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2008/06/28(土)自作バックロードホーンスピーカーのユニット交換
まったく記事に書いてませんでしたが、FE83Eを使ったバックロードホーン(略称BH)式の自作スピーカーがあります。こちらのバックロードホーンを少し改造して製作したものです。板厚15mmのMDFをボンドでくっつけて作りました。
ヘッドホンアンプをあれこれ作る前は、気にならなかったのですが、低域(の高い方。200-300Hzから)の量感が足りないことがどうにも気になって眠ってました。でもヘッドホンだと、どうしても空間表現に限界があるんですよね……。
そんなわけで、FE126Eに取り替えてみました。所詮バスレフ向きのFE83Eと違いバックロードホーン向きのオーバーダンピングユニット(Q=0.25)。FE126Eは店頭のバスレフで試聴しても、ちっとも音の厚みがありません(低音がでない)。
FE83Eと比べると大きさの差は歴然です*1。FE83用のエンクロージャーにこんなもの入るのかとも思いましたが、ギリギリ入ってくれました。*2
適当に10~20Hzぐらいの信号突っ込んで大音量でダンパーを慣らしたあと*3、音楽を再生してみました。
「おおっ、いいじゃん!」
変な帯域の抜けがなくなり、心配した高域の不足もなく*4、バスレフと違って低音のでかたに変なもやがなく非常に自然*5。はじめからこうしておけばよかった。やっぱり、BHはBH用ユニットじゃないと鳴らしきれないんですね(逆もまたしかり)。
調整
吸音材配置をメモしておきます。ユニット交換済(FE126E)の状態。
- スピーカールーム(全面)にはグラスウール。
- ボックス下のスロープ部分下部から背面の板にかけてフェライト布を敷く。
- 幅55cmの一番下段部分に全面スポンジを入れる。
1番上は基本ですが、下2つは低音の妙な箱鳴りを防ぐためのものです。かなり違います。
2010年現在、このスピーカーはTPA1517アンプにつながれ、非常によい仕事をしています。
追伸
家に「Sansui D607F Extra」というアンプが余ってるんですが、どなたか要りませんか? 年代物ですが、その辺のコンポよりよっぽどまともなアンプです。
2006/10/08(日)スピーカーの調整
リプトン vs ガラスウール
この前いじったダブルバスレフスピーカーを再度調整してました。吸音材としてさらにリプトンを2つ追加したのですが、高域が死んだように感じたので(背圧増加?)今度は抜いてみたり、スピーカーと反対の面にガラスウールを再度詰めてみたりと色々。
一日がかりでいじってましたが、難しいです。とりあえずわかったこととしては、スピーカーユニットから直線と反射を繰り返して再度ユニットに戻るルートがあると反射音が出てしまうようでした。グラスウールは吸音すがある程度は反射してまいます*1。反射面を無効化する吸音材よりも、反射路遮断してしまうリプトンテトラパックの方が優秀でした*2。あと吸音材入れると低音の量感も減ります。
PCスピーカーその後
……ボリューム崩壊のため死亡。参った(この辺じゃ2連ボリュームなんて手に入らないし……
2006/10/01(日)スピーカーユニットまとめ
スピーカーパラメーターでよく聞くQ(or Qo or Qts)が直感的によく分からないので、色々調べてみました。間違ってたら訂正お願いします。
スピーカーユニットのダンピング
ダンピング([e2j:damping])というのはすなわち制動能力のことで、よく聞くオーバーダンピングというのはスピーカーユニットの機械的/電気的制動が効きすぎるものとなります。次のグラフはspedを用いてユニットの特性をプロットさせたものです。
回路のLC共振などを勉強した人は共振の尖度Qを学んだことがあると思いますが、機械系の制御も結局同じレベルで共振を論じることができます。スピーカーコーンの共振についての話がユニットのQであるわけです。FE103Eは、Qtsが0.36と異様に低く裾が広い共振インピーダンスを持っていることが分かります。
- Qtsが低すぎて(オーバーダンピング。上図FE103E)で低音が出ないというのは、ユニットの機械的/電気的制動が強すぎるために*1、低域でのインピーダンス上昇が起こり低音が出ないということです。
- Qtsが高い(FE83E)ということは、低域での大きなインピーダンス上昇がおきないということです(ただしインピーダンス上昇の山は鋭くなります)。
つまり、ユニットの低域の再生限界には2種類があって、1つは低域共振でのインピーダンス上昇による音圧の低下。これは能率の悪い、重たいコーンをもつユニットを用いることで解決することができます。もう1つはユニットが小さいことによる空気の空振り現象による限界。後者はユニット(ホーン)の面積が大きくすることで解決することができます。
しかしながら、重たいコーンなどのユニットは電気信号をあたえてから実際に音として現れるまで(定常状態に落ち着くまで)若干のタイムラグがあります*2。立ち上がりの悪い音になるでしょう。
参考文献
アンプのダンピングファクター
アンプのダンピングファクター(DF)というのもありまして、これまた制動を表す値です。こちらは比較的簡単に調べることができ、「ユニットのインピーダンス÷アンプの出力抵抗=DF」です。この値が大きいほど電磁制動がかかります。
電磁制動というのは何かと言うと、ユニット両端を解放したときに(DF=0)ユニットを軽く手で押すと簡単に動きますが(コーンに傷を付けないように注意してください)、ユニット両端をショートした状態(DF=∞)では押す力に対して反動があります。これが電磁制動です。*3
- ダンピングファクターは、主にアンプの負帰還(NFB)よって発生する。*4
- DFには、Qts(Qes)をDFで割る効果がある(制動能力がDF倍される)。
- DFが低い(1や1以下)と、低音の制動が効かず、自由振動の分、出力音圧が増した感じになる(悪く言えば低音がボン付く)。
現在の世の中の設計思想としては、アンプ側はDFを高く(制動力を強く)、ユニット側はQtsを高く(制動力を低く)のようです。
NFBがかけると音が悪くなることについて
理論的な根拠は示せませんが、NFBが強くかかると音が元気ではなくなり、平明的な鳴り方になるなどと言われます。色々と言われてることを集めてみると、だいたい1つに集約されます。DFが大きすぎると過制動となり、音の立ち上がりが悪くなる。どうもユニットが自由に振動できなすぎて、結果的に波形追従性が失われているようです。
オーバーダンピングユニットにぴったりの方式
書いていて思ったのですが、
オーバーダンピングで低音が出ないというのは、制動が強すぎるために低域でのインピーダンス上昇が起こり低音が出ない
ということは、まさに探し求めていた(?)電流出力アンプ向けのユニットということではないですか。電流出力アンプでは、(電圧が十分にあれば)インピーダンス上昇による低域や高域の減衰は無視できますし、電圧出力とは比較にならないほど優れた立ち上がり特性を得ることができます。唯一にして最大の欠点は、電磁制動がまったく効かないこと(DF≒0)と、それによるユニット共振周波数(fo)での音圧の上昇です。
オーバーダンピング(Qtsが低い、軽量コーンで磁気回路が強力な)ユニットというのはDFが大きくても機械的制動が期待出来るユニットです。このユニットをなるべく背圧がかからない(Qtsが上昇しない)ようなエンクロージャ(箱)に納めれば、電流出力アンプと互いの欠点を相殺しあって非常に良い結果になりそうです。……いつか試してみます。
2006/09/30(土)リプトン製吸音材
FE83Eダブルバスレフの調整
FE83E使用バックロードホーン(BH)を作成して以来、すっかり隠居生活をしていたFE83Eダブルバスレフ(DB)の吸音材を、リプトン社製吸音材に変更しました。類似商品(画像)もありますが、断然リプトン製です。
10個入り138円也。ボンドがかわいたおかげで妙な箱鳴りがまったく無くなっていたので中の吸音材を取ったのですが、箱は振動しないものの定在波によると思われる鳴りが発生してるようで、どうもうるさくて定位感が悪い。BHスピーカーは出張中のため、電流出力改造済F通PCスピーカーにリファレンススピーカーの座を奪われるという、なんともしょぼい事態が発生していました。
1ユニットあたり内部に4つほど吊してみました。ティーバッグは予想よりも小さかったですね。ちなみに第1空気室は内径で横17cm×奥22cmほどあります。
設置して聞いてみました。妙な鳴りはほとんど影を潜め、すっきりとした音になりました。ということでリファレンススピーカーに返り咲きです。ただあとに示しますが、FE83Eにしては背圧がかかりすぎて(箱が大きすぎて)高域がバックロードホーンほど伸びてません。やっぱりサブスピーカーかなぁ。*1
- 箱鳴りには、箱そのものの固有振動による共振と、定在波による鳴りの2種類がある。
- スピーカー(エンクロージャー=箱)を作成して1年ぐらいは、ボンドが乾き切らないために、箱(板)そのものが(物体固有振動により)共振してしまう。これを抑えるためには、かなりの吸音材が必要。
- 吸音材は良し悪しで、詰めすぎるとエンクロージャ(箱)として必要なスピーカーの音や低音まで吸音してしまう。
- 約1年して、ボンドが乾くと箱は強力に接着されまったく振動しなくなる。そのため吸音材は不要になる。しかし、定在波による固有振動が発生するため、空気室内部で音波を乱反射させるための細工(例えば今回のリプトン)が必要がある。
効果のほどは?
吸音材としてグラスウールがたくさん入っていたときのF特がこちらです(作成直後に測定したものです。右のホワイトのイズ測定はたぶんグラスウールなしだと思う)。
リプトン社製吸音材に変更した結果がこっち(変更直前を測定しておけばよかったですね(汗))。
50Hz~100Hzの間にかなり大きな谷があって、このせいで音のムードがない曲などが多かったのですが、ボンドが乾いた結果かどうか分かりませんが、かなり改善されています。1.5kHzと1.8kHz付近に大きな山がありますが、それぞれ「340m/220mm=1.54kHz」「340m/170mm=2kHz」ということで、奥行き、横の反射音だと推測できます。よく考えたらスピーカーユニットのまっすぐ背後にリプトンを配置し忘れたので、あとで買ってきて追加しようと思います(汗
F通スピーカーの改造
過去記事。元々プラスチックのチャチな箱で、電流出力アンプへの改造後の再生能力向上に箱が付いていけず、125Hzと250Hzで盛大に箱なり(箱が共振)するので、強度補強してみました。
箱鳴りは無事収束。しかし、曲よって、所々どうにも割れた感じになるんですが、これはどうやらアンプの問題だったようです。160Hz付近の共振周波数や10kHzを越えるような高周波が同時にソースに存在すると、それに見合う電流を流しだす特性上(高い電圧が必要になって)クリップするようです。これは原理上仕方ないねぇ……。
……しかし、リプトン版ダブルバスレフと比べると、やっぱりクリアさに欠ける。これ以上はスピーカーユニットの性能だから仕方ないなぁ。
2006/07/11(火)旧ダブルバスレフスピーカー
アンプエージング中なので
家の外でD907Limitedがアンプエージング中(電源入れっぱなしで10日近く放置)なので、それと一緒にスピーカーもいずこへか行っています。というわけで自作スピーカー1号機(ダブルバスレフ、Fostex FE83E使用)を使用して聴いてるのですが、あれなんかものすごく音が良くなってるんですけど(笑)。
この自作ダブルバスレフ、50Hz付近はよく出るんだけど65~100Hz付近の音がすっぽり消える「出来損ないダブルバスレフの典型」とも言うべきものだったのですが……、今聴いてるとゼンゼンそんなことない。後で測定してみますが、かなり改善してるのではないかと思われます。
あと、音がかなりすっきりしていました。元々箱なりが酷くてかなりの量の吸音材(グラスウール)を詰め込んであったのですが、試しにその大部分を取り除いてみたところクラシックなどを大音量で鳴らしてもほとんど問題なし。あとでこの筋で話題の吸音材「リプトンのティーパック」を買ってきて突っ込んでみようと思っています(たぶんその程度の対策で済む)。
小音量でも低域がほどよくでて*1ホーン的なモワっとした低音でもないのと、エンクロージャー(箱)のエージングが進んだのか箱鳴りがほとんどせず、全体にすっぎたしたとても良い感じの音になってます。ほんと、小音量リスニングに最適って感じです。
教訓「自作スピーカーは1年経たないと本当の音はわからない」