2012/01/14(土)PWMなD級アンプ組み立て

strvさんのDPA01組み立て

dpa01.jpg

strvさんのフルディスクリートD級アンプDPA01を組み立てました。

出力端子を買ってくるのを忘れたのでケーシングは諦めて(=スピーカーにつなぐのは諦めて)、5.2V駆動させてヘッドホンを鳴らして遊んでいました。ヘッドホンだとD級独特の「ジー」ノイズが聞こえてしまうのはご愛嬌ですが、これが結構ちゃんと鳴るんです。

さすがにジー音がひどいのでパワースイッチと、信号段の間に100Ω+100uH+フェライトビーズのいつものフィルタと16V 680uFの電解×2、16V 100uFのOS-CONを入れました。

D級特有の中域の明瞭感があり、その点だけとればどのアナログアンプよりも優位。ただし、D級のジー音がどうにもこうにも……なので、同じようなものを作ってしまえ!と(苦笑)

補足

フィルタが8Ωの純抵抗負荷用に設計されているので*1、「12V駆動して出力を6Ω+2Ω(=8Ω)で終端し、分圧。これの2Ω側と並列にヘッドホンをつなげると良い感じで鳴る」(作者のstrvさん談)とのことです。

*1 : 実際確認したら、でこぼこの通過帯域特性が8Ω負荷のときには通過域平坦になっていた

PWM式D級ヘッドホンアンプ(実験)

pwm-hpa-test.jpg

いつもどおり電池2本です。バカの一つ覚えここに極めたり(苦笑) ……といいたいところですが、D級ヘッドホンアンプを製作する場合、電源電圧が高いと色々と問題があります。

  • 電源電圧が高くなるとゲインがどうしても高くなってしまう。
  • 出力段スイッチが発生する電源ノイズがどんどん強くなってしまい、結果、何も再生してないのに出力がノイズだらけに……。

この点で電池2本というのは悪くない選択です。

pwm-hpa.png

よくある三角波生成回路を使って、バッファを使わずオペアンプで直接出力してみました(笑) そのせいで上のDPA01よりマシですが「ジー音」との戦いになってます。諦めたらバッファ付けます^^;; 回路原理はDPA01とまったく同じなのでstrvさんの同人誌「HPA&Analog Vol.6」を読んでください(苦笑)

使えるオペアンプですが、確認したところで2つです。

  • ADA4891-2(U2だと音声帯域にもホワイトノイズが……)
  • LTC6253(U2だとオーバーシュートが)

スルーレートの高いオペアンプでないと、高周波の三角波がうまく生成できませんし、最後のH/L出力も立ち上がり波形や立下り波形が鈍ったり、三角波の波形が崩れると、音の明瞭感が損なわれ混ざったり、場合によっては歪んだ音になります。またU2はオーバーシュートが少なく、しかもある程度電流が取れる高速オペアンプが必要になります。*2

発信周波数は「C 470pF」を330pF~2200pFぐらいに変更すると色々変わります。積セラではなくフィルムコンを使ってください^^;; 発振周波数を100~200kHzまで下げればAD8656等の他の(レールtoレール)オペアンプで動作します。

オーバーシュートと波形歪みそれなりにうまく動作中
pwm-hpa-osc1.PNG
pwm-hpa-osc2.PNG

色々述べましたが、この回路はあくまで実験回路です。現状、結構良い感じには鳴っていますが、ジー音との戦いとか色々あります。試したらぜひコメントください。


たまにはみんなで公開実験して回路を改良して行きましょう(笑)

追記

高域ノイズみたいのは対策して消せたのですが、ホワイトノイズが消せない……。

バッファオペアンプ兼コンパレーターが、負帰還をかけないと電源以上にノイズを出してしまうことが分かったので(しかも音声帯域のホワイトノイズ(苦笑) ……出力に直接乗ってるのか、スイッチ動作のゆらぎに混ざってるのかは不明)、諦めてMOS-FETで出力バッファを組む予定。

*2 : どうして市販のD級アンプICのスイッチ周波数がせいぜい200~300kHzか謎だったのですが、周波数を低くするとフィルタで取り除きにくくなり、周波数を高くすると周波数に応じたコンパレーターや出力スイッチの高速動作(素早い立ち上がり、立下り)が要求されるからみたいです。もし、スイッチ周波数に対して十分な立下り・立ち上がり特性を実現しないと矩形波が歪み、結果として再生音が歪みます。搬送波を1MHz程度にして、U2にAD8656等の遅いオペアンプを持ってくるとで実感できました。

ちゃんと鳴った

pwm-hpa-beta.png
*3

ホワイトノイズ発生源を調査していたら、基準となる三角波が原因だったので(ファンクションジェネレーターで三角波を入れたらホワイトノイズが激減した)、カプリングコンデンサC6を入れ、R4とあわせてカットオフ34kHzのHPFを構成し音声帯域のノイズを三角波から消したら見事に解消。*4

C7は「キー音」ノイズ対策で、前から入れたあったけど秘密にしておくのも何なので公開。オペアンプ側から漏れ出すスイッチノイズを逃す役割があります。ボリュームを10KΩ以外にする場合は値を変えてください。*5

動作確認オペアンプは次のとおり。

  • ADA4891-2 220MHz 170V/us(推奨、でもU1には向かないみたい……)
  • LTC6253 400MHz 280V/us
  • LTC6247 120MHz 90V/us
  • LT1807 325MHz 140V/us(U1のみ。U2では音が歪む)

上にあるとおり高速オペアンプ以外では動作しません。電圧は電池2本~オペアンプの耐圧が許せば高くても大丈夫みたいですが*6、せいぜい電池4本ぐらいで。抵抗はカーボン抵抗で充分(笑)

フェライトビーズがなければ省略してください。出力フィルタの47uHのコイルは直列等価抵抗が2.4Ωあるものを使いましたが、パワーコイルを使うと100kHzぐらいの共振が強く出るので、直列に2.2Ωぐらい入れたほうがよいかも知れません。コンデンサは言うまでもなくフィルムコン。

ヘッドホンによるかもしれませんが、あのヘッドホンアンプより音良かった(苦笑) 色々研究して後日記事にまとめますが、速報としておいておきます。

ちなみに、あのヘッドホンアンプの改良型回路も考え中なんだけど、どうしたものか(苦笑)


特殊な部品は何も使ってませんし、オペアンプも国内通販で手に入りますし、誰か作りませんか?*7

*3 : (1/17)回路図修正しました。ご迷惑おかけしました(汗) >ひよひよさん

*4 : 発振周波数は約1MHzなのでカットオフはもっと高めでもいいかもしれない。

*5 : ボリュームを倍にすればコンデンサの値は1/2ですが、10KΩでも20KΩでも100pFぐらいがよさそうです。50KΩ以上のボリュームは非推奨。

*6 : 電圧が増えるとそれに比例して三角波が大きくなるので音量は変わらない

*7 : 昔よりこういうの公開しても作る人減った気がする。半ば感想聞きたくて公開してるんだけど(苦笑) キットが10個頒布されるのもうれしいけど、それより1つの感想が聞けたらもっと嬉しい。

補足と随時追記

あくまで実験中の回路です。不具合等々は覚悟の上で作ってください^^ これをベースに色々いじりたい人向け。

  • オペアンプによって波形が崩れたりヘッドホンで相性でたり、なかなか大変です(苦笑)
  • D級の難点、ヘッドホンによって高域が綺麗にでないことも……。
  • Zobel(スナバ)つけるといいかも。今のところ、0.1uF+1Ω。
  • C5を1000pFぐらいにしたほうが音がガサガサがしなくて(なめらかで)良い感じ。
    • U1=LT6253(書き間違え)LT6247, R2=22k, R3=15k, C5=1000pF, U2=ADA4891-2
    • R2,R3は値が小さいほうが外来ノイズを拾わなくて良いのですが(手を近づけるとU1の3pinが拾いやすいことが分かる)、R2=2.2k, R3=1.5kよりもこの値のほうが音がいいという謎。
    • 振周波数が330kHzぐらいになり、除去しきれないスイッチノイズ漏れが……。
    • 特にHDDレコーダーをつなぐと謎のホワイトノイズが……。レコーダーのDACに330kHz付近の残量ノイズがあると予想するけどまだ不明。
  • (1/28)自励式(別回路)を調整中。こっちの方が楽で良いかもしれない。

自励式の完成回路図(記事)はこちらに。

2011/12/22(木)C81関連の告知

原稿寄稿しました

strvさんのサークルの電子工作本「HPA&Analog」にいつもどおり寄稿しました。寄稿内容は「電源とノイズの話」。

c81_copy01.png
c81_copy02.png

今回は頑張って書きました。頑張りすぎて入稿が遅くなり迷惑もかけました(苦笑) 普段何気なくしているノイズ対策もちゃんと測ってみると……という感じの内容です。書いてて面白かった。寄稿は全9ページ。

委託もお願いしました

ついでに、TPA3110D2 D級アンプキットの委託をstrvさんところにお願いしました。

tpa3110d2-kit.jpg

  • 基板および部品全部込み(電源、ボリューム、コネクタ等はご用意ください)
  • ゲイン:20dB固定
  • 結構な数のチップ部品を手実装する必要があります(苦笑)

これはお願いなのですが、もし無事購入できて作られた方はアンプの記事に感想をコメントしてくださるかトラックバックくださると大変助かります。1台サンプルで配ったのですが、他にも別角度の音質の感想が聞きたいので。*1

*1 : D級独特の高域の歪みの有無とか定位とか、特にアナログスピーカーアンプとの印象の違いとか、色々。

その他

あのHPAの記事を参考に、ヘッドホンアンプを作成された方がC81で頒布なさるそうなので*2、ご紹介しておきます。

  • 3日目 東ヒ-12b「猫耳AF研」
  • 完成品(ケーシング済)のヘッドホンアンプ
    • シングルオペアンプ(OPA211)+バッファ構成
    • SANYO18650(2100mA/h)電池2本
    • 配線とハンダは全て純銀
    • ボリューム:擬似L(R1610G) + 入力抵抗にDALE無誘導巻線抵抗

だそうです。「部品代が物凄いために価格がかなり高くなってしまった」そうですのが、strvさんのサークルのすぐ近くですし、気になる人はどうぞ。


当日ですが委託なので居ません(笑)ちくしょー落とされなければ……*3。今のところ午後空いた頃に顔を出す予定ですが、立ちっぱなしも疲れるし*4、人様のサークルの前に長時間突っ立ているわけにもいかないので時間は不明です(苦笑)*5

*2 : メールでご連絡頂きました

*3 : 今思ったんだけど、サークルカットをサインペンで超てきとーに文字だけ書いたのがまずかったのかも(苦笑)

*4 : 某サークルで参加のときはずっと座りっぱなしです(笑)

*5 : あと特に買いたいものもないので。

2011/12/19(月)ポケコンの修理

この記事でお馴染み(?)のポケコンの表示がおかしくなってしまいました。


pokecon_repair_01.jpg


ドット欠けならぬ列欠けです。明らかに接点不良。めんどくさくて放置していましたが、回路計算には結局ポケコンが一番扱いやすく、位置が位置だけに結果の数字が読みにくくて不便だったので、重い腰上げて分解修理。


pokecon_repair_02.jpg


液晶をばらしたところ。金具で強く抑えてあり、それを外すのが一苦労でした……。


pokecon_repair_03.jpg


腐食してます。どうやら電池が液漏れしたときに腐食して、それが原因で接点不良になっていた模様。

接点復活剤で入念に拭き、その後軽くやすって、ゴム接点も水拭き掃除。これで閉じて終了……、かとおもいきや今度は別の列が欠けて*1、次は行が欠けて……と3度4度繰り返し(汗)

おまけに液晶固定金具が固く、曲げたり伸ばしてるときに手元がすべりパターン破壊して、ハンダ付けで細い配線を修復したりとえらく手間取りましたが、なんとか修理完了。


pokecon_repair_04.jpg



……ほこりで汚ないよ(苦笑)

内部にほこりが侵入していたためこれまた2度ほど分解・組立を繰り返してほこりを拭きとりました。1度目は布ホコリが残ったけど、やっぱり2度目に使ったキムワイプは最強(笑)

*1 : ゴム(液晶)側接点にゴミがついてた模様……

2011/12/11(日)オシロを手に入れたぞ

どこのご家庭にもあるオシロスコープを手に入れました。

oscilloscope.jpg

今回はデジタルオシロです。技術の進化ってすごいです。ボタン一発で波形を画像保存できることに感動。これでいちいちデジカメをオシロの前で構える手間が省けます。

届いた箱をよく見たら中国製でした。これ中国に持って行くと怒られる(下手すると捕まる?)気がするので不思議な感じです。付属プローブが1M/10M切り替えなし(10:1専用)だったのが残念で、しょうがない秋月のプローブ使ってます。

DCDCのノイズを測りたい

某寄稿原稿のためにDCDCのノイズを測ろうとしたのですが、

DCDC-5mv.PNG
DCDC-2mV.PNG

このありさま(汗)。調べてみると(スイッチング電源のノイズ測定は何故難しいのか?)要するにコモンモードノイズがオシロ本体を通して浮遊容量から電源側に戻っているらしい。プローブを0.01uF+50Ω終端とか色々してみると劇的に改善しましたが、それはそれで高周波ノイズを測るには微妙なので差動プリアンプを用意しました。

diff_preamp.jpg

1uFカップリング+10k入力抵抗の10倍(20dB)設定差動アンプ。色々試しましたが高周波まで利得が充分にあるオペアンプがなかなか見当たらず、手持の中ではLM7171が一番良い結果でした。*1

diffpre-osc.png

DCDCからの高周波誘導ノイズが減少しているのが分かります。バラックでもそれなりに効果がありました。あとでLMH6552あたりで差動プリの基板起こそうと思います。電源ノイズが測定できないとDAC作るのにも不便で……(^^;;

この辺のDCDC測定の話はいずれ記事にまとめます。


それにしてもテクトロのデジタルオシロは操作しやすくて本当に便利です。単発現象の観察もこれで可能になりますし、これから元を取るためにも来年はたくさん開発しなければ(苦笑)*2

*1 : LT1363もそれなりでしたがパルスノイズにかなり無力だった

*2 : しかし2466Bと2台体勢はさすがにオーバースペック(汗)

2011/11/15(火)最近作ってるもの

電子ボリューム作りました

e-volume.jpg

DC直結電子ボリュームです。入力電圧は単電源1.2V~16V未満まで。消費電流は3V以上なら0.2mA(200uA)で*1、サイズは約2cm×2cm。頑張りすぎました(^^

でも頑張った甲斐ありまして音は無茶苦茶良いです。R1610G+OHMITEの擬似Lボリューム(擬似T変形)よりも明らかに音がいいです。ボリュームで音質こんなに劣化してたんですね。

見ての通り基板にパターンカットしまくりなので基板起こしなおし。来年前半には頒布できるかと思いますが、色々頑張りすぎたので安くないです(苦笑)。細かい製作記事は年内には出せるといいな。

*1 : このうち125uAは20kΩのVRという。50kとか100kにあとで変更予定。

その他

  • XMOSの開発サンプルボード入手しまいた。鳴らしました。音は良くないです(当たり前(笑)
  • 電子負荷装置でも作りたいなと思っています。多分来年。
  • まともな長時間ロガーも作りたいなと思うのですが(つまりこれのリファイン)、どういうロガーなら欲しいですか? もしくは短時間でも高精度のロガー?

C81

またどうせ聞かれると思うので今回は先に答えておきます。落ちましたので不参加です(笑)*2 strvさんの同人誌に「電子工作関連の記事」を寄稿しようと考えてるのですが、なにぶんネタがありません。何か書いて欲しいネタありませんか?


で、悲しい事にですね、今回は頒布するつもりでD級アンプキットを用意してたという。あとは袋詰めするだけの状態。困ったなあ……(汗)

*2 : 当方、所詮ピコ手サイトですので(苦笑)