TPA6211スピーカーアンプの製作(TPA1517アンプ進化版)

はてブ数 2026/04/23電子::アンプ

久しぶりにスピーカーアンプを製作しました。キット頒布中ですが、自作向けの解説もあります。

概要

  • Ti製TPA6211を使用した、高音質なBTL出力スピーカーアンプ。
  • 単電源動作で利便性が高く、音質的に有利なDC直結アンプ
  • 【キット】電子ボリューム内蔵で、ボリュームによる音質劣化が小さい。
  • 【キット】赤外線リモコンに対応し、遠隔で音量のUp/Down/Mute操作が可能。
    • もちろん普通のアナログボリュームでの操作も可能。
TPA6211-amp.jpg

続きを読む

トランス式ACアダプタの基礎と ADA-T60/E のレビュー

はてブ数 2026/01/30戯言::技術電子::電源

5V動作のスピーカーアンプ回路を製作中なのですが*1、秋月6Vスイッチング電源を使ったら(トランス式電源に比べて)音が悪かったので、ナカバヤシ(旧ミヨシ)製トランスACアダプタを購入しました*2。写真右は比較用のサンヨー(SANYO)製ACアダプタです。

ADA-T60.jpg

使ってみると普通トランス式ACアダプタと挙動が違うので、トランス電源の基礎的な部分の解説をしつつ解析してみました。また、分解せずに解析する過程で教科書で見るような電子回路の知識を活用しますので、そういう意味でも面白いかもしれません。

続きを読む

2026/01/16(金)JLCPCBを使ってみた(Elecrowとの比較)

ずっとElecrow専門でしたが、最近Elecrowの製造が遅めなので、試しにJLCPCBを使ってみました。

製造ルール抜粋

項目ElecrowJLCPCB
最小パターン幅0.15mm0.10mm / 2oz:0.16mm
最小パターン間隔0.15mm0.10mm / 2oz:0.16mm
最小パッド間隔0.15mm0.10mm
最小シルク高さ0.8mm1.0mm
最小シルク線幅0.15mm0.15mm
最小ホール経0.3mm0.3mm*1
最小ランド経0.6mm0.4mm
外形線との間隔0.7mm*20.20mm
  • シルクは、高さ0.8mmや幅0.1mmにしても、どちらも問題なさそう。
  • 製造能力は概ねJLCPCBのほうが高いけど、どちらも一般用途には十分。

参考資料

続きを読む

D級ヘッドホンアンプ Ver.2.3 / pwm-hpa2.3

2025/06/15(日)ヘッドホンアンプ用バッファ回路の検証

オペアンプ+バッファのHPA回路にて、全体の仕組みを変えずにバッファ回路だけ変更してどれが一番良いか検証してみよう! という企画です。

バイアス回路はどれがいい?

ebuf-bias-test.png

3つとも同じようなバッファ回路になっていますが、バイアス電流の仕組みが少し異なっています。

  • 左上は、薄膜抵抗によるバイアス回路。
  • 右上は、CRDによる定電流バイアス回路。
  • 左下は、カレントミラー回路による定電流バイアス回路。

さて、この3つを音が良い順に並べるとどうなるでしょうか? 予想するのも楽しいと思うので、X(Twitter)でアンケートをしてみました。

  • 一番良いの投票数:カレントミラー > CRD > 薄膜抵抗
  • 一番悪いの投票数:CRD=薄膜抵抗 > カレントミラー

みんなすごいなー。結論として音が良い順に並べると以下のようになります。

カレントミラー > 薄膜抵抗 >> CRD

ただの主観ですが、結構はっきり違います。

なぜそうなるのか?(考察)

昔はよく使っていたCRDですが、ここ何年かは全く使わなくなっていました。あるとき、実験として抵抗に置き換えてみたらめちゃくちゃ音が良くなったんです。

CRDのほうが回路として安定するし(オプアンプから見た負荷も軽いし)、取り出せる振幅も大きくなるにもかかわらず、音は薄膜抵抗のほうが良かった。抵抗ぐらいシンプルなほうが良いのかなと漠然と思っていたのですが、カレントミラー回路の音が良いことから原因が推測できます。

おそらく上の回路ではCRDの定電流源としての安定性が良くないことが原因です。今回使用したCRDを安定動作させるためには、両端に8~10Vぐらいかけてあげる必要があります。実際10mAのCRDを使って6.2mAしか流れてないわけで、規定の飽和動作をしていません。飽和状態で使用しないと、(オペアンプの)出力電圧によってバイアス電流が非線形に変動してしまいます。*1

そんなわけでここ何年か抵抗を使用してきたのですが、一応カレントミラー回路も検証したほうがよいよね? とも思っていました。放置された理由はカレントミラー回路を組み込むのが面倒なのと「回路的には超安定するけど、多分抵抗より音悪いんだよな……」という予想(苦笑)

検証したら、これまた明らかにカレントミラー回路のほうが音が良かったです。この回路だと(オペアンプから見たとき)理想定電流源に近いんですよね。つまりオペアンプ対して抵抗よりも負荷が軽くなることが大きな要因だと思われます。

勘の良い人なら正解するのは簡単

基本的に「バイアス電流が多いほうが音が良い」のですから、その知識があれば簡単に並べ替えできます。

なぜなら「それ単にバイアス電流が増えただけでしょ?」というツッコミをされないように(実験時にその要因を排除できるように)、回路の電流値を設定してあるからです。

*1 : とはいえ、飽和状態で使ったときに、他の方式と比較して優位かどうかは不明です。

バッファ回路のコンデンサどっちがいい?

ebuf-cap-test.png

左右の回路、どっちが音が良いと思いますか?

アンケートでは、およそ「左が良い:右が良い=2:1」という投票結果でした。

聴き比べた感想は、やや左が良いかな(大きな差はなさそう)。

回路を普通に考えてみる

まず普通に回路を考察してみます。C1に位置するコンデンサですが、これは経験上容量が大きいほど音が良くなることが分かっています。

右回路の中点と出力の接続を一度無視すると、単純に左から右の回路になった場合、C1に相当するコンデンサ容量が半分になっいます(コンデンサの合成容量)。

もうひとつ、X(Twitter)で指摘していた人が居てさすがと思ったのですが、右の回路は高周波特性が悪化します。オペアンプの高周波出力がC2/C3コンデンサを突き抜けて出力(負荷)に接続されているためです。

ebuf-cap-test-spectrum.png

2つとも音が悪くなる要因として考えられます。

経過とか

どちらにもC1の820uFを付けた状態で、C2, C3に100uFを追加したとき追加したとき明らかに良くなったので、それならばってことで上の比較回路を考えてみたのですが、実際作ったら微妙な感じ。

もう少し回路を工夫して検証してみても良いかもだけど、820uF×3(C1-C3)してもC1単独より悪いっぽいからダメかも。

まとめ

  • 思いつきを検証するのは大事。
  • 追試しまくるので時間がかかって大変(コンデンサのエージングも必要ですし……)。
  • 意外と思ったとおりの結果にはならない。

ところで全部正解した人は居ましたか?