低電圧ヘッドホンアンプ Ver3 (op-dbuf3)
多数の方に製作して頂いた低電圧ヘッドホンアンプ(op-dbuf/op-dbuf2)の最新進化系になります。自作HPAにどうですか?
- 単3電池×2本仕様
- 消費電流70~80mA
- 最大振幅:約2Vpp(ニッケル水素使用時)
キット頒布終了。基板のみはありませんが、こういう手も。改良版の回路図が記事の最後にあります。
多数の方に製作して頂いた低電圧ヘッドホンアンプ(op-dbuf/op-dbuf2)の最新進化系になります。自作HPAにどうですか?
キット頒布終了。基板のみはありませんが、こういう手も。改良版の回路図が記事の最後にあります。
D級アンプって一度PWM等に変調してしまえば、出力段はon/offだけっていう結構面白い動きをするのですが、変調回路と出力回路を切り離して、例えば変調回路を1Vで動かして最後のスイッチ出力を10Vで動かすと利得が10倍(20dB)になったりします。
つまり、D級アンプというのは(フィードバックの要素を除けば)変調回路で基準とした電圧と、出力回路でスイッチする電圧の比で音量が変えられます。通常、ボリュームで音量を変更するほうが楽なのでこんな方法は使わないのですが、これはこれで利点があります。
2つ目を狙ってヘッドホンアンプ回路を作ってみました。
電源電圧からVRで分圧し、その電圧をオペアンプで生成するシンプルな回路です。PWM変調信号をVgs=1.5Vで動くP-ch/N-chのコンプリMOS-FET*1でスイッチさせます。*2
上がPWM信号、下が出力信号です。MOSスイッチの関係で位相反転していますが、狙い通りうまく動きました。音声信号をボリュームに通さないため、音質もこれより優れてる感じがあるのですが……。
ボリューム(出力基準電圧)を絞ったときの出力波形が以下になります。
これは無音時のものですが、PWMのスイッチ波形と同期して振動が見えます。
何が起きているのかと言うと、MOS-FETのゲート・ドレイン間容量およびゲートソース間容量(Ciss/今回は37pF)があるために、PWMのスイッチ信号が出力に漏れ出しているのです。そのため大きな振動が出てしまっています……。
ここで音声入力があると次にようになります。
スイッチ入力による振動が漏れて、そのスイッチ振動のタイミングがPWM変調されているため(PWM信号と同期しているため)、たとえ出力用電圧が0Vであってもその音がヘッドホンに漏れ出してしまいます……。
実際何が起こったかというと、低音量時(VRによる電圧が±0.2Vや0V(無音設定))時に、音が駄々漏れし、おまけに振動による雑音が大きく聞こえます。
±2V程度の低電圧スイッチ回路、しかもヘッドホンアンプという能率の高い再生機器では、思った以上に無謀な挑戦だったようです……。
改善策としては、
などが考えられますが、いつもどおり回路規模をあまり大きくしたくないので、今のところ打つ手なしの状態です(汗)
世の中に電源電圧可変によるボリュームを実現したD級アンプをみかけないのは、それなりに理由があったんですね……。
※2016/05/29 更に改良を重ねたVer2の回路を公開。
※2014/10/13 改良版へのVersion UPキットが販売されてます。
※2014/10/13 改良版を掲載。
※2012/12/12 推奨オペアンプを修正・追加
※2012/06/15 回路変更を追記(箇条書き下のほう)
※2012/05/08 プリント基板頒布しました。
※2012/03/05 長ったらしいので、略称「D級HPA」あたりで。
※2012/02/12 回路図を少し変更。補足を修正。
単3(単4)電池2本で動くD級ヘッドホンアンプです。しかもBTLではないので普通のヘッドホンで使用出来ますし、回路が非常にシンプルで作りやすいのが特徴です。
当ブログでは久しぶりの新型ヘッドホンアンプとなります。
※プリント基板頒布中です。
strvさんのフルディスクリートD級アンプDPA01を組み立てました。
出力端子を買ってくるのを忘れたのでケーシングは諦めて(=スピーカーにつなぐのは諦めて)、5.2V駆動させてヘッドホンを鳴らして遊んでいました。ヘッドホンだとD級独特の「ジー」ノイズが聞こえてしまうのはご愛嬌ですが、これが結構ちゃんと鳴るんです。
さすがにジー音がひどいのでパワースイッチと、信号段の間に100Ω+100uH+フェライトビーズのいつものフィルタと16V 680uFの電解×2、16V 100uFのOS-CONを入れました。
D級特有の中域の明瞭感があり、その点だけとればどのアナログアンプよりも優位。ただし、D級のジー音がどうにもこうにも……なので、同じようなものを作ってしまえ!と(苦笑)
フィルタが8Ωの純抵抗負荷用に設計されているので*1、「12V駆動して出力を6Ω+2Ω(=8Ω)で終端し、分圧。これの2Ω側と並列にヘッドホンをつなげると良い感じで鳴る」(作者のstrvさん談)とのことです。
いつもどおり電池2本です。バカの一つ覚えここに極めたり(苦笑) ……といいたいところですが、D級ヘッドホンアンプを製作する場合、電源電圧が高いと色々と問題があります。
この点で電池2本というのは悪くない選択です。
よくある三角波生成回路を使って、バッファを使わずオペアンプで直接出力してみました(笑) そのせいで上のDPA01よりマシですが「ジー音」との戦いになってます。諦めたらバッファ付けます^^;; 回路原理はDPA01とまったく同じなのでstrvさんの同人誌「HPA&Analog Vol.6」を読んでください(苦笑)
使えるオペアンプですが、確認したところで2つです。
スルーレートの高いオペアンプでないと、高周波の三角波がうまく生成できませんし、最後のH/L出力も立ち上がり波形や立下り波形が鈍ったり、三角波の波形が崩れると、音の明瞭感が損なわれ混ざったり、場合によっては歪んだ音になります。またU2はオーバーシュートが少なく、しかもある程度電流が取れる高速オペアンプが必要になります。*2
発信周波数は「C 470pF」を330pF~2200pFぐらいに変更すると色々変わります。積セラではなくフィルムコンを使ってください^^;; 発振周波数を100~200kHzまで下げればAD8656等の他の(レールtoレール)オペアンプで動作します。
オーバーシュートと波形歪み | それなりにうまく動作中 |
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色々述べましたが、この回路はあくまで実験回路です。現状、結構良い感じには鳴っていますが、ジー音との戦いとか色々あります。試したらぜひコメントください。
たまにはみんなで公開実験して回路を改良して行きましょう(笑)
高域ノイズみたいのは対策して消せたのですが、ホワイトノイズが消せない……。
バッファオペアンプ兼コンパレーターが、負帰還をかけないと電源以上にノイズを出してしまうことが分かったので(しかも音声帯域のホワイトノイズ(苦笑) ……出力に直接乗ってるのか、スイッチ動作のゆらぎに混ざってるのかは不明)、諦めてMOS-FETで出力バッファを組む予定。
ホワイトノイズ発生源を調査していたら、基準となる三角波が原因だったので(ファンクションジェネレーターで三角波を入れたらホワイトノイズが激減した)、カプリングコンデンサC6を入れ、R4とあわせてカットオフ34kHzのHPFを構成し音声帯域のノイズを三角波から消したら見事に解消。*4
C7は「キー音」ノイズ対策で、前から入れたあったけど秘密にしておくのも何なので公開。オペアンプ側から漏れ出すスイッチノイズを逃す役割があります。ボリュームを10KΩ以外にする場合は値を変えてください。*5
動作確認オペアンプは次のとおり。
上にあるとおり高速オペアンプ以外では動作しません。電圧は電池2本~オペアンプの耐圧が許せば高くても大丈夫みたいですが*6、せいぜい電池4本ぐらいで。抵抗はカーボン抵抗で充分(笑)
フェライトビーズがなければ省略してください。出力フィルタの47uHのコイルは直列等価抵抗が2.4Ωあるものを使いましたが、パワーコイルを使うと100kHzぐらいの共振が強く出るので、直列に2.2Ωぐらい入れたほうがよいかも知れません。コンデンサは言うまでもなくフィルムコン。
ヘッドホンによるかもしれませんが、あのヘッドホンアンプより音良かった(苦笑) 色々研究して後日記事にまとめますが、速報としておいておきます。
ちなみに、あのヘッドホンアンプの改良型回路も考え中なんだけど、どうしたものか(苦笑)
特殊な部品は何も使ってませんし、オペアンプも国内通販で手に入りますし、誰か作りませんか?*7
あくまで実験中の回路です。不具合等々は覚悟の上で作ってください^^ これをベースに色々いじりたい人向け。
1ヶ月以上放置されていたHA10miniをようやく製作しました。
その結果。
再生による熱発生→バイアス増加となるので、面倒くさいのでその状態で使うことにしました。1トランジスタあたり40mAなので、片chあたり80mA終段に流してます。
20時間程度のエージング&個人の主観です。ヘッドホンは高能率40Ω。
試聴対象。
製作直後、HA10miniの恐ろしいまでの音の綺麗さにビビリました。これはop-dbuf2はダメかも知れないと(苦笑) 20時間ほど電源ぐらい入れて全部放置の上、再度聞き比べ。
音の綺麗さではop-dbuf2の惨敗でした。中高域が綺麗というか響きがいい。ただ出力インピーダンスがやや高いようで、低音の締りが弱くその影響で量感が多めです。普通設定しない終段100mAでこうなってしまうので裸ゲインの弱さが効いてる模様。裸インピーダンス以外にもNFBも影響するんだなあと思い知った*2。響きの良さも若干残響しているようにも感じました。ただしそれを差し引いても音は綺麗です。*3
op-dbuf2ではREYの影響で音の綺麗さでは敵いませんでした。改でいい勝負ですがそれでも負けてる気がする。好みもあるとは思うけど。
十分通電エージング済ませて改めて聞いてみました。
改善されたところ。
SEPCを使ったのでやはり100時間超えないと落ち着きませんでした。中高域が綺麗だけど低音がぬるいというのが総合的な感想です。低音はベースとか楽器の響きの部分になるので、気になる人は辛いかも。
そこが気にならない人は、中高域の綺麗さが心地良く感じるところだと思います。落ち着いて音は似通ってきたものの、傾向は当初感想と同じ。
よく言われる刺さりがないのはヘッドホンの差もあると思いますが、Zobel抵抗(R22,R44)を10Ωに変更*4したのが効いてるのかも知れません(未確認)。
念を押しておきますが回路定数が変更されたものへの感想で、オリジナルに対するものではありません。
当初終段抵抗が1Ωだったため、抵抗を規定の2Ωに変更しバイアス電流を1トランジスタ当たり10mA(設計規定値の下限)に調整。その後テストしてみました。
40Ω高能率ヘッドホンで普通に聞いていると、終段トランジスタが発熱するのかすぐにバイアス電流が40mAに跳ね上がりました。R5,R6,R27,R28に330Ωを使用していたため390Ωに変更したら少し改善したものの、それでも30mAぐらいまで増えました。
これはおそらく設計仕様な印象なのですが、倍率下げたせいで若干発振してるとかなのかなあ。同じ症状だって人居ますか? 使用したトランジスタは2SC4116/2SA1586のGRです。
使用上で困るわけではないけど、なんか気持ち悪い。*5
HA10miniに音質的に全然敵わないとなれば某キットの配布を考え直す必要があるなと。綺麗さでは完全に負けるけど、許容範囲と思っておきます(汗) REYは電源入れてしばらくしないとまともな音しないのが難点ではあります。ビスパで頒布中なんだから、ついでにLGMFSでも買って変更してください。
とても音が綺麗なHA10miniもおすすめだけど、違う方法や部品で製作すればまた音も違うので、その辺は自己責任でお願いします(汗)
関係ないけどTPA1517スピーカーアンプのキットを委託しました。ヘッドホンじゃありませんスピーカーです。
すごく音がいいのにあまり作ってくれる人が居ないので、最初の19個に限り破格の3980円*6。この値段で出ることは今後ないと思いたい。それ以前に今後もこのキットを提供するか分かりません(笑)
ちなみに、記事にあるユニーバーサル実装の回路より、キットのほうが音がいいっていう悲しいオチが付いてます。作りこんであって今更基板入れ替えたくないのでそのまま放置(苦笑)*7