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2007年07月18日の記事

2007/07/18(水)LM4880 ヘッドホンアンプ

以前作成したNJM2073ヘッドホンアンプがあまりにもダメダメなので(その割に高価な部品が載っていて勿体ないので)、回路を分解してLM4880で作り直してみました。


※どうせ作るなら、部品点数が少なく音質が優れたLM4880-DC直結版をお勧めします。

LM4880

LM4880(LM4881含む)はナショナルセミコンダクターのポータブルプレイヤー向けアンプICです。外部部品が非常に少なく自作には扱いやすいICです。仕様外(保証外)ですが、単3電池2本で動作します。

マルツパーツ館で姉妹品のLM4881が、ネットではエリスショップなどで販売しています。DIPパッケージとSOP(1.27mmピッチ)のパッケージがありますが今回は後者を利用し、秋月の変換基盤を使ってDIP相当として使用しました。

回路図

lm4880_circuit.gif


仕様書の回路図そのままです。

  • Ci, Co はカップリングコンです。
    • Ciと入力抵抗の関係で低域の周波数特性が決まります。F特を稼ぐために、入力抵抗を大きくし過ぎるとノイズを拾いやすくなります。
    • 音質を優先するならば、Ciにはフィルムコンを使うといいです。例えば千石で売っている3.3uF程度のフィルムコンがやすくて良いと思います。
  • CBは中点電圧安定化のためのコンデンサです。仕様書では1uFです。小さいと低音が出にくくなります。あまり大きくすると、ウォームアップに時間がかかります。
  • 5ピンはシャットダウン用端子です。VCCに繋ぐとシャットダウンできます。特にこの機能を使わない場合は必ずGNDにつないでください。*1

*1 : FET入力のため、Openにするとものすごい勢いでシャットダウンとONを繰り返し使い物になりません。

実装について

lm4880.jpg
lm4880_2.jpg

仕様では電源として2.7~5.5Vとなっていますが、単3×2で使用しています。色々調べてみると、2.2Vが最低動作電圧で、2.1Vになると音が割れ気味、2.0Vでは全く動作しなくなりました。ニッケル水素電池×2でもだいたい駆動できます。

回路定数ですが、実際に作成するときは手持ちのオーディオ用抵抗の関係から「Ra=1k、Rf=2k」にしました*2。同じく手持ち部品の関係から、入力カップリングCiに「OS-CON 100uF」と出力カップリングCoに「OS-CON 470uF」を使いました。OS-CONはメーカー側でカップリングコンに使用出来ないと言われていますが、この程度の使い方ならば大きな問題はありません。(自己責任で)

なおカップリングコンに電解コンデンサを使う場合はオーディオ用コンデンサを使ってください。このアンプでは、カップリングコンの音がそのままストレートに出てきます。

またカップリングコンおよび中点保持用コンデンサとして電解コンデンサを使用する場合、電解コンデンサがハンダ熱によって失った性能を回復させるため、十分な電圧を加えて性能を回復させる必要があります*3

電源にはジャンクPCから外した低ESRコンデンサ 6.3V 1000uFを6個使用しました。過去に何度も書いていることですが、電源のインピーダンスを下げることは音質面やノイズ抑制の意味で最重要です。最近はOS-CONやオーディオコンデンサが売られていますので、東信のUTSJやOS-CON 6.3V1500uF(千石で固体コンデンサとして売られてます。マルツならば2.5V2700uF)をお勧めします。

抵抗は好みに応じてオーディオ用などを用いるといいと思います。抵抗は2ピンにできるだけ近づけて配線してください。2ピンが一番ノイズを拾いやすいので、ここの配線を長くすることは音質的に不利です。

ボリュームも音質に影響するので、ミニデテントあたりを薦めておきます。(10KAΩを使用しました*4

*2 : ボリュームの抵抗との関係を考えたら、やはり10k~20kぐらいが良いと思います

*3 : 例えばMuse KZ 25V品を使用する場合、25Vを加えた状態で100時間程度放置しないと本来の性能(音質)を発揮できません。ハンダ熱を加えたあとの修復前では中高域にモヤがかかったような音がします。

*4 : ここに100KΩなどを使用する場合は、Ra, Rfも大きな値にする必要があります。ノイズ面から10kΩ程度がいいと思います。

音質評価

クリアかつ明瞭でかなりの高音質です。ノイズも皆無で、NJM2073のノイズと戦っていたのがバカらしくなりました(汗)

カップリングコンの音がストレートに出てくるという印象があります。OSコンのクリアな音質です。カップリングコンにMuse KZを使った似た回路実装と比較させてもらいましたが、こちらはKZ特有の重い低音が鳴っていました。高域まで綺麗に伸びて、歪み感もなく、とても素直な音質です。

自作ヘッドホンアンプと比べると

  • 超高域や音の立ち上がりがやや弱い(若干まるい)印象があります。
  • 出力カップリングコンがあるから仕方ないのですが、低音の立ち下がり特性が悪いです(いわゆの低音しまりが弱い)。
  • カップリングコンの色づけが出ます。*5
  • 全体に明るい(軽快な)感じの鳴りです。
  • A500では気付かなかったのですが、(より高能率のヘッドホンで聴くと)わずかにホワイトノイズがあるそうです。

自作ヘッドホンアンプはこちらです

消費電力測定

電源電流
2.2~2.4V0.5~0.7mA
3.0V1.4mA
4.0V1.6mA
4.8V2.5mA

だいたいの数値です。続いて、インピーダンス34Ωのイヤホンに繋いだ場合の電流。平均電流ですので、瞬間最大ではこの何倍か行くと思います。

ボリューム位置減衰電流主観的な音の大きさ
9時-33dB0.5~1mAちょっと小さいぐらい。小さめで聞く人には丁度良い。
12時-20dB15~25mA結構な音量。かなり大きめで聞く感じ。
1~2時-10dB25~50mAうるさくて聞いていられない

*5 : 必ずしも悪いことではありませんが素性の音を求める人には向いてません。OSコンならば、ほとんど色はなくクリアですが。

まとめ

ポータブルプレイヤー向けに作られているだけあり、低価格ながら扱いも簡単で高音質です。1~2万ぐらいのオーディオカード付属ヘッドホン端子*6よりいい音がします。

組み立ても簡単ですし自作初心者向けに丁度良いと思うのですが、問題はチップの入手性でしょうか。そのうち秋葉原の店舗で扱ってくれそうですけどね。(希望的観測)

*6 : 複数の音が鳴ったときにガヤガヤとしたうるささがあるんですよね