2021/09/11(土)ATX/TFX電源のファン交換, KRPW-TX300W
この夏こんなことがありまして、パソコンの電源を交換しました。
交換した電源は、玄人志向のKRPW-TX300W。 80Plus Goldで、一応アイドル電流(PS-ON時無負荷)は3Wと許せる範囲。しかしこの電源ファンが今どきノーマル軸受なのか軸音がうるさい*1ので、ファンを付け替えることにしました。
この夏こんなことがありまして、パソコンの電源を交換しました。
交換した電源は、玄人志向のKRPW-TX300W。 80Plus Goldで、一応アイドル電流(PS-ON時無負荷)は3Wと許せる範囲。しかしこの電源ファンが今どきノーマル軸受なのか軸音がうるさい*1ので、ファンを付け替えることにしました。
Ti製のSoundPlus高性能オーディオ・オペアンプ「OPA1622」のGNDをどこに接続するか問題について。
高性能オーディオ用ICであり、音質も大変優れていることから人気のオペアンプです。SoundPlusシリーズの中でも最高の「Ultimate」を冠しています。
このICは「100mA以上の電流」を取り出せ、ヘッドホンなどを直接駆動することも可能です。もっぱら「いわゆる載せ替えオペアンプ」として人気のようですが、このICは10pin DFNとして提供されており、通常の方法ではオペアンプとして載せ替え使用することはできません。
またこのオペアンプには±電源ピンの他に、GNDピンがありこのピンの処理方法について多少の議論があるようです。
GND端子の接続方法は3つ考えられます。
仮想GNDの回路はこんな感じです。*1
(3)GND接続 > (1)Vee接続 > (2)仮想GND回路付
ある種、当たり前の結果になりました。
データシートには次のような記述があります。
【赤下線】GNDピンはノイズが最小でインピーダンスが最も低い基準に接続しろ
ノイズが少なくインピーダンスが低い基準点というのは、通常はGNDになりますが*2、GNDに接続できない状況でしたら次点でマイナス電源に接続するのは決して悪いことではありません。*3
上に示した仮想GND回路は、電源ピン(V-)に直接接続するよりインピーダンスが高いので、音が悪くなるのは当たり前です。
「なんだ仮想GND基板ク○じゃん」という結論は、実はちょっと焦りすぎです。
左が仮想GND付き変換基板(R/C裏面実装)で、右がGND-Vee接続変換基板です。GND-Vee接続基板は、上ではCを載せずに評価しました。ここには0.1uFのECPUを電源パスコンとして接続することができます。
仮想GND付基板は、GNDを接続するためのPAD(旧Bispa変換基板ならばホール)があります。仮想GND付き基板はGNDを正しく接続すると基板中のC1/C2が電源パスコンとして作用します。
その結果こうなります。
C付き仮想GND基板のGNDを接続 > C付きGND-Vee接続基板 > GND接続 > その他
実験に使った基板はBispaで販売されているものです。
Twitterにも書きましたが、パーツを整理していました。
左はオーディオコネクタケースで、右が端子類と3端子レギュレーターケースなのですが、種類の違うものが混ざっててわかりにくかったので、左にはオーディオ類のみ、右にはレギュレーター+スイッチ類として入れ替え。
もう1つ端子類のみのケースも含めて3ケースの入れ替え作業をしていたら、3時間もかかってしまいました。
どうして人類は余計にパーツ類を買ってしまうのだろうか……。
この部品選別と破棄は定期的に行っていて、その結果が、定期的におとずれる記念ヒットプレゼントなのですが、次回分がすでに結構溜まって困っています(苦笑)
当方で頒布しているキットとかの原価率ですが、もちろんキットにもよりますがそんなに高くはないです。部品の調達価格を下げるのは簡単で、DigikeyやMouserで買い物したことある人ならすぐ分かると思いますが、大量に買うことです。
例えば、キットを50セット作るのにコンデンサが350個必要だったとしてDigikey等の価格を見ます。すると500個を超えると単価が安くなることがわかります。予備も含めてぴったりの数だけ調達というわけにはいきませんし、こういうときは「えいやっ!」と500個買います。
当然、キット製造後に150個あまります。
試作程度では150個も要りませんので、これが余剰在庫になります。部品の種類が増えれば増えるほどこの余剰品は増加します。そして余剰品は最終的に処分されることが多く、そうなると単なる「原価」以外に無駄な「費用」が発生していることになります。
物を製造して売るということは、なかなか難しいものです。
「今何を頒布しているのか」自分でもよくわからなくなることがあるので、トップにリストで書くようにしました。そこにこっそり「op-dbuf3のスペシャル完成品」をリンクしたのですが、瞬殺されました。
最近はキットを作るという方は一昔前より減ってるらしいですね。aliexpressとか見れば完成品として様々なものが売られてますし、わからなくもない感はあります。
長々と書いてきましたが、本題はこれ。
秋月のカーボン抵抗が1Ω~1MΩまで、ほぼE6系列で買ってあるのですが、今ではチップ抵抗がメインになり不要になってしまいました。
活用できる方(欲しい人)にセットで差し上げたいと思いますので、希望される方はサイドバーのアドレスにメールください。希望者がありましたので、募集終了しました。
PCM2704 DAC(Ver1)キットを再販にあたり、大幅強化してみました。
委託しているPCM2704DACが2019年2月から在庫切れになっていて悩んでいました。
初期設計(Ver1.0)から10年以上が経過し、ハイレゾが普及しつつあるこの時代にPCM2704はチップの制限上48KHz/16bitまでしか再生できません。再販するにはある程度まとまった数を作る必要がありますが*1、不良在庫を抱えたくありません(苦笑)
しかしながら再販の要望も複数頂いており、どうにか応えたい。
それならばいっそのこと「音質に全振りしたVer2を作ってしまおう」というので作られたのがこのDACです。
部品記号 | 部品名 | 使用部品型番 | 数 | 備考 |
---|---|---|---|---|
U1,U2 | 低ノイズ3端子レギュレータ(3.3V) | ADP150AUJZ-3.3 | 2 | Ver1.4はADP150専用 |
U3 | USB DAC 16bit/48kHz | PCM2704 | 1 | PCM2704Cでも可(確認済) |
U4 | DCDC反転チャージポンプ | MAX889RESA | 1 | LTC660から変更 |
Q1, Q2 | 低ノイズPNPトランジスタ | BC859C, 215 | 2 | 2SA1015とかでも可 |
X1 | 12MHz TCXO 2.5ppm | FT3HNBPK12.0-T1 | 1 | 12MHz-TCXOなら何でも |
L1 | コイル 100uH/40mA | - | 1 | 2012チップ使用 |
R1-R9 | チップ抵抗各種 | - | 1 | 1608チップ使用 |
R51-R54 | 薄膜チップ抵抗 1KΩ | - | 4 | 高音質チップ抵抗 |
R55-R56 | 薄膜チップ抵抗 5.1KΩ | - | 2 | 高音質チップ抵抗 |
C1-C8 | 積層セラコン 0.1uF | - | 1 | 2012チップ使用(X7R) |
C9 | 積層セラコン 10uF | - | 1 | 2012チップ使用(X7R) |
C10-C18 | フィルムコン 0.1uF | - | 9 | 2012/ECPU使用 |
C21-C32 | 高分子コンデンサ 6.3V 820uF | A750 or PSF | 12 | 470uF以上 |
C51-C54 | PPSフィルムコン 1000pF | ECH-U1H102JX5 | 4 | 高音質フィルムコン |
J1 | USB Bメス基板コネクタ | - | 1 | - |
J2 | 4極ステレオミニジャック | - | 1 | - |
Ver1.4の回路はある種の完成系で、これを改良するとなると大きな決断をせざる得ません。大きな決断というのは、何かを犠牲にしてでも音質を一番良くするということです。
Ver1.4の出力LPFにはいくつかの欠点がありました。
他にもオペアンプ電源が安定化されていないとか色々あるのですが、とにかくすべての原因は半ば強引にオペアンプでLPFを動作させていることにあります。ここは設計当時の「価格(回路規模)を抑えて音質を狙う」ために妥協した部分です。
抵抗とコンデンサだけのシンプルなパッシブLPFのほうが(ほとんどのケースで)音質は良くなります。これは当たり前のことなのですが、なぜオペアンプが必要だったのでしょうか。
それはPCM2704の出力に含まれる出力オフセット(+1.64V)をキャンセルするためです。オフセットがなくなれば、音質低下の最大要因である出力カップリングコンを排除できます。このために多くのことが犠牲になっていました。
これをどうにか解決できないかと検討と試行錯誤を繰り返し、オペアンプを使わずに出力オフセットをキャンセルする方法を思いつきました。
オフセット分をマイナス電圧で引き下げる作戦です。オフセットを+1.64V、マイナス電源を-4.2Vとすると、R56は次のように求められます。
この5.1KΩは音質に関わるので(RT0603等を持っていないと)簡単には変更できません。よって、出力オフセットはR3の値で調整するのですが(50Ω増やすと出力電圧が+20mVぐらい変化する)、左右同時にしか調整できません。
とはいえ、USB電源電圧が5.00~5.05V付近ならば、コンデンサのエージング後にオフセットは20mV程度に収まるかと思います。
音質は最大限進化させてものの、これはこれで欠点があります。
これが音質のために犠牲になった部分です。PCM2704は出力電圧範囲が元々小さめなところに、パッシブLPF&オフセットキャンセルの回路を詰め込んだことが原因です。これは諦めるしかありません。
1Vppあれば最低限問題は起こらないと思いますが、そういうものだとご理解ください。
手持ちのDACと比べてみました。
常用している魔改造PCM2702ですが、今回のPCM2704-v2の圧勝という悲しい結末になりました……。
慌ててPCM2702を再改造するものの、再改造してもこのPCM2704-v2のほうが良いようです。*3
去年まで頒布していたラズパイ用 384kHz/32bit DACです。PCM2704-v2の勝ちでした……。
「それはさすがにまずい」ので、msBerryDACを改造して C1/C2 を 10nF→1nF に変更しました。
C1/C2改造msBereyDAC > PCM2704-v2 > ノーマルmsBerryDAC
というわけで、DACはチップの性能もさることながら回路設計が重要というのがよく分かる結果になりました。
キットの購入は委託先から。このDACは再販しない可能性があります。
Twitterにも書きましたが、D級ヘッドホンアンプ Ver2 / pwm-hpa2をいじっていました。
D級である限り、出力フィルタは避けて通れないものです。この出力フィルタ(L5/C5)は、高周波のスイッチノイズを除去するために入れていますが、再生音を良くするためというよりは、余計なノイズ(電波)を巻き散らかさないためという意味合いが大きくあります。
第2世代と呼ばれるD級アンプは、原理的に「LCフィルタを入れなくても十分に放射ノイズ(EMI)が少ない」ことが利点として挙げられています。TPA3110D2なんかもそれです。
ノイズの問題を一旦おいておけば、L5があったほうが良いか、無いほうがよいかは難しい問題ですが、うまく動作させられるならばL5は無いほうが良さそうです。実際、TPA3110D2アンプの音が良いのは、そういう点も影響しています。
フィルタを無くすというわけにはいかないものの、フィルタの後ろからフィードバック(負帰還)をかけて出力フィルタの影響を少なくするということは可能です。*1
D級アンプICですと、フィルタ前のフィードバックをやめることはできませんが(ミックスした負帰還になる)、自作回路ならL5の後ろからのみフィードバックすることは可能ですので、試してみました。
まず通常動作時です。(1)がL5の手前で、(2)がL5の後の波形になります。32MHzでスイッチしており、出力ではこのスイッチノイズが減っています。
次にL5の後ろからフィードバックをかけた波形です。
発振周波数が下がり、出力に±5Vのsin波が出ていますが(おそらく共振と思われる)、音質はこのほうが良い感じでした。
AB級アンプで同じことをすると発振します。(自励式)D級アンプは元々発振させるものですので、どうせ発振させるのならフィルタの後ろから負帰還かけても良いんじゃない? という実験でした。
このまま使うのは躊躇しますが、もうひと工夫すれば pwm-hpa2 を更に進化させる可能性もありそうです。