2006/08/18(金)電流帰還アンプ(電流出力アンプ)

電流出力アンプ

すごい昔頂いたけF社製PC用スピーカーを普段使っています。アンプの電源いれてもいいのですが、画面に対して左右においてないのでPCのときはPCスピーカー。

比較的素直な(ラジオ的な)音で嫌いではないし常用しているのですが*1、いかんせんかまぼこ(高域と低域がでない)*2。というわけで、中の基盤を丸々取り替えて電流出力アンプを作ってみました(通称「山本式電流帰還アンプ」)。

なかなか面白いです。PCスピーカーらしかぬ音がします。というわけで、今回は簡易報告メモ。アンプ(パワー)ICはTA8217P

  • 定位もしっかりして、高域もハッキリ出て見違えるようです。(若干出過ぎかも)
  • 試しにFE83EなBHスピーカーにつないでみたら、ラウドネスがかかりすぎたような変な音がして気持ち悪かった。中域の音がすっぽり抜けた感じ。
  • 電流駆動なので、スピーカーのインピーダンスが上昇する低域と高域のレベルがあがる傾向にある。この特性から考えると貧弱なかまぼこスピーカーユニット向きよって、FE83Eのようなまともな(ましてハイ上がりな)ユニットにつけると悲惨。
  • まともなユニットで使いたかったら、インピーダンス調整用に抵抗(8Ω~20Ω?)や抵抗+コンデンサ*3をスピーカーに並列に付けて、その電流も帰還抵抗に入れる必要があると思われるけど、Cut and Tryになることは間違えない上、電流出力アンプの特徴である素早い立ち上がり特性も若干失われそう……。*4

あと電源。ACアダプタから直接2200uFのコンデンサで平滑化してるのですが、オシロでみると20mV程度のリップル(商用電源周波数)が出てる……。10000uF~20000uFを付けるか、簡単でもいいから安定化した方がいいようです。どうもSNが悪いなぁーと思ったら(^^;;

使用中(追記)

ちょっと回路を対策する時間が取れないので、イコライザでハイをだだ下がりに補正して聞いてる(使用してる)のですが、すごいですねこれは。オーケストラが聴けます。音の定位といい、広がりといい、全体の鳴りっぷりといい、こんな安物PC用スピーカーでこれだけの音がでるなんてほんとに恐ろしいことこの上ないです。

ちなみに。ネットを検索していると、DFなる値(限定された条件の下で使える簡易式)を持ち出して、低域が制動されないとか言っている方がいますが、大嘘です。伝達関数を立ててシミュレーションを行えば、電流出力では入力波形に従って強烈にボイスコイル電流が制御されることがすぐに分かります。(←機械的な部分と電気的な部分を混同して記述していました)

さらに追記

電流駆動方式の場合、低域の機械的共振に対して(ほぼ)無力であることを確認しました*5。単純に電圧駆動、電流駆動のどちらが良いかと言われれば一長一短ですが、PC用スピーカーの改造法としては電流出力は十分魅力的だと思われます。細かい考察はこちらの記事

追記

電流駆動アンプの製作という記事を書きました。最新情報になりますご参照ください。とどのつまり、F特をフラットにしてあげれば、凡庸なスピーカーユニットは例え電流駆動しても凡庸な音がします。

*1 : 2wayのPCスピーカーの中には気持ち悪い音がするものが結構あるのです……

*2 : 手持ちアンプ+自作スピーカーと比べる方が悪いという説もあるけど(苦笑) あと、電源スイッチが電源のスイッチでははなく電源ランプスイッチという仕様が嫌になった<電気の無駄

*3 : Zobelネットワーク

*4 : 後日計算してみます

*5 : ただし、コメント欄で揚げられたサイトの考察は、理論的道筋として正しいとは思えませんのでご注意を