2020/07/05(日)NILFS使用時にLinux Kernelエラーが起こる問題の解決策

最近の新しいLinux KernelでNILFS(NILFS2)を使用すると、最初の書き込み時に

BUG: unable to handle kernel NULL pointer dereference at 00000000000000a8

となるエラーの解決方法(対処療法)。

NILFSとは

ログ構造化ファイルシステムと言われる、ファイルを変更するたびに常にスナップショットを自動的に保存できるLinux標準サポートのファイルシステムです。

/home 以下などをNILFSにしておくと、間違えてファイルを書き換えたときや、間違えてファイルを削除したときに、1時間前や1週間前の状態に遡ってファイルを復元することができます。

間違ってファイルを削除(上書き)してまうこと、ファイルを直接変更してしまってから元に戻したいことは誰しもあると思いますが、NILFSならいつでも元に戻せるため人為的にミスにとても強く重宝しています。

新しいカーネルで動作不安定に

このNILFSですが、最近の(ここ1年ぐらいの)カーネルで動作不安定になる不具合があります。Debian 10.4をインストールした際にこの問題に当たってしまいました……。

調べるとカーネルのファイルキャッシュに対するちょっとした変更(パッチ)が原因となっているようです。解決策はLinux系のMLにありました(そしておそらく投稿者の記事)。

要約すると「NILFSをマウントする前に、ダミー書き込みをすれば良い」とのことです。

簡単な解決策

/etc/fstab では自動マウントせずに(noautoオプションをつける)、rc.localでマウントするように変更します。

dd if=/dev/sda6 of=/dev/sda6 count=1
mount /home

/dev/sda6 やマウント場所は該当のパーティション等に合わせてください。ddコマンドで512バイトほどダミー書き込みをしてからマウントします。たったこれだけで問題は解決します。

やや複雑な解決策

rc.local でマウントする方法では、NILFSパティーション以下にDBデータ等サービスで使用するデータを置く場合や/varがNILFSパーティションだった場合に問題があります。rc.local のタイミングでマウントするのでは遅すぎるからです。

ですので、理想としてはfstabでマウントする直前にダミー書き込みを実行したいのです。

Debian系のsystemd環境では以下のような設定ファイルを置くことで、fstab実行直前にダミー書き込みを実現できます。

# /etc/systemd/system/nilfs2-dummy-write.service
[Unit]
Description=NILFS2 dummy write
DefaultDependencies=no
After=local-fs-pre.target
Before=local-fs.target

[Service]
ExecStart=/bin/dd if=/dev/sda6 of=/dev/sda6 count=1
Type=oneshot

[Install]
WantedBy=sysinit.target

ファイル作成後、サービスとして認識されたか確認します。

# systemctl list-unit-files --type=service | grep dummy
nilfs2-dummy-write.service             disabled

認識されているようなら、サービスを有効にします。

# systemctl enable nilfs2-dummy-write
# systemctl list-unit-files --type=service | grep dummy
nilfs2-dummy-write.service             enabled

参考文献

まとめ

  • NILFS/NILFS2はとても便利なのに利用者が少ない。
  • パッチが出てるので、近々修正されるとは思う。
  • systemdの勉強になった。

2020/06/29(月)東芝、石窯ドーム スチームオーブンの分解・修理

東芝の石窯ドームオーブン(ER-PD3000)のスチーム機能が故障した時の修理の記録。分解方法メモ。

スチームが出ない

買って1年ぐらいでスチームが出なくなりました。スチーム機能を使おうとしたことが2回ぐらいしかなく、そもそもその時にきちんと動作してたのかすら記憶が曖昧なレベルです。

他社製オーブンだと「水抜き」を忘れると水の中のミネラル分が詰まってスチームが使えなくなるとのことで、掃除ぐらいで直れば良いなと思って分解しました。

結論としては全然違う故障原因だったわけですが。

ER-PD3000_001.jpg

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2020/03/16(月)さくらVPS v5と歴代VPSのベンチマーク比較

さくらVPSのv5がリリースされ、さくらVPS v3が機器老朽化メンテナンスで物理層が入れ替わったので、まとめてテストしてみました。

UnixBench Version 5.1.3 index

計測コマンドは「./Run -i 5 -c 2」(2コアで計測)。

項目自宅サーバ512 v11G v31G v3'2G v41G v51G v3X
Dhrystone 24853.84412.13724.83837.24916.66313.46194.3
Whetstone1508.91148.01037.61199.21625.21861.81866.3
Execl Throughput1321.71592.51764.51288.51310.52461.42037.8
File Copy 10242058.61063.41705.62014.11867.02794.92549.9
File Copy 2561391.3747.31255.51183.61214.51779.81605.3
File Copy 40963560.21631.23501.62669.03665.46356.15756.8
Pipe Throughput1070.5--1087.0896.53006.43066.7
Context Switching505.2--692.4128.61727.21693.4
Process Creation1168.9--809.8613.81788.31632.1
Shell Scripts (1)3304.0--1920.82897.03936.23623.5
Shell Scripts (8)3318.1--2472.13343.14357.93994.2
SysCall Overhead653.8--639.2443.92200.62337.6
トータルindex1662.9--1424.41313.92876.32713.3
  • OSは Debian 10。
  • VPS 512/VPS 1G v3(メンテ前)は2013年2月計測。Debian 6。
    • 「Pipe Throughput」以降は、OS Versionによる影響が大きいため除外。*1
  • 自宅サーバ: Core i3 530 / 2.93GHz 2コア4スレッド / RAM 4GB / SSD
  • 1G v3: 石狩リージョン
  • 1G v3': 2020年2月の設備老朽化メンテナンス1回目後
  • 1G v3X: 2020年3月の設備老朽化メンテナンス2回目(物理層入れ替え)後
    • v5と同じ物理層になったと思われる。
  • 2G v4: 東京リージョン。仮想3コア。

*1 : おそらくCPU脆弱性関連の影響だと思われる。

ディスク性能計測

hdparm -t /dev/vda4
dd if=/dev/vda4 of=/dev/null bs=1M count=2048 iflag=nocache
dd if=/dev/zero of=/tmp/test bs=1M count=2048 oflag=direct
単位 MB/s家サーバ1G v32G v41G v51G v3X
haparm260480-600200200200
dd 2G read271200-500210210210
dd 2G write247100210210210
  • 家サーバ: SSD TOSHIBA THNSNJ128GCSU 128GB
  • VPS 1G v3は2020年2月の老朽化メンテ1回目の後。
    • read性能の値変動がとても大きい。*2
  • /tmp のファイルシステムはいずれも ext4
  • v4/v5は計測性能が 1MB/s もずれないので、おそらく帯域制限がかかっていると思われる。
  • VPS 1G v3Xは2020年3月の老朽化メンテ2回目(物理層入れ替え)後。
    • v4/v5と同じディスクになった模様。

*2 : 単時短に大容量を転送すると、一時的に速度を下げているように思われる。

結論

  • v3老朽化メンテナンス後は、v5と同じ物理層になったと思われる。
  • v5はv3/v4よりも性能が良い。
  • v4以降はディスク性能にリミットがかかっている。

乗り換え検討

「v3」と「v5」が同じ物なのに値段が高いのをどうにかしてほしい。「v5」のほうが安いじゃん!

  • さくらVPS 1G v3 (石狩): 10,267円
  • さくらVPS 1G v5 (石狩): 8,800円

長く使うなら面倒でも乗り換えたほうがよさそう。石狩DCはネットワーク遅延から少しだけ不利なんたけども、色々あって石狩継続しようかな。

2020/02/14(金)Raspberry Piで設定済システムをイメージ化する

Raspbian や Volumio などの設定済システムを、なるべく小さくディスクイメージ化するメモ。

お手軽に縮小する

# fdisk -l /dev/mmcblk0
Device         Boot  Start      End  Sectors  Size Id Type
/dev/mmcblk0p1        8192   532479   524288  256M  c W95 FAT32 (LBA)
/dev/mmcblk0p2      532480 15554559 15022080  7.2G 83 Linux

8GB SD に Raspbian を入れた場合こんんな感じになります。下のパーティションが root ファイルシステムです。これを縮小します。

オンラインだと面倒なので、Linuxマシンを別に用意し、そこにラズパイ用のSDを入れて編集します。

# e2fsck -f /dev/sdb2
# resize2fs -P /dev/sdb2
resize2fs 1.44.5 (15-Dec-2018)
Estimated minimum size of the filesystem: 470543

ブロックサイズは4KBですので、470543ブロック×4KB=1.9GB程度まで縮小できることがわかりました。キリの良いところで2GBに縮小します。resize2fsでは限界まで縮小できないので、余裕を持って縮小後サイズを設定する必要はありません。

# resize2fs -p /dev/sdb2 2G
resize2fs 1.44.5 (15-Dec-2018)
Resizing the filesystem on /dev/sdd2 to 524288 (4k) blocks.
The filesystem on /dev/sdd2 is now 524288 (4k) blocks long.

resize2fs は 1.5G といった指定はできません。1536Mと指定する必要があります。

ファイルシステムを縮小したらパーティションを縮小します。fdiskでパーティションを削除してから、スタートブロックを揃えてパーティションを再生成します。

# fdisk /dev/sdd
Command (m for help): d
Partition number (1,2, default 2): 2

Command (m for help): n
Select (default p): p
Partition number (2-4, default 2): 2
First sector (2048-15554559, default 2048): 532480
Last sector, +/-sectors or +/-size{K,M,G,T,P}: +2G

Created a new partition 2 of type 'Linux' and of size 2 GiB.
Partition #2 contains a ext4 signature.

Do you want to remove the signature? [Y]es/[N]o: n

Command (m for help): p

Device     Boot  Start     End Sectors  Size Id Type
/dev/sdd1         8192  532479  524288  256M  c W95 FAT32 (LBA)
/dev/sdd2       532480 4726783 4194304    2G 83 Linux

1セクタは512byteですので、「512×4194304 = 2147483648」と resize2fs の結果「524288×4096 = 2147483648」が等しいことを確認します。確認して問題なければ、最後に書き込んで終了です。

Command (m for help): w

これで縮小されたシステムがSDに構築されました。

ddでイメージ化

最後にこのSDイメージ化すれば完成です。このときは、2つめのパーティションのEndの値「4726783」に注目します。先頭からこのセクタまで保存すれば良いので、「(4726783+1)×512 = 2308MB」を保存します。

dd if=/dev/sdd of=./img.file bs=1M count=2308 status=progress

これでイメージが完成しました。

問題点

お手軽で良いのですが、ひとつ問題点がありまして、この手順では極限まで小さくしたイメージを作ることができません。出来上がったらイメージからRaspberry Piを起動するとこうなります。

$ df -h
Filesystem      Size  Used Avail Use% Mounted on
/dev/root       2.0G  1.3G  644M  66% /
/dev/mmcblk0p1  253M   52M  201M  21% /boot

このように800MBほど空いている領域があるわけです。またパーティションのスタートブロックも、8192から2048に減らすことで容量を削減できます。

限界まで縮小したイメージを作成する。

  1. パーティション1のファイルをどこかにコピーしておく。
  2. パーティション2の内容をどこかに「cp -rp」でコピーしておく。
  3. fdiskで表示される「Disk identifier:」の値をメモしておく*1
  4. fdiskで現存するパーティションを削除する。
  5. dosパーティション(パーティションタイプ"C"。100MB程度)とLinuxパーティションを作成する。このときのサイズは、「Used」のサイズ(コピーしたファイル全体のサイズ)を参考にする。
  6. 新しいディスクにコピーする場合、またはディスクを一度初期化した場合は、fdiskでDOSパーティションテーブルを作成し「Disk identifier」の値を書き換えます。fdiskで「x」「i」と入力したあと、3でメモした値を入力します。
  7. ファイルシステムを作成する*2
    mkdosfs -F32 -nBOOT /dev/sdd1
    mkfs -t ext4 /dev/sdd2
    

    「-nBOOT」はディスクラベルをBOOTにする設定です。DOS領域(vfat)のラベル名をBOOTにしないとラズパイが起動しません。後から変更する場合は、dosfslabelコマンドを使用します。

    dosfslabel /dev/sdd1 BOOT
    
  8. 作成したパーティションをマウントしてファイルを書き戻す。ext4領域は必ず「cp -rp」でコピーする。

これで作業完了です。SDラズパイに挿入して起動することを確認します。問題なければ、上と同様の手順でイメージ化します。

注意点

DOS領域のディスクラベルを「BOOT」にすることと、「Disk identifier」の値を保つことです。

fstabやカーネル起動オプションでは「PARTUUID」によってデバイスを指定しています。PARTUUIDはファイルシステムのUUIDではなく、パーティションにつけられたUUIDです。DOSパーティションテーブル(MBR)には存在せず、gptパーティションテーブルが持つものです。

DOSパーティションにはPARTUUIDの概念はないのですが、「(Disk identifier)-(パーティション番号)」をPARTUUIDの代わりとして使用するようになっています。ですから「Disk identifier」を維持する必要があります。

*1 : 忘れた場合はコピーしたシステムファイル中の /etc/fstab に書かれた「PARTUUID=」の値(ハイフンより手前)をメモする。

*2 : dosfstoolsが必要

パーティション領域の自動拡張

/boot領域(Windowsから見える領域)の「cmdline.txt」に「init=/usr/lib/raspi-config/init_resize.sh」をつけることで、初回起動時のパーティションの拡張を実行できます。

しかしこれだけだと、パーティションは拡張されますが、ファイルシステムは未拡張のままです。ファイルシステムの拡張は /etc/init.d/resize2fs_once というファイルで行われています。

#!/bin/sh
### BEGIN INIT INFO
# Provides:          resize2fs_once
# Required-Start:
# Required-Stop:
# Default-Start: 3
# Default-Stop:
# Short-Description: Resize the root filesystem to fill partition
# Description:
### END INIT INFO
. /lib/lsb/init-functions
case "$1" in
  start)
    log_daemon_msg "Starting resize2fs_once"
    ROOT_DEV=$(findmnt / -o source -n) &&
    resize2fs $ROOT_DEV &&
    update-rc.d resize2fs_once remove &&
    rm /etc/init.d/resize2fs_once &&
    log_end_msg $?
    ;;
  *)
    echo "Usage: $0 start" >&2
    exit 3
    ;;
esac

このファイルを作成し、実行権限をつけます。そして /etc/rc3.d/S01resize2fs_once からリンクを貼ります。

vi /etc/init.d/resize2fs_once
chmod +x /etc/init.d/resize2fs_once
cd /etc/rc3.d/
ln -s ../init.d/resize2fs_once S01resize2fs_once

これで初回起動時のパーティション&ファイルシステム自動拡張が有効になります。

Raspbian初回インストールメモ

/bootは、SDをWindowsから開いたときに見える中身と同一。

  • /boot に ssh ファイルを置くと、sshサービスを有効化できる。
  • /boot に以下のような wpa_supplicant.conf を置くと、自動で /etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant.conf にファイルを移動してくれる(コピーではなく強制移動)。これにより無線LANに接続できる。
    • 複数のネットワークに接続する場合は、networkを複数記述すれば良い。
ctrl_interface=DIR=/var/run/wpa_supplicant GROUP=netdev
update_config=1
country=JP

network={
	ssid="SSID"
	psk="PASSWORD"
}

mjpg-streamerインストールメモ

apt-get install git cmake libjpeg-dev imagemagick
git clone https://github.com/jacksonliam/mjpg-streamer.git
cd mjpg-streamer/mjpg-streamer-experimental
make
sudo make install

mjpg_streamer -o "output_http.so -w ./www" -i "input_raspicam.so -fps 60"