2021/07/26(月)D級ヘッドホンアンプと出力フィルタと負帰還

Twitterにも書きましたが、D級ヘッドホンアンプ Ver2 / pwm-hpa2をいじっていました。

出力フィルタの意味と役割

pwm-hpa2_1ch.png

D級である限り、出力フィルタは避けて通れないものです。この出力フィルタ(L5/C5)は、高周波のスイッチノイズを除去するために入れていますが、再生音を良くするためというよりは、余計なノイズ(電波)を巻き散らかさないためという意味合いが大きくあります。

第2世代と呼ばれるD級アンプは、原理的に「LCフィルタを入れなくても十分に放射ノイズ(EMI)が少ない」ことが利点として挙げられています。TPA3110D2なんかもそれです。

ノイズの問題を一旦おいておけば、L5があったほうが良いか、無いほうがよいかは難しい問題ですが、うまく動作させられるならばL5は無いほうが良さそうです。実際、TPA3110D2アンプの音が良いのは、そういう点も影響しています。

出力フィルタの影響をなくしたい!

フィルタを無くすというわけにはいかないものの、フィルタの後ろからフィードバック(負帰還)をかけて出力フィルタの影響を少なくするということは可能です。*1

D級アンプICですと、フィルタ前のフィードバックをやめることはできませんが(ミックスした負帰還になる)、自作回路ならL5の後ろからのみフィードバックすることは可能ですので、試してみました。

まず通常動作時です。(1)がL5の手前で、(2)がL5の後の波形になります。32MHzでスイッチしており、出力ではこのスイッチノイズが減っています。

pwm-hpa2_lpf1.png

次にL5の後ろからフィードバックをかけた波形です。

pwm-hpa2_lpf2.png

発振周波数が下がり、出力に±5Vのsin波が出ていますが(おそらく共振と思われる)、音質はこのほうが良い感じでした。

まとめ

AB級アンプで同じことをすると発振します。(自励式)D級アンプは元々発振させるものですので、どうせ発振させるのならフィルタの後ろから負帰還かけても良いんじゃない? という実験でした。

このまま使うのは躊躇しますが、もうひと工夫すれば pwm-hpa2 を更に進化させる可能性もありそうです。