SE-U55SXの回路
改造のために信号ラインの回路図を解説します。"*"付きの部品番号は「基板裏面に付いています」。回路は間違っている可能性があります。ご了承ください。
ADCまわり
ボリュームより手前は省略しています。LPFと、反転・非反転増幅によるシンプルな回路です。LINE IN入力部にはさらにLPFがあります。反転増幅を使ったバイアス回路というのは初めてみました。
オペアンプはLとRで共有しています。
DACまわり
右チャンネル(基板上では上部に該当)を示します。
IV変換 | VLSC回路 |
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IV変換回路は基本に忠実でシンプルです。VLSC回路は要するにLPFの一種です。イメージが完全に掴めないまま追跡したので回路も間違ってるかもしれません。
VLSC回路について
特許文献をみてみた(特許3616878)解釈。正確ではない部分もあるかと思いますが、DAC出力信号を入力とみなして、オペアンプを使った積分回路(LPF)の出力とDAC出力信号をオペアンプで比較し、等しくなるまでフィードバックをかける(積分回路に電流を流す)仕組みのようです。最終出力が積分回路(電流駆動されるコンデンサ充電電圧)であるため、高出力抵抗*1によるCRフィルタが構成されパルスノイズがでないという理屈です。
音声信号だけうまい具合に入力に最終出力が追従する訳はなく、オペアンプの性能次第でパルスに反応して積分回路が動くはずです。このVLSC回路というのは、オペアンプの非理想的な特性*2である動作速度の限界(スルーレート/帯域の制限)を積極的に利用したものと言えるでしょう。
DACのDC直結改造
IV変換抵抗であるR426とR428の抵抗値をうまく合わせると出力オフセット電圧を0mVにできます。こうすると出力コンデンサを外してDC直結にできます。実際試したところ、Rチャンネルはきっちり同じ抵抗値で揃いましたが、LチャンネルはそもそもDACチップの出力電流にオフセットがあるらしく、あえて抵抗値の違うものを付ける必要がありました。
デジタルテスタを駆使し、Q404(LならQ403)の2つの出力電圧(mVまで)とIV変換の抵抗値(mΩまで)を調べて出力電流値を計算し、それに合わせて正確に抵抗値を合わせれば出力コンデンサを外して直結できます*3。その他オペアンプの入力オフセットもここで吸収する必要があるため、Q404の出力電圧差と実際の出力電圧オフセットとの差(=オペアンプによるオフセット)も調整の際の計算に入れた方がよいです(こっちはほとんどないハズですが)。コンデンサ手前のオフセット値で数mV以下なら許容範囲内でしょう。
0mVと4mVに調整出来たため出力カップリングコンデンサをバイパスしましたが、やはりDC直結の音質は捨てがたいです。(注:書いてあることの意味がわからない人は、安易にDC直結改造してはいけません)