単3×2、LM4880/LM4881 ポータブルヘッドホンアンプ
LM4880(LM4881)を使用した、たった8部品のポータブルヘッドホンアンプです。以前紹介したLM4880アンプのDC直結改造版になります。小型アンプを求める人が多いようなので公開します。
部品点数が少なく、製作が非常に簡単です。
概要
単3電池×2ヘッドホンアンプ製作に凝り始めるきっかけとも言える「LM4880アンプ」でしたが、自作FETヘッドホンアンプに比べて明らかに音質面で劣っていました。この回路をDC直結アンプとして改造したところ、見違える音質となったので紹介します。
Chu-Moyよりもよっぽど電池が持ちますし*1、ここで紹介している他のどのアンプより製作が簡単です。音質は他のアンプと同等クラスで、ポータブルとしては充分すぎます。
回路図
最大電圧5.5V(±2.75)まで!
Ra, Rbは入力/帰還抵抗です。-1倍動作になっています。必ず20kΩである必要はなく、15kΩ~30kΩぐらいで適当に選び4箇所とも同じ抵抗値にしてください。入力ボリュームは必ず10kΩ以下を使用してください。(大きくても20kΩ以下)。ボリュームの全抵抗値を大きくすると音量調節が狂います。入力/帰還抵抗より小さな値を選ぶと考えましょう。*2
電源電圧は2.1V付近まで動作するようです。普段はニッケル水素やニッカド電池で使用していました。
部品選定
回路がきわめて単純なため、「電源コンデンサ」「入力ボリューム」「帰還抵抗」の音がそのままストレートに出てきます。
おすすめの部品は以下です。(2016/09現在)
- コンデンサ:OS-CON 2.5V 2700uF等の固体コン(電解コン聴き比べ)
- ボリューム:R1610G、RD925G(共にBispaかマルツ)、BSP92FG5
- 抵抗:LGMFSA、LGMFS、LMFQ(マルツ)
回路図の項に書いたとおり、抵抗の抵抗値は15~30kΩぐらいならば適当で構いませんので、入手性と折り合わせて自由に選択してください。
音響パーツと入手方についてはヘッドホンアンプの部品入手に関する説明を参照してください。
製作時の注意
電源の配線に注意してください。一番下の配線参考図もみていただいて、「8番→C1→C2→4番」のルートをできるだけ短く太くしてください。不安なときは更に、4番と8番の足の直近で0.1uFのフィルムコンデンサを取り付けてください。
ICの入手
- (2014/11/07) LM4880/LM4881共に秋月で売ってるそうです。
- bispaにてLM4880が入手できます。その他推奨部品もここで買えます。DIP変換基板、OS-CON、抵抗はLGMFS、ボリューム(RD925GかR1610G)。ついでにチップフィルムコン 0.1uFを買うのをおすすめ。
- 頂いた情報によると、共立電子(デジット)の店舗でもLM4881を販売しているそうです(通販には見当たりましせんでした)
音質
結局のところ、抵抗(とコンデンサ)の音がそのまま出てきてるように感じます。ニッコームRP-44C/18kΩで確認する限り、他の自作アンプの方が少し良いかなという印象ですが、十分及第点だと思います。
高能率イヤホンでの注意
コメントがあったため確認したのですが、インピーダンス16Ωのイヤホンなど、超高能率イヤホンではIC自体が発生するノイズがわずかに聞き取れます*3。街中などではほぼ分からないと思いますが、静かな部屋ではシーというホワイトノイズが聞き取れます。
あまり気にならないレベルだとは思いますが、ご了解ください。IC自体のノイズはどうやっても消すことはできないので、代替案としてこのアンプの簡易型なども検討してみてください。
解説と原理
LM4880/LM4881は元々ポータブル向けに低電圧用途で開発されたICです。単電源駆動用に作られていますが、仕様外ながら内部回路をうまく利用することでDC直結で使用てきます。
DC直結の方が音質がよい、部品点数が少ないといいことずくめです。オペアンプを無理して低電圧で駆動させるよりも、この方法がスマートでしょう。
またこのアンプは元々ポータブル用途として保護回路等(例えば出力抵抗)なしで単独で安定動作するよう設計されており、そのおかげで非常に簡素な回路ながら十分な音質が得られます。
配線参考図
配線図に近い回路図(LED/スイッチ付)。
ICの枠内も実際に配線してください。ステレオジャックが部品記号になかったのでしょぼいことになってます。
リンク等
コメント欄にありますが、KANさん発案のJFET(2SK170/2SJ74)のコンプリメンタリバッファ(ディアルソースフォロア)を入力部(入力抵抗とRaの中間)に付けると、音質が著しく改善します。ボリューム位置により少し発振しやすくなるので注意ですが(^^;;
KANさんがその内容を製作記事(前段バッファ)に書かれたようです。回路図は3rd Projectさんの記事を見てね。