2017/08/09(水)ラズパイDACを製造しました
msBerryDACが無事にBispaさんで再販されましたので、製造の様子でもお届けしようと思います。
リフロー上がりの基板
今回、細かい「面実装」と呼ばれる部品は、専門の実装屋さんにお願いしました。
リフローでは、基板の表面にクリーム状のハンダを塗り、そこに機械などで部品を載せて(マウントと言う)、基板用のオーブンで基板を加熱し一気にはんだ付けを行います。
リフローをお願いした基板がこんな感じで届きました。
青いプチプチで基板同士が重ならないように梱包されています。
リフローされた基板はこんな状態です。
面実装の部品だけついているのがわかるかと思います。
上下についているのは捨て基板というもので、リフローしやすくするためについています。基板端のほうまで部品がなければ、最近は捨て基板がなくても実装してくれるみたいですが、多分(業者さんに)嫌がられます。
製造枚数や製造方法、お願いする業者にもよりますが、安いところでも部品1点で10~30円とか取られますので結構な高コストです。*1
DIP部品の実装
これも業者にお願いすることもできますが、コスト削減のため今回は手実装しました。
コネクタ2個、コンデンサ9個なので部品点数は大したことありません。しかし、Raspberry Piの40pinコネクタは40ヶ所はんだ付けする必要があるので手間がかかります。
また、今回基板を2oz(70um)という通常の倍の銅箔厚にしたために、熱が逃げてはんだ付けに四苦八苦しました。2ozは基板単価も高コストでして、その分音質が良くなっていると願うばかりです。
電解コンデンサです。日本ケミコンの「APSF 6.3V 820uF」を使用しています。こんな何気ない部品も、色々な高分子コンデンサを聴き比べた上で選択しています。
ちなみにこの量で20台分ぐらいしかありません。恐ろしいことです(苦笑)
そして今回の製造作業中に昔買った1kgのハンダがなくなりました。
左は比較用です。1kgなんて一生使い切ることはないと思っていたのですが、まさか消費する日が来ようとは……。
3.5mm4極ジャック
スペースの都合でRCAコネクタは配置していませんが、4極ジャックを付けてあります。3.5mm4極プラグを用意すれば左右のGNDを別々に接続することができます。
この4極ジャックも安くないのですが、ハズレロットを引いたのか不良率が2%ぐらいありまして参ってしまいました。実装前にコネクタ単体の全数検査をするはめに……。
製造を終えて
大量のコンデンサの足が残りました。少しもったいない気もしますが、ゴミにするしかありません。
結構頑張ってはんだ付けしたものの、10台当たり1時間かかりました。そのほかに、スペーサーの袋詰やら、検品やら何やらもしていますので、売り物を作るのは大変ですね。
再販まで約1年
以下、ただの言い訳。
昨年8月から頒布して品切れたのが12月ぐらい。秋頃だったら暇だったのですぐ次ロットが作れたのですけど、ちょうど忙しい時季にかぶってしまいました……。
あとはヘッドホンアンプ部のWiFi同時使用時のノイズ対策に手こずること手こずること。基板のDAC部は全くいじってないのですが、HPA部の変更だけで基板を6回作り直しています。
「万全に対策して、それを踏まえて基板を起こすと問題が解決してない」
という感じで結構地獄でした。基板を置く位置とか配線の仕方とかで結構変わってくるらしく、対策が成功したと思ったら他の要因だったという勘違いもあったのかも知れません。
現状「対策は完璧です!」と言い切れないのが悔しいところですが、努力の甲斐か、Ver1.11時点で普通使う分には問題にない程度になっているかと思います。*2
お願い
msBerryDACとかの委託頒布物の再販の問い合わせはBispaさんではなく当方にお願いします。Bispaさんが製造しているわけではないので、そちらに問い合わせてもあまり意味はありません。
それと、同人ハードに限った話ではありませんが、商品は流通しているうちに買わないといつ無くなっても不思議じゃないということで。
終わりに
DACの詳細はmsBerryDACの記事を読んでください。回路図も公開しています。msBerryDACの感想もリンク先の記事にお願いします。
購入はbispaさんで……と思ったらもう品切れてるようです。8月中には再販できるといいな……。