A47アンプ試作品を頂いたので、ちょっと改造して正負電源とレールスプリットをジャンパ1つで切り替えられるようにして検証してみました。

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2008/08/23(土)ダイアモンドバッファと低電圧オペアンプ

ヘッドホンアンプ

失敗作を改造してダイアモンドバッファ付き回路にしたてたました(CRD1mAはそのまま)。1~1.4Vppぐらいしか出ませんが高能率ヘッドホンだと0.2Vppぐらいなんで実際これでも十分です。そんなに駆動力が必要なわけではないし、どうせ音なんか変わらないよって軽く聞き比べてたわけなんですか……まさか変わるとは

LMP7732のパラバッファアンプ*1と、LMP7732を使ったダイアモンドバッファ付きを比べると、後者の方が圧倒的に低音が綺麗。綺麗にしっかりとなります。こんな違うのか…。低音が綺麗なせいか、曲全体もよりクリアになります。*2

そこで、ここに取り出したるは例のFETヘッドホンアンプ(Vランク×4)。おおーっ、LMP7732+ダイアモンドバッファとFETヘッドホンアンプの音がとても似ている。Vランク×4ってこんな音よかったっけ? というおとぼけ発言をしつつ、よく比べると中高域の綺麗さ(明瞭さ)ではLMP7732アンプ。中高域の綺麗さと低域の綺麗さを併せ持つLMP7732+ダイアモンドバッファ最強ということに(笑)

LMP7732って低電圧オペアンプ界のOPA627みたいなところあるなーと思っていたんですが(妙に心地よい色が付く)、駆動力が不足すると若干エコーがかかったような色つきの音になるようです*3

*1 : 出力抵抗1Ωでパラレルに接続して、駆動力を若干水増しした回路

*2 : 低音で(中高域が)歪むってこということなんですね。

*3 : OPA627はきっちり±15Vぐらいかけてあげないと、結局駆動力などの性能が劣化します。もっともLMP7732駆動力低下の最大の原因は(発振防止用の)Zobelネットワークにあるのですが。きっちり駆動してあげても、OPA627やLMP7732は多少の色が付くようです。

そして今は

他の低電圧オペアンプに変えて聞き比べてますが、ダイアモンドバッファ付きの方が音が良いのは間違えなさそうです。ちなみに、バッファを付けられるオペアンプと付けると激しく歪んでしまうオペアンプ(LT1678等)があります。

ダイアモンドバッファ付きだと今度は出力可能電圧範囲で不利なので、今ちょっと面白い回路をテストしてます。うまく行きましたら、新型ヘッドホンアンプとして紹介しますね。