2006/09/21(木)NJM2073によるヘッドホンアンプ
NJM2073はIC自体の問題(ノイズ)が大きくヘッドホンアンプには向きません。どの回路図でも、NJM2073でヘッドホンアンプを作ることは全くお勧めしません。
このアンプを作るぐらいならLM4880ヘッドホンアンプを作る方が100倍マシです。
アンプ回路図
まだ部品不足のために作成の目処は経っていませんが、ブレッドボードで動作(音質)確認をとったので回路図を掲載しておきます。部品点数は可能な限り少なくなるようにしてあります。
制作時の注意点とポイント
- NJM2073データシート
- このアンプの電源は「単3電池2本」です。これでも通常のリスニングでは十分な音量が出ますし、
音質の面から言えば電池であることが最重要です。*1 - 電源のC1~C5に使う超低ESRコンデンサが音の要です。三栄電波などでニチコンHN(or HZ)を、ジャンクで入手する場合は壊れたPCマザーボードなどから6.3Vコンデンサを取り外してください*2。個数はお好みで。
- PC用低ESRコンデンサはちょっと……という方は、千石電商等で売られている「OSコン 6.3V 2200uF」を適当に使用してください。
- 電源からNJM2073電源入力までのラインは、あまり長く引き回さないようにしましょう(そこまで神経質にならなくても構いませんが…)。
- Cpには積セラなどを使い、NJM2073の直前に配置してください(発振防止用です)。
- 入力アッテネーター抵抗である20kと2kは、できるだけICの近くに配置し最短で配線してください。Rsの1kΩも同様です。この部分が最もノイズに弱くなります。
- Czにはフィルムコンデンサをご使用ください。ケチるなら積セラでも構いませんが。
だいたいこんな感じです。フィードバック信号のカップリングコンデンサCfはかなり音質に影響しますし、Co、Roなども同様です。全体がシンプルなだけに1つ1つの部品が音質に与える影響は大きいという感じでした。Cf、CoにはMUSE FG等の音響用コンデンサの使用を強く勧めます(少なくともCfには)。抵抗には音響用抵抗を使うとより一層音がクリアになります。
音質評価
ブレッドボードへの組み込み、電源にニッケル水素×2、C1~C5にGSCコンデンサ×6、安物のボリューム抵抗、CoにTKの標準品コンデンサ、RfにMUSE FG 100uF、抵抗は音響用ではないカーボン抵抗という状況で試聴しましたが、非常にクリアな音がしていました。かなりのクオリティーです。1万以下の市販ヘッドホンアンプでは、おそらく勝負にならないだろうと思います。部品点数が少なく、すべて音響用カーボン抵抗や音響用コンデンサなど使ったとしても、トータル3000円程度ですし、一度試してみてはどうでしょうか?
出力アッテネーターを使用しないとこの音は出せません(;;)
作成後の評価
音質評価はちゃんとすべきですね(汗) エージングはまだ終わりませんがOSコンらしいクリアな音質なんですが、ノイズが……。出力抵抗をオン/オフ式(100Ω/0Ω切り替え式)にしたんですが、出力抵抗がないとIC自体の発生するノイズが多すぎます。100Ωだとわずかに聞こえる程度ですが気になります*3、IC本来のノイズを出力アッテネーターで押さえ込むというのはかなり間抜けな話です。
どうもこのIC、オープンループゲイン(仕様書未記載)がかなり大きいようで(80dB近くあると思われます)、結果的に出力段で0.5~1mVのホワイトノイズが発生してしまいます(電源電圧や周辺回路に関係なく)。また今回NJM2073Sを使用したのですが、NJM2073D(8pin-DIPタイプ)に比べて雑音が多いようです。
NJM2073はやめて、ほかのICでつくった方がいいような気がする……。