2016/04/18(月)普段P板の人がFusionPCBに基板を注文してみた
P板の品質にはまあまあ満足しているのですが*1、最低3万するので*2試作基板作るにはちょっと値段が高いのですよね……。
そんなわけでP板使いの人がFusion PCBを使ってみたメモを。
Fusion PCBとは
いくつかある格安基板製造会社のうち、比較的品質の評判がよく、それでいて値段の安いところです。
最安なら$9.9で基板を作ってくれます。1000円ぐらい。
Fusion PCBのデザインルール
よく使うP板との違いをまとめてみます。
項目 | P板 | Fusion PCB |
---|---|---|
最小パターン幅 | 0.127mm | 0.1524mm |
最小パターン間隔 | 0.127mm | 0.1524mm |
最小シルク高さ | 1.0mm | 1.0mm |
最小シルク線幅 | 0.127mm | 0.1524mm*3 |
最小ホール経 | 0.3mm | 0.3mm |
最小ランド経(PTH) | 0.6mm | Hole+0.3048mm以上 |
銅箔厚 | 18um/35um*4 | 35um/70um |
P板はルールに違反すると弾かれますが、Fusion PCBは細かいルール違反でも基本的にはそのまま製造してくれます。
面付けルール
面付けの方法は「What are the PCB panelization rules?(日本語)」にありますが、要するに基板同士をくっつけて配置すればokです。
- 同一基板の面付けは、面付け代不要
- 異種基板の面付けは、種類数に関わらず5面付けまでで有料
P板のように切り離してくれるのかな? と思ったら、単にVcutで処理した基板が送られてきました。
- 最小基板サイズ : 60mm×60mm
- Vcut後最小サイズ : 15mm×15mm
- 追加料金$16を払えば:8mm×8mm
- 板厚:1.0mm以上
- 42面付まで無料
- 異種面付は9種類まで
P板は台湾工場を選べば制限なくやってくれますし、Vcutと面付けは別々として扱われるので(Vcutではない切り離された面付けができるので)、ちょっと融通は効かないですね。
ただのV-cut
アウトラインはつなげた状態で、シルクスクリーンに直線を引いてVcutすればいいらしい。この方法のV-cutで面付けしようとすると、面付け料金払えと怒られます(苦笑)
ガーバーデータの形式
P板、Fusionどちらもzipなどで圧縮してファイルを送信します。
P板はREADME.TXTなどのファイルを用意し、その中に拡張子とレイヤーの対応付けを記述します。
(1)部品面パターン *.cmp (2)半田面パターン *.sol (3)部品面レジスト *.stc (4)半田面レジスト *.sts (5)部品面シルク *.plc (6)外形線データ *.dim (7)ドリルデータ *.drd
Fusionは予め定められた拡張子に、ファイル名を変更します。
- 部品面パターン : .GTL
- 部品面レジスト : .GTS
- 部品面シルク : .GTO
- 半田面パターン : .GBL
- 半田面レジスト : .GBS
- 半田面シルク : .GBO
- 外形線データ : .GML
- ドリルデータ : .TXT
注文から届くまで (EMS)
面付けしたり色々カスタマイズしたりしても$100ぐらいですのでお安いです。
送料ですが、Air Mailが最安で$6ぐらいでしたが、ものすごく(1ヶ月以上とか)遅くなることがあるらしいので、EMSを選択しました。昔中国から買い物したときは、EMSで1週間もしないで届いたので、比較的早く届くかと思っていたのですが……。
- 3/31 オーダー
- 3/31 基板製造開始(PCB Processing)
- 4/05 基板製造完了(In production)
- 4/06 発送準備中(Processing)
- 4/08 追跡可能(Traceable) …… しかしこの時点では追跡不可能
- 4/11 17trackでのみ追跡可能に。発送準備中。
- 4/14 EMS荷物としてシンガポールより発送
- 4/16 国際交換局に到着
- 4/17 国際交換局から発送
- 4/18 荷物到着
製造完了から実際に発送されるまで実に9日。製造完了から到着まで13日。EMSの意味が無い。Air Mailも同じルートを通るそうなので、それでも大して変わらなかったんじゃないかと思ってます。
中国の荷物がなぜシンガポールから発送されるかと言うとその方が安いからだそうです。
注文から届くまで (UPS)
UPSは早いらしいと聞いたのでUPSで頼んでみました。
- 5/09 オーダー
- 5/11 基板製造開始(PCB Processing)
- 5/13 基板製造完了(In production)
- 5/17 発送準備中(Processing) - 深センから出荷
- 5/18 追跡可能(Traceable)
- 5/19 香港着
- 5/21 UPSに荷物引き渡し。香港から発送
- 5/22 シンガポール到着
- 5/23 シンガポールから発送
- 5/24 深セン着(飛行機の経由地?)
- 5/24 日本着
- 5/25 荷物到着
製造完了から発送まで8日。製造完了から到着まで12日。EMSより1日早いだけ。
またなぜかシンガポールを経由して、しかもシンガポールから工場のある深センを経由して荷物が届くという*5クソ仕様でした。
基板の品質
シルクは思ったより綺麗でした。一番小さい文字は「1.0mm/幅0.15mm」ですが、やや潰れています。読めなくはないですけど。少し大きめの「1.5mm/幅0.2mm」は十分な品質。
あとレジストとシルク間にマージンがあるせいで、シルクがP板に出すものよりも狭く(細く)なっていました。
シルク以外に特に気になるところはなし。
まとめ
- お値段も安く基板の品質は十分。
- 高さ1mmのシルクは潰れやすい。
- 発送方法に関わらず早く届ける気はないらしい(EMSやUPSを選択するのは愚行)
- 追記(2019/03/06)
- 最近はシルクもきれいらしい。
- OCS ANAに対応して早く届くらしい。
次はElecrowに頼んでみようと思います。とはいえP板以外の選択肢ができたのは良いですね。