2008/12/05(金)液晶ディスプレイ修理失敗記録
e-yamaの17AC3というディスプレイが故障しまして、捨ててもよかったのですが一応修理してみようと思い挑戦しました。
症状
画面に横線で出て表示がくずれ、やがて右の写真のようになにも表示されなくなります。垂直走査系の故障だと思われます。制御系の故障であることは間違えないでしょう。
RGB信号が入っていないときの「信号が入力されていません」というスーパーインポーズにも同じ症状か見られるため、制御チップから液晶までのいずれかにおける制御系の故障だと推測されます。
分解と分析
蓋をあけたところです。左の基板がインバーター回路で、右が制御基板になります。左端は(電源オンの状態で)さわると感電しますのでご注意ください。
開けてみると非常に簡素な作りで、なるほどこれなら安価に液晶ディスプレイを製作できるなと思えるものでした。gm2120というのは、RGBやDVIを受けて液晶制御信号を出すための専用チップ(DSP)で、「右端のROMに制御プログラムを組み込めばどのメーカーも簡単に液晶ディスプレイが作れますよ」というものです。*1
脱線しましたが、この制御チップより上が液晶パネルへ向かう制御系です。おそらく電解コンデンサの劣化だろうと当たりを付けて、(同容量の積層セラミックに)取り替えてみたのですがまったく症状が改善せず。
触診
修理慣れした人ならよくやる方法ですが、次に疑うのは接触不良です。今回の制御基板は低電圧回路ですので(左のインバータ回路では絶対にやってはいけません*2)、手で実際に基板のあちこちを触って症状が変化するか確認しました。手で触ると症状が変化する場合、その近くに接触不良などの不良があると考えられます。
しかしどこをどのように触っても、衝撃を与えても、まったく変化しませんでした。さらに分解し液晶パネル付属の制御基板*3をみても、電解コンデンサもなくおかしな場所も見当たりません。
しつこく分析
諦めかけていたのですか、最後捨てる前にせめて原因をはっきりさせてやろうと思い、液晶パネル付属基板を露出した状態で表示を行ってみました。
制御基板とインバータ基板(特にインバータ基板)が下の金属板でショートしないように4重に重ねた梱包ポリエステルを下に敷きました。インバータ基板は高圧のためショートさせると壊れるのはもとよりとても危険です。ご注意ください。
この状態で液晶パネル付属基板をいじると症状が変化します(一番上2枚目の写真。台の上にパネルをのせ、鏡で表示を確認しています)。この時点で液晶パネル付属基板(LG製)の故障が確定。こんなところが壊れるなんて……。
しかし場所がなかなか特定できません。液晶基板から液晶フィルムを接続している上部端子の、左から2つ目を触ると症状が一番変わります。おそらくこの近くの接触不良だと思ったのですか、押しつけても症状が変わらないことがあります。その他、基板GNDがフレームに接触するときに症状が変化します。
これも接触不良によくある症例ですが、それがどこかまったく特定できません。
こんな感じで探索していたところで、致命的ダメージを与えて終了となりました。
感想
- 液晶ディスプレイがなぜ安く量産できるかよく分かった。
- インバーター故障や、基板故障ならなおしようがあるけど、(確率は低いものの)チップ故障や液晶フィルム配線の断線だと対処のしようがない。
本当に液晶フィルム配線の不良だったのかは謎ですが、液晶付属基板に致命傷を与えたため終わり。これ以上時間取るわけにもいきませんしね。
いい具合にPCリサイクルマークが付いていたのでリサイクルに出しました(^^: