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2008年06月18日の記事

SE-U55SXの最終改造

はてブ数 2008/06/18電子::SE-U55SX

過去さまざまな改造(修正?)をしてきて、「元SE-U55SXだった別物の何か」とかひどい言われようのSE-U55SXですが、ついに徹底的に改造してみました。SE-U55SX(改v3)。*1

*1 : 改v2はオペアンプの置き換えですが、ほとんどその状態はなかったため欠番です

回路図

解説のため、回路図の記事から再掲載しておきます。回路図はRチャンネルのものです(写真で上側に相当)。当然Lチャンネルも改造してますが、説明では省略します。

SE-U55SX_DAC_IV.gif
SE-U55SX_DAC_VLSC.gif

オペアンプ変更 2009/07/22

Q404, Q406をLM6172に、Q410(ラインバッファ)をLM6171に変更しました。Q408は交換しませんでした。Q408周辺の回路は、最終的にQ406にてフィードバック制御されるため(帰還ループ内であるため)、音質への影響は少ないと判断しました。

Q404, Q406, Q410をLME49720に変更しました。Q408は交換しませんでした。Q408周辺の回路は、最終的にQ406にてフィードバック制御されるため(帰還ループ内であるため)、音質への影響は少ないと判断しました。

入手が可能ならLME49720よりLT1364が音質が優れおすすめです。

抵抗交換

抵抗には、直列に入る抵抗が大きく音を左右し、並列に入る抵抗は音質にほとんど(全く?)関与しない不思議な性質があります。この点を考慮し音質に関わる抵抗のみニッコームRP-44Cに変更しました。*2

変更した抵抗について解説します。

抵抗コメント
R426,R428IV変換。この抵抗は(他のどこよりも)音質に影響する
R430,R432直列に入る抵抗。
R434帰還電流(信号)の流れる抵抗
R438VLSC回路への入力抵抗。モニター出力とのmix用抵抗。
R440,R442VLSCの最終出力を決める帰還抵抗。
R454出力の保護用、発振防止用の抵抗。
R458, R460保護抵抗。削除(ジャンパ)

*2 : 鈴商に適当な抵抗値がなかったので、470Ωと680Ωはすべて560Ωに変更しました。出力抵抗も適当に売ってた180Ωです。写真に一部別の抵抗が載っていますが、撮影後ニッコームに変更しました。比較的入手しやすいRP-24Cを買う人は本来の値を使うと良いでしょう。

その他

これは音質には関係ありませんが、VLSCの手前(回路図でR438右側)からも信号が取り出せるようにマイク端子を改造しました。これでVLSCありとVLSCなしの両方の音を聞くことができます。

まとめ

一番強烈に音が変わったのは、IV変換の抵抗とIV変換のオペアンプを変えたときでした。ここ1箇所の変更で、他全部の変更に勝るぐらいの変わりっぷりです。

抵抗の置き換えは音の混ざりをなくすこと、オペアンプの置き換えは音の解像度(明瞭度)を上げることに貢献したように感じます。改v2も相当なものでしたが、ここまで来ると全く別物ですね。設計者もこれでやっと浮かばれるでしょうか。

さてこれにて改造は終わり。長らくSE-U55SX地雷の記事にお付き合い頂き、ありがとうございました。もうONKYO製品は買いません(ぉ

※改造後の音質についてはDAC聴き比べ記事を参照してください。

PC用DAC(改造済)の聴き比べ

はてブ数 2008/06/18電子::DAC/ADC

音楽再生はもっぱらサウンドカード等で行っていますが、改造しすぎてレベルアップしすぎでよく分からなくなってきたので整理してみます。

比較対象

どれも現時点で考えられる高音質化(コンデンサ、オペアンプ、抵抗の交換)を行っています。

Prodigy192VE

オペアンプ交換し(AD8066)、コンデンサを交換し、カップリングコンデンサを1つ残して削除し、抵抗を交換しました(原則ニッコーム)。最初からは考えられない高音質なサウンドカードとなっています。はっきり言って、その辺の市販品には負けることはないでしょう。

DACチップはSigmatelのSTAC9460という6ch DACです。

SE-U55SX

詳しくはSE-U55SX関連記事をみて頂くとして、部品抜き欠陥の修正、コンデンサ交換、オペアンプ交換(LM6171/LM6172)、抵抗交換(ニッコーム)を行いました。またDC直結DACに改造してあります。

なぜかUSBバスパワー駆動になってますが、これだけの音質が出るUSBバスパワー機器はないんじゃないでしょうか。

DACチップはBB(TI)のPCM1796です。

PCM2702DAC

TIのUSB-DACチップ、PCM2702を使ったUSBバスパワーDACです。まだ一部変更検討中ですが、こちらもDC直結DACです。

比較結果

今回はめずらしくOPA627使用のヘッドホンアンプで行いました。

Prodigy192VE(改v3) < SE-U55SX(改v3) ≦(?) PCM2702DAC

192VEは他と比べるとわずかに音の透明度で劣ります。SE-U55SXとPCM2702は再生音量の差が大きくボリュームの要因を排除仕切れないのですが(後者に有利)、PCM2702の方が一枚ベールが脱がれたようにも感じます*1。おそらく使用しているオペアンプの差*2で、素体の音質ではPCM1796の方が上だと思います。全帯域のバランスはSE-U55SXが上かも。

*1 : 訂正する予定

*2 : SE-U55SXにはLM6172、PCM2702にはLT1028を投入

過去の試聴との位置づけ

過去の試聴1とついでにPCM2901DACも含めると。

Prodigy192VE <<< SE-U55SX < 192VE改
   << PCM2901DAC < SE-U55SX改 < 192VE改v2
   << 192VE改v3 < SE-U55S改v3, PCM2702DAC 

こんな感じです。1行目のときは歪み感がありました。2行目は見違えますね。3行目は頂上決戦?

PCM2702DAC

ほぼ開発が完了したのであらためき聞き比べてみました。

192VE改v3 < SE-U55S改v3 << PCM2702DAC

PCM2702DAC、敵なしです(笑)

おまけ:VLSCについて

SE-U55SXはVLSC通過前と通過後の音を両方聴くことができるよう改造してあり比べてみましたが、明らかにVLSC前の方が良いです。音の広がり、純度共にVLSC通過後は劣りますね。高調波ノイズはVLSC後の方がたしかに減っているのですが、あまり恩恵には与れません。たしかに音の雑味が消えているのですが、デメリットの方が大きい感じです。

LPFに対して、VLSCが大きなアドバンテージを持つかと問われると難しいものがあります。商業上は(効果はともかく)「オーディオ界特有のセールス文句」として成功していますけどね。

部品を置き換えてもこの状況ですから、通常製品に使われるようなVLSC回路では、その回路による歪みの増加(回路の複雑化による音質劣化の増加)の方が恩恵よりも多そうです。本当にしっかりとした部品と回路構成で、初めて意味を持つのかもしれません。