2006/09/18(月)暗号理論に見る数学と工学の壁

暗号理論って不思議な分野

暗号理論ってよくよく考えてみると不思議な分野かもしれない。例えばRSA暗号。コンピューターで素因数分解することが難しいことを暗号の基礎になっていますが、数学の人にとってみれば

  • 素因数分解が存在することは自明なのに、それを暗号ってどういうことよ?
  • そんなのたかだか有限なんだから、端から調べていけば、いつか解けちゃうけど大丈夫なの?

となって、工学(暗号分野除く)の人にとってみれば、

  • そんな素因数分解の理屈はどうでもいいから、実際の物(プログラム)作ってよ。
  • 既にある暗号と比べて、何が役に立つのさ? 別の暗号でいいじゃん。

となる。数学と工学の間にある(社会的な)越えられない壁の典型例で、その壁のまさに中間にあるのが暗号理論だったり計算量理論だったりするのかなーって。*1

嫌われ者

たぶんどっちの世界に行っても嫌われものでしょう(^^; 数学は数学で「純粋数学以外は数学ではない」みたいに考える人たちがいて「暗号なんて数学じゃない」とか言いますし、工学は工学で「役に立たないものは工学ではない」みたいに考える人たちがいて「暗号理論はありゃ数学で工学じゃない」とか言う。こういう中間層というのはどっちからも嫌われるんですよね。


こういう世界のナンセンス話は結構色々あったりします。この前のGAの話もそうですが(笑

*1 : しかしまあ、どちらかと言うと「数学寄り」な気はする。