レールスプリッタ入門 ~ 仮想グランドのあれこれ
※本稿はC79でのstrvさんのサークル同人誌への寄稿原稿を元に書き起こしました。
寄稿原稿のpdf版 : strv-c79-nabe.pdf
※本稿はC79でのstrvさんのサークル同人誌への寄稿原稿を元に書き起こしました。
寄稿原稿のpdf版 : strv-c79-nabe.pdf
※2012/12/28 回路図Ver1.4を掲載。全面的に修正。
※2012/02/07 サポート情報に内容追加
音がいいらしいと評判の TPA3110D2 を使ってD級アンプを製作してみました。
キット委託中です。
ゲイン20dB(10倍)。
部品番号 | 部品 | 数 | 備考 |
---|---|---|---|
U1 | NJM7809 | 1 | 3端子レギュレータ9V |
U2 | NJM7812 | 1 | 3端子レギュレータ12V |
U3 | TPA3110D2 | 1 | D級アンプIC |
FB1,3-6 | 電力用フェライトビーズ | 5 | MI1206K601R-10。3216サイズ/1.5A/600Ω |
FB2 | フェライトビーズ | 1 | MMZ2012R102A。2012サイズ/500mA |
L1 | パワーコイル 100uH/1.4A | 1 | 12RS104C |
L2 | チップコイル 100uH/40mA | 1 | GLCR2012T101M-HC |
R1 | 100kΩ | 1 | カーボン抵抗、チップ抵抗 |
R2 | - | - | 未実装 |
R3 | 10kΩ | 1 | カーボン抵抗、チップ抵抗 |
R4 | - | - | 未実装 |
R9 | 220Ω | 1 | ノイズ除去用抵抗(何でも) |
C1-C4 | OS-CON SEPC 16V/470uF | 4 | 固体コンデンサ |
C7,C8 | OS-CON SEPC 16V/100uF | 2 | 固体コンデンサ |
C9-C12 | PSチップフィルム 0.22uF | 4 | ECP-U1C224MA5 |
C13-C16 | PPSチップフィルム 2200pF | 4 | ECH-U1C222GX5 |
C21-C24 | PSチップフィルム 1uF | 4 | ECP-U1C105MA5 |
C31-C37 | PSチップフィルム 0.1uF | 7 | ECP-U1C104MA5 |
C41-C47 | PPSチップフィルム 0.01uF | 7 | ECH-U1C103GX5 |
C51-C57 | PPSチップフィルム 1000pF | 7 | ECH-U1C102GX5 |
C61,C62 | 積セラ 0.01uF/X8R/50V | 2 | チップ積セラ |
C63,C64 | 積セラ 0.1uF/X8R/25V | 2 | チップ積セラ |
C5, C6 | 積セラ 1uF/X7R/25V | 2 | チップ積セラ |
D1-D16 | ショットキーバリアダイオード | 16 | 20V以上、1A程度流せるもの |
LT3582は2.55V~5.5Vの単電源から正負電源を生成できるICで、出力電圧はプログラミングできます。予め12Vに設定されたICを使って±12VのDCDCコンバータを製作しました。
前作ったやつと基本的には同じですが、基板を起こし直しました。PCM2702-v2 DACのDCDC部分を取り出したような感じですが、多少調整しています。
入力電圧 | 2.55~5.5V |
---|---|
出力電圧 | ±12V |
出力直流等価抵抗 | 約5Ω |
大きさ | 縦横 約20.5mm / 厚み 約4.3mm |
出力電流 | 50mAぐらいまで / 絶対定格130mA(L3,L4の制限) |
このボードは出力にLフィルタが付いているため、直流等価抵抗を持ちます。出力電流に応じて電圧降下が発生します。
番号 | 概要 | 型番 |
---|---|---|
U1 | DCDC IC | LT3582-12 |
C1,C2 | 積セラ 10uF/16V/X5R | EMK212BJ106KG-T |
C3,C4 | 積セラ 10nF/25/X7R | - |
C5,C8,C9 | 積セラ 1uF/16V/X7R | EMK107B7105KA-T |
C6,C7 | 積セラ 47uF/16V/X5R | C1210C476M4PACTU |
D1,D2 | SBD 30V/2A/0.37V@2A | CMS06(TE12L,Q,M) |
L1,L2 | パワーコイル 10uH | NR6028T100M |
L3,L4 | チップコイル 100uH/4.5Ω | GLCR2012T101M-HC |
F1,F2 | フェライトビーズ 1kR | MMZ2012R102A |
入力に大きめのコンデンサと出力フィルタつけてある以外、ほぼデータシード通りです。*1
元々C6/C7も10uF、L3/L4に10uHや47uHを使っていたのですが、いざアンプにつないで試聴テストをすると音がガヤガヤするので、47uF/100uHに変更。DC安定度は少し悪くなるのですが、簡単にみた感じでは電池とそんなに変わらないかという感じでした。
いつものヘッドホンアンプを熱暴走しないよう定数変更*2して使いましたが、両チャンネルで50mAぐらい消費して、このとき入力は4V前後で400mAぐらいになります。
実際100mA程度までは動作しないこともないのですが、電池(エネループ)では電流不足のとなるため50mAぐらいが限界の模様。また電流を多め(100mA~)に取ったとき、5Vを超えると動作が不安定になることがあります。入力側のコンデンサを増やすことで改善するかもしれませんが未テストです。
追加情報があれば随時掲載します。委託頒布はこちら。
某DACのオペアンプを載せ替えて色々遊んでいたのですが、DACの音が向上してきたためTPA1517アンプ(加筆済)で音質比較するのが厳しくなってきました。そこでキット版より音が悪いユニバーサル基板回路をあれこれ改修してたのですが、分かったことを少しまとめておきます。
いずれもパナソニック製チップフィルムコンデンサ。
C3,C4にECPU 0.1uFでパスコンを打ちました。0.1uFのパスコンは昔から非常によくやられますが、それほど効果があるのか疑問でした。結果明らかに音がよくなりました。
3端子レギュレータ1次側にも10uF/1uF/0.1uFの積セラを入れたのですが、この部分だけ単独で試さなかったため効果は未確認。多少は効果あると思います。*1
個人的にはカップリングコンを全く使わないのであまり知らなかったのですが、電解コンデンサなどのカップリングコンに「ECPU 0.1uF」などをパラ挿入すると音質が大きく改善します。(電解コンはどうしても高域が苦手/固体コン除く)
ECPU 1uFにも同じことができるという話を耳にし、C5,C6のECPU 1uFと並列にECPU 0.1uFを付けたところ、明らかに音質が改善しました。
ECPU 1uFはフィルムコンデンサでもともと(電解と比較して)高周波特性が優れます。そこに0.1uFを付けて変わるものかと半信半疑でしたが、かなり驚きました。0.1uFがちょうどいいかは分かりませんが、0.01uFでは改善効果は弱くダメでした。
ECHUの100pF/330pFはDACのLPFで使用して、知っている小容量フィルムコンの中で一番音質が優れていることは実感していました。容量が大きいとどうなるのか興味が湧いてECHU 0.1uFを購入してたものの何ヶ月も放置されていました。
C5,C6につけてあるECPU 0.1uFのうち、C5だけECHU 0.1uFに交換してみました。音声信号ラインとはいえたった1箇所です。差はハッキリと現れました。音がおとなしく丸くなったような感じです。
正直期待はずれかと思いましたが、さらに念入りに比較していると面白いことが分かってきました。
LT1037ACNを使ってる時も感じることなのですが、ボーカルなどの張りが消える傾向があります。だから聴きなれた音と比べると若干違和感があったりするのですが、聴き馴染んでくるとこの音の良さが分かってきました。
こんな話をしたら早速「ECHU 0.1uFはちょっとなあ……。ECPU 0.1uFのほうがいい」というツッコミが来ました(苦笑)
何をもって音が良いとするかは人それぞれですが、このブログでは一貫して
複数の音が混ざらないことを最優先する
ECHU 0.1uFに変更したときもう1つ感じたことがあって、それは「わずかに音が小さくなった」ということでした。経験則として、ボリュームをいじってないのに音が小さく感じたときは大抵複数の音が混ざらない方向に進んでます(ハイ上がり等で帯域バランスが狂ってない限り)。
ECHU 0.1uFよかったらお試しください(苦笑)。でも入手が面倒*4なので何がなんでも試す必要はないし、そこまでするものでもありません。ECPU 0.1uFで通常は十分すぎます(^^;*5
その後、TPA1517アンプとTPA3110D2 D級アンプの比較試聴の為に色々やっていたらもっと良くする方法が見つかりました。
ECPU 0.1uFとECHU 0.1uFは単体ではECHUの音が良いですが、更に 0.01u + 0.001u をつけるならどちらでもさほど変わりませんでした。「ECHU 0.1uF」は3225サイズと大きくて邪魔なので後者の組み合わせが使いやすいと思います。
試した場所は以下の2パターンです。
どちらの場合も、「ECHU/ECPU 0.1uF」「ECHU 0.01uF」「ECHU 0.001uF」のいずれか1つだけ付けた場合も、いずれか1つだけ外した場合も、すべてのケースで聞いて分かる差がありました。*6
電解コン(OS-CON)だけで何もついてないところに「ECPU 0.1uF + ECHU 0.01uF + ECHU 0.001uF」をつけるのと、回路や主要部品が変わったかのような劇的な変化を生みます。もっともお値段も3つで100~150円ぐらいしますけど(^^;
今後はこの3つのフィルムコンの組み合わせをベースに色々つくろうと思いました。