2017/10/30(月)LAN内に外部公開サーバを置いて、内部からアクセスさせる

ルーティングテーブル書き換え(route)によるアクセス制御から、unboundによるDNSの一部書き換えに移行したメモ。

状況

LAN内のLinuxマシンを、家庭用ルータのポートマッピングを使って外部公開している状況を想定しています。小規模の会社とかでも、こういう設定をされていることがありますね。

home-LAN-newtork.png

この場合、内側のPCから外部公開時のホスト名である「global.my.ip」にアクセスするとグローバルIPを引いてしまいます。そして、PCからルーターの外側IPにアクセスすることになるのですが、NEC等のルータではこの際ポートマッピングが有効にならずアクセス不能となります。*1

ルータのルーティングテーブルを書き換えることができれば色々と解決策はあるのですが、そんな機能を持った機種はまずありません……。*2

*1 : Buffaloはたしかアクセスできたような気がする。

*2 : Atermとかでは外向きの静的ルーティングはできても、内向きは無効です……

力技で解決していた

どうにもならないので、PCを起動するたびに、外部IPを確認して、外部IPにアクセスするときはLinuxサーバ(192.168.1.8)にルーティングするような設定をしていました。

@echo off
' route-add.bat
for /f "usebackq tokens=2 skip=1" %%i in (`nslookup global.my.ip 192.168.1.1 ^| findstr "[0-9]\.[0-9]"`) do set IP=%%i
route add %IP% 192.168.1.8

これで、PCから外部IP向けのパケットがLinuxサーバに向かうので、Linuxサーバ側でNAT処理をします。

MY_LOCAL="192.168.1.2"
MY_GLOBAL=`dig +short global.my.ip`
#---------------------------------------------------------------------------
# Special forward for myself
#---------------------------------------------------------------------------
iptables -t nat -A OUTPUT      -d $MY_GLOBAL -s $MY_LOCAL \
         -j DNAT --to-destination $MY_LOCAL
#---------------------------------------------------------------------------
# Special forward for local network
#---------------------------------------------------------------------------
iptables -t nat -A PREROUTING  -d $MY_GLOBAL -s $MY_LOCAL/24 \
         -j DNAT --to-destination $MY_LOCAL

これで無事アクセスはできるのですが、スマホ等からのアクセスは断絶されたままでした。

unboundによるDNSの書き換え

unboundというDNSキャッシュサーバには、特定のホスト名やドメインだけ、DNSの結果を書き換える機能が付いています。

本当は外部IPでのアクセスがすべてLinuxサーバに転送されるのが理想なのですが、そうも言ってらもないので、この方法で解決を試みました。以下、Debianサーバでの設定例です。

sudo su
apt-get install unbound

/etc/unbound/unbound.conf を編集して以下を追加します。

server:
        interface: 0.0.0.0
        access-control: 127.0.0.1 allow
        access-control: 192.168.0.0/16 allow

続いて /etc/unbound/unbound.conf.d/global.my.ip.conf というファイルを新規作成します。

local-data: "global.my.ip A 192.168.1.8"

作成したら unbound にリロードさせます。

service unbound reload

確認

$ dig @localhost global.my.ip
;; ANSWER SECTION:
global.my.ip.           3600    IN      A       192.168.1.8

ルータの設定書き換え

ルータのDHCPの設定を書き換えて、DNSのプライマリサーバに 192.168.1.8 を指定します。セカンダリは 192.168.1.1 を指定しておくと良いでしょう。

まとめ

NECのルータは性能は悪くないけど、細かい設定ができないのでちょっと面倒ですね。

UPnPタイムアウトを設定できないし(高級機のみ可)。Buffaloのほうがいいのかもしれない。ポート転送が内側に対しても効いた気がするし。

その後 2020/4/15

IPv6化して解決したため、unboundを削除しました。