- キット各種完売。
- msBerryDAC改造情報
2008/06/11(水)DACの出力に残るノイズ
高音質な バスパワーUSB-DAC の製作 (PCM2702)を作ってます。またもLPFを設計してて気になったのですが、8xオーバーサンプリングぐらいだと、高域ノイズを完全に消すのって難しいんですよね。
そんなわけで、他のDACだとどれくらい高域ノイズが残っているのか、20kHzのsin波(0dB)をWaveGeneで再生して確認してみました。
PCM2901(LPF前) | PCM2702(LPF前) | SE-U55SX(VLSC前) |
---|---|---|
PCM2901(LPF後) | PCM2702(LPF後) | SE-U55SX(VLSC後) |
太い筋のようみえるのがオーバーサンプリングによる高域ノイズです。
- オシロで確認出来るぐらいなので、どの場合も結構残ってます。
- PCM2901もPCM1796(SE-U55SX)もどちらも8xオーバーサンプリングですが、内部のフィルタの違いが出力波形に出ています(後者はオーバーサンプリングの固定地点が見て取れます)。
- PCM2901はかなり強めの2次LPFをかけていますが、まだノイズが残っているようです。
- VLSCはさすがに高域ノイズを減らしますが、オシロの波形をみる限り完全になくなってはいないようです。
- VLSCはあくまでサンプリング点のパルスノイズを低減することが目的(ONKYO曰く)なので、高域ノイズが減ったのは副産物(?)とも言えるかも。
- そもそもSE-U55SXの回路図をみると、VLSCや96kHz再生を前提としているためか、LPF自体がかなりゆるめ(カットオフ100kHz前後)の設計です。
SE-U55SXのマイク端子からなぜかVLSC前の出力が出るようになっているのですが(笑)、聞き比べてみるとたしかに聴覚上ざらざら感がなくなったように感じます。音の見通しがよくなるというのかな。余計な回路が付いている分だけ音が悪くなると思ってたんですが、そうとも限らないみたいです。もっとも、LPFをもう少し強めにかけてあげれば違って聞こえそうですけどね。
こうしてみると、PCM2901もLPFもう少し強くかけていいように感じます(再生音がややざらざらしてるので。
感想
こうやって眺めてみると、いくら聞こえない(?)とはいえ、私たちは随分とノイズまみれの音を聞いてるんですね。カットオフを高めに設定した、4次とか6次とか8次とかのアナログLPFかけたらどんな感じに聞こえるのか、少し気にはなります。
作るのが面倒くさい上、まともな抵抗とオペアンプ使って作らないと意味がないので(それによる音質劣化が激しいので)、しきいが高いですね。100万とかするDACって、8次LPFとか、オペアンプパラレル接続とかしてるんでしょうかやっぱり。
2008/06/04(水)最近読んでる面白いブログと近況
電子工作、エレクトロニクスの寄り道
抵抗の雑音特性を計ろうとしている方のブログです。
抵抗には低周波(1/√HZに比例する)で発生するフリッカ雑音というものがあり、抵抗体の材質によって異なります。抵抗による音の差はこの辺と関係しているのではないかと思ってますが、それを探求されています。
雑音考察の記事が非常に面白いです。古い記事に、詳しいお話が載っていてとても勉強になります。
Beginer Of Eternity (司の奮戦記)
オペアンプを調べていたら見つけました。ひたらすオペアンプの音質評価をされています。技術者のようで、信憑性がありそうです。評価回路図が載っていないのがちょっと残念ですけど、自分よりも耳がいいらしく色々と参考になります。
近況(最近考えてること)
ずっと気になっているのは、抵抗やオペアンプによる音質の違いの正体。
どうやらフリッカ雑音ではないかと思い始めています。ただし、フリッカ雑音が直接的に影響している(直接フリッカ雑音により音質が劣化している)とは考えてません。人間の耳は超鈍感ですので、そのレベルの雑音があっても分かりません。
フリッカ雑音は(一定電圧をかける等)定常状態に対して定義されています。しかしながら、この雑音の要因となるものは「信号の変動(電流変動)」に対してそれに比例した何らかのノイズを出すのではないかと思います。入力対してノイズを出すため信号を元歪めてしまう。
以上は仮説です。フリッカ雑音を直接測定するのも面白いとは思いますが、過渡応答特性を直接測定すれば差が出そうだなと考えています。そのためには測定系(再生装置と録音装置)が極力歪まないことが大前提になるので、測定出来ない今は耳で確認するしかないという。
聞き比べとか
DAC(U55SX, Prodigy192VE)もあれから色々いじってて、再生能力が上がり続けています。そのうち「これ以上差なんてわからん」というポイントに達するかと思ったのですが、まだのようです。
辛いのはオペアンプの聞き比べ。あの回路で比べる限り音質良すぎてよく分かりません(笑)。誰か耳のいい人、代わりに聞き比べてみませんか? むしろあのランク付けに否定的な見解が(あまり)出ないのが不思議です。オペアンプ音質比較キットとか出したら、みんな聞き比べてくれないかな(苦笑)*1
抵抗はNS-2Bで(値段はともかく)決着。直結状態という正解があるから、非常に評価しやすい。その点オペアンプは基準がないので評価が難しい、難しい。でも、LM6172で満足しててはダメそうなので、もうすこし探してみます。
2008/05/19(月)PFC回路で力率を改善すると消費電力は増える
2009/10/07 修正
UPSは本当は何分もつの? 有効電力と力率の話に書いたことなのですが、あの記事は詳しすぎて一般向きではないので簡単に整理しておきます。
- 力率と電力変換効率は無関係。
- なぜなら家庭の電力契約は力率を無視して電力積算する約束になっているため。
電源がバッテリー(UPS等)のとき、真の効率は「力率(%)×電力変換効率(%)」に比例するようです。←やや不正確
力率を改善すればあたかも消費電力が減るという広告がありますが、あれは嘘です。機器で消費電力自体は変わりませし、力率改善回路(PFC)が電力を消費するのでむしろ増えます。力率を改善することで電流は減るため、機器の手前の電源コードや屋内配線で消費される電力は減るという側面はありますが、PFCによる消費電力増加に比べたら微々たるものです。
このような理由により、請求される電気料金は力率を改善することで増えます。*1
もっとも、PFCの分だけ消費電力が増えようと力率改善は結果的に省エネにつながるので単純な敵視はよくないと思います。電源のノイズも減りますし。
参考
- UPSは本当は何分もつの? 有効電力と力率の話 ……やや詳細すぎ(このブログ内)
- PFCについて
PCM2901 USB-DAC/ADCの製作
TIから発売されている、USB-DAC/ADC ICであるPCM2901Eを使用して、回路を組み立ててみました。