SE-U55SX分解レポート
本体
部位 | 解析仕様 |
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電源 | nichicon RU / 2200uF 16V |
ボリューム | ALPS2連ボリューム / RK14Kシリーズ |
DACコンデンサ/Digital部 | OS-CON SP型 / 270uF 16V |
出力カップリングコン | ELNA SILMIC II / 47uF 35V |
DAC | BB PCM1796 / SN:123dB, THD+N:0.0005% |
ADC | AK5385BVP / SN:114dB |
ヘッドホンアンプ | OPAMP NJM3414A(NJM3414AHC9) (SSOP) / +1倍(buffer)動作 |
- オペアンプはほぼすべて NE5532A (DIP/SOP) です。
- オペアンプの電源は +8V/-7.5V(内部DC-DC) です。
- ヘッドホンアウトは LINE OUT の信号がそのままボリュームへ流れています。
- その他の黒い電解コンは1箇所除き、デジタル部もすべて「TK製AUDIOコンデンサ」です。("TK"と"AUDIO"のみ刻印されています。詳細不明)
- 茶色い奴はフィルムコンです。ポリプロピレンフィルムだと思いますが詳細不明。
- 水晶発振器は2つ。24.576MHz(DAC用?/256分周で96kHz)と11.289MHz(DAC/DSDクロック)です。
- デジタル回路に使うOS-CONをSP型(OFCリード)にする必要はあったのでしょうか(謎)。*1
- ヘッドホンアンプ(1倍バッファ)の NJM3414A 出力電流は大きく取れますがあまり性能はよくありません。単電源で使用しているため、出力までにカップリングコン(TK)を2つ経由します(バイパス不可)。ヘッドホンアンプはあくまでおまけなのでしょう。*2
- LINE OUTのオペアンプは、なぜかDIPてす。回路実装を考えたら意味は全くないので、載せ変えを考えたはからいにしか思えない。
- 今時めずらしく、表面実装電解コンが1つもありません。
- この音響用カーボン抵抗(リード)はなんでしょう?
出力カップリングコンのSILMIC IIを外そう(ジャンパしよう)と思っていたのですが、その前段に20mV以上のDCオフセットが漏れているため諦めました。
ノイズの観測
アダプタ電源 | DAC電源(3.3V) | DAC電源(5V) | LINE OUT |
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アダプタの観測。重さからスイッチング電源であることは明かでしたが、オシロで観測するとスイッチングノイズで出ています。スイッチング速度は40kHzです。消費電流は常時 620mA 程度でした。
DACのデジタル部(+3.3V)電源はかなりノイズ混じりですが、この部分にノイズがあってもなくても音質にはさして意味はありません。アナログ部電源(+5V)はTKのコンデンサ(470uF 10V)ですが、かなり綺麗です。ここを低ESRコンデンサに変えるとよりノイズが減ると予想されます。
出力は1kΩ終端時のものです。かなり大きなノイズが漏れています。これでどうやったらSN 115dBなのか疑問に思うかもしれませんが、これらのノイズは可聴域外なので、聞こえないし測定しても出てこないということでしょう。まだ謎のVLSC回路とやらを解析してないので分かりませんが、LPFが無いのかもしれません。→参照:SE-U55SXの電源と出力ノイズの謎
オペアンプ電源である+8V/-7.5VもAnalog+5Vと似たようなノイズレベルです。ただその平滑用コンデンサのパターンがOSコンやSILMIC IIと同じように作ってあるのに、TKのコンデンサが乗っているあたり謎です。載せ替えろってことでなのか(苦笑)
余談
無論保証外ですが、こんなケーブルを用意するとノートPC単体で使えます。これだけの性能の DAC/ADC がACなしでポータブルできるのはかなり魅力的です(たしか極性統一の#1だったと思います。違ったらごめんなさい)。
謎のスイッチ
分解して基板を取り外した人はすぐに気づいたと思うのですが、本体裏に謎のスイッチがあります。通常使用時はオフのようです。このスイッチはUSBマイコンのあるピンに入力されていて、スイッチの状態を観測するようになっています。
解析したところ、スイッチONのままUSBデバイスを認識させると「USB Device Update mode」になりました。使用しているUSBマイコンには、USB経由でファームウェアをアップデートする機能があり、そのためのスイッチのようです。*3