2009/12/13(日)STAXを聞いてきた

この休みに友人宅にてSTAXを聞いてきました。コンデンサ型ヘッドホンという奴です。昔は、耳そばで高電圧とかどうなの? とか言ってたし、店頭で聞いた限りはどこが良いのかさっぱり分からないという感じでした。

静かな部屋で、ある程度まともな再生装置を使ってきいてみるとまるで印象が違います。最初の印象は「静かでパッとしない音」ですが、聞き込んでみると圧倒的に濁らない音だということがだんだん分かってきました。それプラス5線式(6線式)の影響で定位感が極めていい。*1

人によって好みは激しく別れるところでしょうが、高域は控えめでものすごく澄んだ音。STAXではない他のどんなヘッドホンとも根本的に違う音がします。ものすごく自然で素朴な音です。あんまり聞いてるとハマりそうだったので途中で聞くの逃げた(笑)

STAXに対する評価ががらりと変わった一日でした。エントリーモデルのようでしたが、上位モデルとかいったいどんな音がするのやら。とりあえず手元の適当なヘッドホンを4線式に改造して定位だけでも対抗してみたくなりました(苦笑)

*1 : 定位場所は脳内定位なのでそういう意味ではオーテクのそれと似ているのですが、出てる音はまるで違います。

ボリュームの聴き比べ

はてブ数 2009/05/21電子::オーディオ
volume_sounde-test.jpg

右から、アルプス電気RK09L(4)、RK27(3)、マルツRD925G(2)、R1610G(1)です。聞き比べのリファレンスとしては東京光音2CP601を使用しました。

東京光音2CP601

もはや言わずと知れた高音質なボリューム。CP2500とかに比べるとエントリーモデルのようにも取れますが、抵抗板に導電性プラスティックを使用したボリューム。ハンダ付けで熱をかけすぎてはダメだったり扱いが厄介な面はあるものの、濁りのないクリアな音質。

今回のリファレンス(基準)です。元々以前のコミケで視聴した方に教えていただいたもの。昔は1890円でいくつか買いこみましたが、値上がりして2500円になってからは買ってません。

アルプス電気RK09L

アルプス電気のミニボリューム。日本製品では比較的よく使われるボリュームです。

秋月や千石で100円ぐらいで売られている可変抵抗よりマシな音だと思いますが、結構がやがやして抵抗独特の音質劣化が感じられます。

アルプス電気RK27

アルプス電気の定番なボリューム。通称ミニデテント。800~900円。

比べなければかなり優秀な音ですが、2CP601と比べるとややガヤ付きます。抵抗独特の歪みがあり、比べてしまうと「うーん」。でも優秀なのはたしかで、値段も安価なことから自作派の定番品となっています。

マルツRD925G

マルツオリジナルの2連ボリューム。1個210円。なぜマルツオリジナル(?)かと言うと、Linkmanというメーカーで調べてたどり着く会社がマルツとほぼ一緒のようなので*1

9mm幅でRK09Lとほとんど同じサイズ。どうせ安物……と思ったのですが、聴いてびっくり。2CP601とほぼ同じ音質。ええっ!? と思ってよくよくボリュームの軸を動かして見るとなめらか。カーボン抵抗独特のガリガリが無いのでカーボン抵抗じゃないのかも知れない。

今度余分を購入したら分解してみます。

*1 : しかも、Linkmanに登録するとPDF参照時にマルツの通販サイトに飛ばされるという(笑)

マルツR1610G

秋月や千石で売っている安物ボリュームとほとんど同じ見た目の157円。抵抗板はおそらくRD925Gと同じ素材。

これまたびっくりの音質で2CP601とほぼ同じか、2CP601より若干いいんじゃないかって感じの音がします。これ絶対見た目で損してるなあ。売り方も、音質とか精度とか色々書けばいいのに(笑)

まとめ

音質で並べると、次のような印象です。図中「≒」とは書きましたが、左側の方が若干音質が良いように感じます。

R1610G > RD925G ≒ 2CP601 >> RK27 >>> RK09L

マルツオリジナルの2品に関しては、この値段でこの音質を出されるとショックですね。今後、高い2CP601を買わなくて済みそうなので、嬉しいといえば嬉しいのですが(苦笑)

メモ

  • 「マルツR1610G」と「Bispa R1610G」はほぼ同じ音質です。
  • 「マルツRD925G」と「Bispa RD925G / BSP92FG5(FG付)」はほぼ同じ音質です。

キットではBispa製ボリュームを使用しています。

分解してみた 2009/05/29

vr-dis.jpg

左がR1610G、右が安物ボリューム。外見が同じだけあって、どちらもよく似た構造。試しに抵抗板だけ交換して聞いてみたところ、やっぱり音質の要は抵抗板にある模様です。左の方が綺麗に塗られてはいますが、材質も似たように見えますし、そんなに変わるものかと不思議に思いますね。

フィルムコンの音質 試聴メモ

はてブ数 2009/05/07電子::オーディオ

フィルムコンの試聴をしつつ、昔試聴した資料を探したのですが見つからない。どうやら簡単に書いただけでまとめてなかった模様。自分で不便なので、ここにまとめておきます。

注意:今回は小容量コンデンサを対象としているため、多数存在するメタライズドフィルムコンデンサは敢えて除外してあります。

フィルムコンあれこれ

フィルムコンデンサは、誘電体の材質によって大きくグループ分けすることができます。一番安価なフィルムコンはポリエステル(マイラ)コンデンサですが温度特性などが悪く、音響用回路には一般にPPコンデンサが好まれます。しかしながらPPはそこまで音がよくありません。PPよりもPPSやスチコンの方が音質的に優れています。

ポリエステル(マイラ) < ポリプロピレン(PP) < スチコン, PPS

小容量フィルムコン、音質聞き比べ

100pFのコンデンサを使いLPF(10k+10kの2倍増幅)でとても簡単に(若干手抜きで)確認しました。

filmcon-listen.jpg

およそ音が悪い順にならんでいますが、線で区切られない部分の差は微妙です。

1.ニッセイAMZ / ポリエステル / 千石で10円

自作ではよく使われるフィルムコンデンサ。音質はゆがみ感があります。明らかにPPなどの他のコンデンサに劣ります。

2.WIMA FKP2 / ポリプロピレン / 100円前後

WIMAのポリプロピレンコンデンサ。WIMAは音響マニアに定評がありますが、これについては声のかすれがあり、何より低音のボン付き(もわもわ)が気になります。使えないです。

3.双信電機 DM10C / マイカコンデンサ / 千石で240円

こいつだけ仲間はずれでマイカ(雲母)コンデンサです。かすれ感はありますが、ボン付きがないのでFKP2よりマシです。

4.WIMA MKP / 箔巻ポリプロピレン / 100円前後

WIMAの音響用というとこっちのような気がします。確かに悪くはないのですが、上位と比べると歪み(かすれ)っぽさがあります。

5.Panasonic ECQP / 箔巻ポリプロピレン / 30円前後

大昔からメーカー製音響回路で使用される定番品です。Panasonicはチップに移行したため今はディスコン。歪みの比較的少ない定評のある音質ですが特別よくもありません。WIMA MKPとは大差ありません。

LPFやパスコンで使用すると低音が良く出るので、それが好んで使われることもあります。(ECQPの低音を好まない人も居ます)

6.ニッセイ APS / ポリプロピレン / 千石で30円

ニッセイのポリプロピレンコンデンサ。安い割に歪みの比較的少ない音です。個人的には定番のPanasonic ECQPより良いと思います。それでも7/8よりは劣り、かすれ(歪み)を感じます。

7.アムトランス AMCE / 箔巻ポリプロピレン / 若松で220円

マイナーですが音響用部品を作っているアムトランスのフィルムコンデンサ。アムトランスの音響用抵抗はがっかりでしたが、こちらは結構まともな音質。クリアな音です。次のKP1830より若干劣るかなと思いますが、こちらの方がメリハリがあるので好みによると思います。

※写真のAMCEシリーズは廃番のようです。後継と思われるAMCHの販売はここ

8.ERO KP1830? / ポリプロピレン / 若松で105円

知る人ぞ知るKP1830EVOX RIFA PEFではないかという指摘がありました。若松でKP1830として売られていたものを買っただけなのですが(コメント欄参照)。ある筋から、OEM品で実質同じものではという指摘もありました。

非常にクリアで歪みのほとんどない音です。派手さがなく「なめらかな音」という印象でメリハリ重視の人にはあまり好まれないかもしれませんが、いい音です。PPコンデンサでは一番良いと思っています。

関係ないけど、EROのMKT1826の音も聞いてみたいです。

9.サンリング電子 / 銅箔スチロールコンデンサ / 海神無線で100円

下手をするとハンダ付けの温度にも耐えられないため大昔に製造中止となり今はほとんど流通していない幻になりつつあるコンデンサ。プラスチックの一種のあのスチロール樹脂が原料。

ゆがみ感が全くなくコンデンサでは最強。でも入手性とても悪い。海神ぐらいかも(100pは品切れ)。製造元で数少ない在庫を通販してます

おすすめは ECHU/ECPU

スチコンがいいのですが入手難。音響用部品は音質的に優れたものが次々ディスコンになる不遇の世界です。

でもフィルムコンデンサではいいものがあって、チップコンになりますがPanasonic ECHU(PPSコン)がスチコン以上に歪みのないとても優れたコンデンサです。Digkeyになりますが10個600円ぐらいで手に入ります。大きめの容量ならPanasonic ECPU(プラスチックコン)がおすすめ。スチコンと同じようなプラチック製なので同等ぐらいと思われますが、小型のため多少特性は良さそう。熱に弱いのでハンダ付けに注意してください。

そこまで拘らないなら、ニッセイAPSを使っておくのが値段・入手性・音質の面からオススメです。音質に拘るならECHUという使い分けがいいと思います。