2008/05/19(月)PFC回路で力率を改善すると消費電力は増える

2009/10/07 修正


UPSは本当は何分もつの? 有効電力と力率の話に書いたことなのですが、あの記事は詳しすぎて一般向きではないので簡単に整理しておきます。

  • 力率と電力変換効率は無関係
    • なぜなら家庭の電力契約は力率を無視して電力積算する約束になっているため。
  • 電源がバッテリー(UPS等)のとき、真の効率は「力率(%)×電力変換効率(%)」に比例するようです。←やや不正確

力率を改善すればあたかも消費電力が減るという広告がありますが、あれは嘘です。機器で消費電力自体は変わりませし、力率改善回路(PFC)が電力を消費するのでむしろ増えます。力率を改善することで電流は減るため、機器の手前の電源コードや屋内配線で消費される電力は減るという側面はありますが、PFCによる消費電力増加に比べたら微々たるものです。

このような理由により、請求される電気料金は力率を改善することで増えます。*1

もっとも、PFCの分だけ消費電力が増えようと力率改善は結果的に省エネにつながるので単純な敵視はよくないと思います。電源のノイズも減りますし。

*1 : 通常の契約では、という注釈が付きます。家庭内全体の力率を改善することによる割引があるためです。この記事を書いた当初はそうでもありませんでしたが、最近はPFC付きでもさほど消費電力が上昇しないようになっているみたいです。これは測定したわけではなく経験則。

参考