みなさんお待ちかね(?)のコンデンサ載せ替えです。お約束ですが、この記事を参考にする場合はすべて自己責任でお願いします。著者は一切の責任を負いかねます。初めから改造する気だった人のために情報を提供しているだけであり、改造を推奨しているわけではありません。
アダプタから入力された5V電源は、簡単にフィルタされた後、中央部の電源用コンデンサで平滑化されます。+5V はすべての回路の電源であると共に、DAC/ADCのアナログ電源となっています。ここのノイズを取ると音質が大きく改善します。
5Vは3端子レギュレータを介して+3.3Vデジタル部の電源となります。デジタルノイズがアナログ段に回り込まないようにすることも重要です。
5VからDC-DCコンバータを介して±9V電源を生成します。この9V電源は主にオペアンプの電源となりますが、回路のほとんどの電流はこれらオペアンプなどのアナログ回路で消費されているようです。
いかにしてアナログ段のノイズを減らすかということが目的になります。
アナログ部に関する電源はどこを取り替えても音が変わりますが、交換しながらノイズを観測した様子から効果が高いと思われる順に述べてみます(保証はしません)。
効果予想 | 部位 | 付け替えの例 |
必須 | DC-DCコンバータ | 1次側6.3V/100uF、2次側10V/10uF |
A | DAC部のオペアンプ電源(±8~9V) | 10V/220~470uF |
A | DACアナログ電源(5V) | 6.3V/100~220uF |
B | DAC基準電圧用電源(L/R) | 6.3V/220~470uF |
B | 5V電源(全体の電源=主電源) | 6.3V/2200uF |
必ずこの記事を参考にDC-DCコンバータに電解コンデンサ(等)を付けてください。これが付いていないとお話になりません。(良い子は耐圧は16V以上を使いましょう)
付け替えに使用したコンデンサはOS-CONです。元より容量が減っているものもありますが、容量よりもESR/ESLを重視しました。自分は470uF品の手持ちがなく220uFを付けました(全部千石で買ったものです)。
カップリングコンデンサは好みに応じて変えてください。SILMIC 2は決して悪いものではないので、このままでもいいと思います。印可電圧は±2V程度ですので、変えるときは(電流はほとんど流れないにしろ)逆電圧がかかるということ念頭に置きましょう。
ここはほとんど電圧がかからないので、コンデンサ取り付け時にハンダ熱で痛んだ場合、電圧印可による修復は期待できません。ソケットにしておく方が無難です。
というよりも修復時間です。コンデンサはハンダ熱を加えることで性能が著しく劣化するので、取り付け時はリードを多少延ばしてでもコンデンサ本体に熱か伝わらないようにして素早くハンダ付けすることが基本です。
また取り外し時にGND側で熱が逃げるため、どうしても長く加熱する必要が出てしまい、外しているコンデンサ以外のコンデンサが熱疲労します。取り替えるなら一気に外してから載せ替えましょう。
このようにハンダ熱の加え方にもよりますが、10~100時間(場合によってはもっと)ぐらい電源を入れて放置しないと本来の性能を発揮しません。
録音機能の音質改善です。
ADCアナログ電源は主電源である+5Vと0Ωの抵抗で繋がれています。これは、主電源の5Vのコンデンサを変えれば大きく性能が改善することを意味していますが、同時にADC動作ノイズが5V電源にダダ漏れすることも意味します。録音と再生を同時に行わないのならば、主電源コンデンサだけ放置するというのも手です。
本格的に改造するならばコンデンサ手前に0Ωのチップ抵抗が乗っているので、これを3.3Ωぐらいに替えた方がいいです。コンデンサだけ載せ替えてもあまり意味はありません。チップ抵抗がなければリード抵抗でも構いませんから、載せ替えた方がいいです(少々技術が必要なので、無理にはすすめません)。
部位 | 付け替えの例 |
ADCのオペアンプ電源 | 10V/220uF |
ADCアナログ電源(5V) | 10V(6.3V以上)/220~470uF |
ADCカップリングコン(2組) | 削除(バイパス) |
ADC終段カップリングコン | Muse FX 16V/47uF |
あまり物療投資をしても仕方ないので、ほかはそのままにしました。Muse-FXはたまたま余っていた(他に使い道もなかった)ので付けてみました。ADCに関しては基準電圧コンデンサとADC電源の手前のチップ抵抗「0Ω」を「3.3~10Ω」等に変更する方が大きいと思います。
これだけ改造するとデジタルノイズがあまり回り込んでいるようには(オシロでは)見えないのですが、チップ積セラを持っているので、デジタル部とDC-DCなどの「パターンはあるけど付いていない積層セラミック」を20個ぐらい付けました。この他タンタルのパターンもあるので、こっちもつけておくとデジタルノイズのアナログへの回り込みが減るかもしれません。
交換前 | 交換後 |
| |
やりすぎ(笑)
Frequency response (from 40 Hz to 15 kHz), dB |
+0.01, -0.09 |
Excellent |
Noise level, dB (A) |
-96.3 |
Excellent |
Dynamic range, dB (A) |
96.2 |
Excellent |
THD, % |
0.0036 |
Very good |
THD + Noise, dB (A) |
-83.1 |
Good |
IMD + Noise, % |
0.0059 |
Excellent |
Stereo crosstalk, dB |
-79.2 |
Very good |
IMD at 10 kHz, % |
0.0058 |
Excellent |
General performance |
|
Excellent |
録音ボリュームの位置によって、SN、IMD、THDなどは若干変化しますがだいたいこんな感じです。ステレオクロストークは録音ボリュームが原因ですので改善できません(確認しました)。
THDなどは恐らく電源電圧の変動によるものですが、3端子レギューレータがないため(LC/RCフィルタのみのため)これ以上の改善は難しいようです。
購入時は「歪み感のない良い音だけど高域が若干丸い。イマイチ明瞭感がない」感じでしたが、コンデンサを載せ替え等をすると高域の伸びがよくなり、圧倒的なクリア感があります。SNの向上が一番大きいのですが、歪み感もより一層無くなった感じです。ついでに低音もハッキリ出るようになりました。