2009/04/20(月)レールスプリット簡易検証

2V~動作可能なレールスプリット回路。よくカレントミラーが使われるけど、ほんとにいいのかと疑問に思って簡単に検証。

rail_split_circuit.png

組むのが面倒だったのでLTSpice。よって正確じゃないけど目安程度にはなるかなと。シミュレーション結果がこれ。

rail_split_sim.png

カレントミラー(赤色)とダイアモンドバッファ(緑色)の比較。一応ダイアモンドバッファの方がいいらしいけど、圧倒的でもない。どっちもアイドル電流を変えると改善します。

カレントミラーは電圧バランス崩れを定電流充電するという感じだと思いますが、電流性出力だからインピーダンスは低くないようで。一方低出力インピーダンスの定番ダイアモンドバッファも、入出力電圧の差が小さいときには出力インピーダンスが大きくなる(バイアス電流による)ので、これまた万能とはいえず。

こう見るとレールスプリットはオペアンプと組み合わせた方が性能が飛躍的にあがりますが、今度はレールスプリット回路安定性が微妙に。LT1498とかだとかなり安定ですけど。

備考

掲載回路のダイアモンドバッファはそのまま使いませんように。電圧をあげていくと熱損失でトランジスタが壊れたり抵抗が発火する危険があります

追記 2009/05/04

Q5~Q8のカレントミラーですが、R6/R7を1kΩにすると12Vが限界でした。15VかけるとQ6/Q7が熱暴走します(普通の電源ならばそのままトランジスタが焼け死にます)。熱結合すれば解消されますが、微妙ですね。

Q6/Q7のコレクタ側に10mA程度のCRDを付けて補償することもできますが、応答性がCRDで頭打ちされるため電源としての性能は明らかに劣化するようです。オシロで音楽再生時に観測すると倍(6dB)ぐらい違います。

2009/03/03(火)紹介

時間が取れないのですが、低電圧ヘッドホンアンプのバッファ部をもっと良くできそうなアイデアを出されている方が居ます。

どっちか試したい、試したいけど暇がない(苦笑)

ループする回路に意味はあるのか?

はてブ数 2009/02/04電子::アンプ

低電圧ヘッドホンアンプ(ダイアモンドバッファ付)の回路に次のようなコメントを頂きました。

回路図を眺めていておもったのですが、P点を接続するとOPアンプからの出力が

ダイヤモンドバッファをスルーしてしまうような気がするのですがどうなんでしょう?

僕の中学理科程度の解釈が正しければ、ショート=0Ωな方に信号は流れていくと思うのですが・・・

ともさんのコメント

明らかに釣りですが、暇だったのでいい勉強になりそうだったので付き合ってみました(笑)

※2009/10/10 本文修正

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2009/01/28(水)超低消費電力なメモ

超低消費電力アプリケーションのためのデバイス選択メモ。

MPU

MSP430F54xx

16bitマイコンながら、恐ろしいまでの低消費電力。今現在、この右に出るデバイスはない。180uA@1MHzで、その他徹底した低消費電力対策がされている。ADC, RTC, SPI等々内臓。内部にレギュレータを内蔵しているようで、供給電圧に関わらずコア電圧は1.8Vで動く模様。

1万円出せば標準デバッガ(JTAGツール)が購入でき、Cの統合開発環境(MSP-CCE430/Eclipsベース)が利用できる。コードサイズ16KBまで無償で利用できるため大抵は間に合ってしまう*1。オンラインでCソースレベルデバッグが可能で、これを知ってしまうとPICでちまちまアセンブラを書くのがあほらしくなってくる。命令コードはC言語に最適化されている。*2

ZigBeeや無線タグなどを強く意識した製品シリーズ。1命令サイクル=1クロック

*1 : 製品版を買っても7万円なので良心的

*2 : アセンブラで利用しても比較的素直な命令セットなのでそんなに不便ではない。

DCDC

LTC1878

降圧型高効率DCDCコンバータ。データシートによれば1mA以下でも80%程度の変換効率を持つ*3

コイル外付け。動作電流10uA。2.65~6Vで動作。

*3 : 一般に高効率DCDCコンバータと呼ばれるICは、1mA以下の低消費電流領域では効率が著しく低下する

電圧レギュレーター

TPS797xxTPS782xx

TIの超低消費電流(<1.2uA)レギュレータ。後者はTI自らMSP430用を謳っている。TPS797xxとTPS782xxを両方使い分けると、1.8V~3.3Vまで一通りの電圧がそろう。

最大入力電圧5.5V。

パワースイッチ

FPF1004-1006

Hiサイドパワースイッチ。MOS-FETとMOS-FETドライバを一体にした電源スイッチ。1.2~5.5Vで動作し、50~250mΩといった低いON抵抗、動作電流/シャットダウン電流共に1uA以下、ターンオン時間10us(0.1uF)といった驚異的なスペック。

スイッチデバイスは低消費電力アプリケーションでどうしても電力を食うもの(MicroSDカードとかDACとか)を動作させる必要があるとき、非使用時に電源を切断する目的で使用します。

加速度センサー

ADXL330

180uA@1.8Vのセンサー。Wiiでも使われている加速度センサー。アナログ出力。ADXL345というデジタル接続のより低消費電力のセンサーもありますが、また入手できません。


1.8V駆動じゃないと消費電流が増えるので注意。


メモ

これらをごにょごにょって組み合わせると、個人レベルでも驚異的な低消費電力アプリケーションが作れます。


もっといいデバイスがあったら教えてください。