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2008/08/31(日)OS-CON vs KZE
※2009/10/10修正。2011/02/24さらに修正。
まとめにもありますが、個人的にKZEを特別推奨はしません。低ESRコンデンサでは普通の音で、固体コンのほうが好きです。
OSコン vs KZE
司さんオススメのKZEという電解コンデンサ。
「OS-CON 2.5V 2700uF(導電性高分子*1)」と「KZE 6.3V 1000uF」*2で比較試聴してみました。写真は低電圧ヘッドホンアンプ。コンデンサは差し込み式端子で、どちらも十分に(200時間以上)通電(エージング)してあります。
KZEは差して1分で「非常に明瞭な音」がします。低音もしっかり出ます。司さんのお話ではカップリングコンには向かないとのことですが、少なくとも電源用なら音響用コンデンサよりは良いです。
さてここでOS-CONに差し替えます。全体にモヤが出たような感じKZEよりも音質が落ちます。なんていうのか、1枚ベールを被ったような感じ。ああたしかに、OS-CONはもやったようなに感じます。
問題はこの後
そのまま30分ぐらい放置します。するともやが晴れて高域まで伸びきった明瞭な音がします。明らかにOS-CONの方が良いです。
追試1 USB-DAC
USB-DACで比較してみました。エージングは200~300時間。
C17~C19 | OS-CON 6.3V 1500uF | KZE 6.3V 1000uF |
---|---|---|
C21~C24 | OS-CON 16V 470uF | KZE 16V 470uF |
OS-CONの方が明らかに良いという結果でした。
- 音の輪郭が「ぬるく」なってしまう(粒が立たない)。オペアンプで使ったときと傾向が違うので、DACにおける瞬間的な放電能力の差だと予想します(確認はしていません)。
- 若干音の明瞭感が悪い(音はとても綺麗なんだけども)。超高域DCDCノイズを吸収仕切れてないみたいです。
瞬間的な給電能力が重要となるとKZEはぜんぜんダメです。当たり前ですがノイズ吸着力も弱いです。
追試2
続いてはこの低電圧ヘッドホンアンプを使って確認してみました。試作プリント基板で電解コンデンサ以外はまったく同一の部品を使用して構成しました(終段バイアス0.4mA設定の回路です)。
- KZE
- 6.3V 1000uF。そつなく明瞭には聞こえますが高域が伸びないし音の瞬発力が弱い。低音が鳴る曲だと音が混ざり明瞭間に劣る。
- OS-CON
- 2.5V 2700uF。音ひとつひとつの輪郭がはっきりする。KZEよりもひとつひとつがよく聞き取れる。
KZEは悪くはないんだけど、やっぱり導電性高分子コンデンサには敵わないです。
まとめ
コストパフォーマンスを考えるとKZE/KZHも悪くはないけども(売値50円ぐらい)、音質は圧倒的にOS-CONに軍配。
OS-CONはエージングにやたら時間はかかりますが、高音~超低域まではっきりと(粒が立って)聞こえます。KZEの低音は綺麗だけど、音がぼやける印象があります。
ちなみにKZEが特別に良いというわけではなく、だいたいの(固体コンデンサ以外の)低ESRコンデンサはこれぐらいの音を出せますし、その中でもKZEはESRが高い(性能が悪い)ほうです。KZHぐらいだと低Z品として使いやすいけど、個人的には超低Z品の「nichicon HN」や「Rubycon MCZ」のほうがいいと思います。
なお、OS-CONは固体コンデンサの中でも性能(音質)が優れています。
2008/08/23(土)ダイアモンドバッファと低電圧オペアンプ
ヘッドホンアンプ
失敗作を改造してダイアモンドバッファ付き回路にしたてたました(CRD1mAはそのまま)。1~1.4Vppぐらいしか出ませんが高能率ヘッドホンだと0.2Vppぐらいなんで実際これでも十分です。そんなに駆動力が必要なわけではないし、どうせ音なんか変わらないよって軽く聞き比べてたわけなんですか……まさか変わるとは。
LMP7732のパラバッファアンプ*1と、LMP7732を使ったダイアモンドバッファ付きを比べると、後者の方が圧倒的に低音が綺麗。綺麗にしっかりとなります。こんな違うのか…。低音が綺麗なせいか、曲全体もよりクリアになります。*2
そこで、ここに取り出したるは例のFETヘッドホンアンプ(Vランク×4)。おおーっ、LMP7732+ダイアモンドバッファとFETヘッドホンアンプの音がとても似ている。Vランク×4ってこんな音よかったっけ? というおとぼけ発言をしつつ、よく比べると中高域の綺麗さ(明瞭さ)ではLMP7732アンプ。中高域の綺麗さと低域の綺麗さを併せ持つLMP7732+ダイアモンドバッファ最強ということに(笑)
LMP7732って低電圧オペアンプ界のOPA627みたいなところあるなーと思っていたんですが(妙に心地よい色が付く)、駆動力が不足すると若干エコーがかかったような色つきの音になるようです*3。
そして今は
他の低電圧オペアンプに変えて聞き比べてますが、ダイアモンドバッファ付きの方が音が良いのは間違えなさそうです。ちなみに、バッファを付けられるオペアンプと付けると激しく歪んでしまうオペアンプ(LT1678等)があります。
ダイアモンドバッファ付きだと今度は出力可能電圧範囲で不利なので、今ちょっと面白い回路をテストしてます。うまく行きましたら、新型ヘッドホンアンプとして紹介しますね。
2008/08/19(火)低電圧バッファ回路、失敗作
低電圧(単3電池2本)駆動アンプの一番の問題は、出力を大きく取り出せないことです。Rail to Railというオペアンプを使えば、電源ギリギリ付近まで出力することができます。しかしそれは負荷抵抗が大きいとき(負荷か軽いとき)であって、ヘッドホンのように20Ωなどの負荷をつなぐとあっというまにクリップしてしまいます。
これはオペアンプの(NFB含まない)出力インピーダンスが50~100Ωぐらいあるためで、これを改善するためにオペアンプの出力にバッファ回路を付けるということがよく行われます。
失敗した回路
出力インピーダンスが低く駆動力が大きいエミッタフォロア回路を使って、バッファをさせることを企てました。出力インピーダンスを下げて、低インピーダンス負荷を難なく(電圧低下なく)駆動するためです。
しかしながらこの回路、思った通りうまくは動きませんでした。さてどんな問題が起きたのでしょうか?
正解は明日以降に掲載します。
Q1, Q2はダイオードと同じ働きをしています。D1, D2は1mAの定電流ダイオード(CRD)です。
失敗の内容
±1.2V電源使用時。
無負荷 | 32Ωイヤホン |
---|---|
オシロの画像を見れば一目瞭然なのですが、32Ω負荷のとき1Vppも出力できませんでした(右の画像でクリップしている部分が最大出力電圧になります)。RtRオペアンプを使えばもうすこし出力できますので、これでは何の意味もありません。
失敗の理由
何が起きているかと言いますと、負荷が小さくなればその分Q3, Q4のコレクタ電流が増えます。コレクタ電流が増えると、ベース電流Ibが増えます。ベース電流が増えると、Vbeが増えます。計ってみると、0.6V程度のベース電圧が発生していました。
また、定電流ダイオードがD1/D2が0.2~0.3Vの電圧降下を生みだし、結局
1.2V - 0.6V - 0.2V = 0.4V
が最大出力電圧となっていました。実際には電池が1.3Vぐらい出力できたため11実測波形は少し大きめです。
試しに入力として0V~2Vぐらいの電圧を与え、電源電圧を±2.5V程度にしてみると、入力電圧をあげるとIaが減り、その分Ibが増えますが、ある時点で(出力がクリップする時点で)それ以上電流が増えなくなります。この時点で、定電流ダイオードが飽和しているものと考えられます。またIaが減ることで、Q1による電圧降下は減り、Q2による電圧降下が増え、結果ますますIbは頭打ちとなります。
電流Iaが変わらない方がQ1による電圧降下が一定して都合が良くなります。と考えると、ダイオード(Q1,Q2はダイオードとしての役割*1)よりも、ダイアモンドバッファ構成にした方が優れていていますね。
そんなこんなでダイアモンドバッファに改造しました。電源電圧が上がったとききちんと出力範囲が広くなったのはダイアモンドバッファでした(でもIbによるVbeの大きな電圧降下が避けられないのですが)。今更ながらダイアモンドバッファはよく考えられた回路だということが分かります。
別の方策は?
2SK170/2SJ74のFETバッファを使うという手があるのですが、1組あたり10mAしか出力てきず、出力インピーダンスも高いために同じ問題に当たります*2。とにかく、低電圧をディスクリートで組むことは大変に困難であることがよく分かりました(汗)
ほかの方法としてオペアンプの多段連結などがあります(A47など)。この方法はバッファに使うオペアンプと、入力段に使うオペアンプの合成方法によっては、バッファ段の性能(入力特性)が影響してしまうという問題があります。*3
まだ検討・研究してみますが、パラバッファ型アンプに落ち着きそうな予感です。