2006/06/28(水)アンプ修理

これまでの様子。6/246/256/266/27

エミッタフォロアはなぜ発振するか?

Zobelネットワークを外してエミッタフォロア発振を招き、終段トランジスタを焼いたわけですが、あちこち学んだことを、実体験と合うように少し整理しておこうとおもいます。

エミッタフォロアは、ベース-コレクタ間の電源の線路L、トランジスタのベースエミッタ間容量Cbe、トランジスタのコレクタエミッタ間容量Coeによりコルピッツ発振回路となります……という説明をよくみかけるのですがいやそれ絶対おかしい。もしそれでコルピッツ型発振回路と見るならエミッタフォロアでなくても発振するはずです

ネットを検索してもほとんど情報がなく、とりあえす確からしいことをまとめると。

  • 負荷としてコンデンサのみを付けたとき発振しやすい
  • その対策として負荷と直列に抵抗を挟むと発振しにくくなる
  • ベースに入力抵抗を付けると発振しにくくなる
  • コレクタとGND間にパスコンを入れると発振しにくくなる
  • エミッタフォロアとして使用するトランジスタがのFtが数十MHz帯まで伸びてなければ発振しにくい
  • Zobelネットワーク(スナバ)を入れることで安定しやすくなる
  • (今回の経験として)スナバをはずしたのみでは回路は安定していたが*1、スピーカー負荷を繋ぐと発振した。

*1 : アナログテスターのACモードで確認

とりあえず

amp_emitter_reg.jpg

エミッタ抵抗は写真のとおり、たまたまあった0.51Ω+1Ωで代用しました。無誘導抵抗じゃないからおもいっきりLがあると思うけど……。写真下の壊れた無誘導セメント抵抗ですが、下に9Nとか書いてありますよ……。これ多分、中の巻き線に使ってる銅線の純度ですよね……。9N=純度99.9999999%……とことん金のかかってるアンプですなぁどうしよう、そんな高級品飛ばしちゃったよ(涙)

とりあえず、これ以上バラしておくとまたどこが壊れるか分からないので(違)またいつ冒険心に火が点くか分からないので組み上げて封印しました。今回作業して、不足した部品を買いだしたころ(7月末を予定)また分解してみます。というわけで、いったん終了。

amp_d907limited_kumi.jpg

2006/06/27(火)マルチタスクは苦手です

アンプ修理に取りかかった途端、adiaryの開発がストップして非難されたり、さらなるアンプの崩壊を期待されたりと……なんだかなぁ(笑) エミッタ抵抗(0.33Ω)が手元にないので本日は修理停止中ということで、過去のアンプ記事に写真でもアップしておきます。

そうそう、お車の調子が悪いと思ったらタイヤがこんなことになってました。

20060628_tyre.jpg

こりゃひどい。

2006/06/27(火)引き続き、アンプ修理

これまでの様子。6/246/256/26

損傷範囲

Zobelネットワークをはずしたことに高域発振による損傷ですが、

  • 10Aヒューズ1ヶ
  • L側終段トランジスタ4ヶ*1
  • エミッタ抵抗1ヶ(0.33Ω、5W、無誘導セメント抵抗)

となりました。ヒューズはどうにでもなりますし、終段トランジスタは事故を見越したかのように予備があるので大丈夫ですが(苦笑)、セメント抵抗がなぁ……。無誘導セメント抵抗なんでまずこの辺じゃ手に入りませんよ(汗)

amp_a1186_break.jpg

とりあえず手元にある部品として、10Ω酸化金属皮膜抵抗(たしか1W)を3個並列にしておこうと思います。ちなみにこの抵抗、強く磁石にくっつきますが(強磁性)気にしない方向で。ここのセメント抵抗は違うものに取り替えてみたかったので、いいきっかけといえばそうなのですが(微妙

メモ1メモ2

*1 : トランジスタは回路的に1つ飛べば4つとも飛ぶことは明らか

負帰還、正帰還、発振について

NFB(負帰還)における発振という話が、極(ポール)だの位相だのと書かれていましたその手の話はあれこれ本で読んでるので概念的には分かっている*2んですが、いまいち実態(回路)と結びつかずに困っています。

アンプの裸のゲインをA、帰還率βとしたとき、

負帰還の増幅率:1/β

ですが、

位相が反転したときの増幅率:Aβ

ということが話を理解しにくくする原因みたいです。これをデシベル換算で書くと

裸のゲイン(Ga) = 負帰還時の利得(Gc) + 位相反転する周波数帯に対する増幅率(Gb)

となります。言葉でまとめると、

NFBをたくさんかける=Gbを増やす=アンプ全体の利得(Gc)を減らす
NFBをかけない=GaとGcが等しい=位相反転しても怖くない

「出力→Ra→Rb→GND」のときのRb←→GNDが帰還電圧とすると

変化帰還率β全体利得Gc帰還量Gb
Raが増える減る増える減る
Rbが増える増える減る増える

*2 : 制御理論の伝達関数を解くことも出来る

Zobelネットワーク再考察

要するに特性の良いトランジスタでエミッタフォロアを組んだとき、それ単体で発振回路(コルピッツ型)となるらしい。(考察の続き

Zobelネットワークは、スピーカーネットワーク設計時に行うスピーカーユニットのインピーダンスが一定という仮定を満たすためにスピーカーユニットと並列に挿入されるもので、付けないと(音声帯域の)高域がキンキンしたりするそうです。そのために10Ω+1uF~0.047uFという比較的大きな容量のコンデンサが付いている(計算するとスピーカユニットのインピーダンスが上昇し始める1kΩ付近から効きはじめる)。電圧制御アンプ(通常のアンプ)である限り理屈の上では音質に影響はない*3

また、エミッタフォロアの発振防止のために、スナバ(=Zobelネットワークとほぼ同一)と呼ばれる高周波減衰用の抵抗+コンデンサが必要。こちらはおそらくMHzといった高域で十分な低インピーダンスにする目的があるとおもわれる。

この2つは目的は違うのだけども、回路としては同一で、しかも大は小を兼ねるから前者の形で実装されている……のではないかという仮説(まだ未検証です)。

*3 : 理想アンプならば音質に影響はない。回路安定の結果として音質が変わるという要因は除く

抵抗がない 2006/06/27

10Ω酸化金属皮膜抵抗(たしか1W)を3個並列にして

も3.3Ωだよ。必要なのは0.33Ωなのに……。しかし3つ並列にする作業をするまで気づかないってどうよ?(汗

2006/06/26(月)さらに修理続き

昨日一昨日の続きです 2006/06/26

写真アップしたいのですが、普通に使う分にはまったく問題ないPen3@800マシンも、630万画素の画像処理はさすがに重たい。Athlonマシン付けるか(笑

回路猛烈に勉強中。この前ジャンパしたコイルはアイソレーショタ(アイソレーション コイル)と呼ばれるもので容量負荷による発振を防ぐために必要らしいです……フルレンジしか繋げないからいいや(ぉぃ)。コンデンサと抵抗の直列の方はZobelネットワークと呼ばれる高域を多少減衰させたりこれまた発振防止の狙いがあるようです。単純に切るには危険そうなので、エージングをして聞き込んだあとで、時定数を下げる(効果のかかる周波数をあげる)か考慮してみようかと思います。(参考サイト

ネットで検索しても必要性は訴えてても、回路式=理論書いてないのばとうよ?と思うんですけどねぇ。おかげでいまいち納得できないです(苦笑) あとやっぱりオシロスコープとファンクションジェネレーターが欲しいなぁ……。というわけで今日はこれから、プリアンプの調整の続きです。

Zobelネットワーク

アイソレータは負荷容量対策ということである程度理解出来るのですが*1。Zobelネットワーク、いろいろ調べてみますがどうにも釈然としません。。Zobelネットワークというのはスピーカー端子と並列にRとCを直列挿入したもので(Rは10Ω、Cは1uF~0.047uFだそうです)、

スピーカーのL成分によって超高域でインピーダンス上昇を防ぐため

だそうです。が、だからどうしたよ? みたいな(笑) アンプというのは普通のアンプ*2である限り負荷(抵抗)に関わらず一定電圧を出すように作られています。インピーダンス上昇がもし回路を不安定にしてるのなら、インピーダンス無限大=スピーカーを接続しないと不安定ってことに。

スピーカーネットワークがあるときにはある意味必須らしいのですが(これはあとで回路立てて計算してみます)、それ以外にもやっぱり出力安定化のために必要とか。どうも勘違いしてたのですが、SEPPなDCアンプの最終段の出力はエミッタホロワだったと。つまり電圧は増幅しない帰還率100%の電流増幅器になっていて、その手前のドライバ段が終段の出力電圧を決める最後の電圧増幅段だったことのようです。その関係でZobelネットワークがある方が安定するらしいのですが……そこが解せない(^^;;

というわけでメモ1メモ2(5章)

*1 : 負荷によって動作が変わってしまうのがいまいち掴めませんが……

*2 : 電圧駆動アンプ=電流駆動アンプというすごい特殊設計でない限り

プリアンプをみてたら

回路図では2SB560/2SD438なところに2SA896/2SC1811がついてる。実はこのアンプ、手に入れたときは故障品でうちほどにも回路が分かっていない素人が手を加えた形跡があり、なんだかなぁー……と思ってたのですが、ついに部品置換を発見。

D907 Limited は一般にパワーアンプ秀逸、プリアンプイマイチと評されるので、その性能改善を狙ったものかもしれません。回路変えないでそこだけ変えても…(以下略)なんですが、検索すると悪い石ではないようなのでそのまま使うことにします*3。……と思ったら電源引き回しをして、どうも故障修理に挑戦した素人とは違う人がこの改造はしたみたいですね(しかもハンダの様子からすると相当昔に)。別にオリジナルにこだわる気質はないので、やはりこのまま堪能することにします(笑)

追記、試しにZobelネットワークを外して動かしてみたら1分程度で……終段トランジスタが燃えた(笑) というわけで非常に危険ですからみなさん試さないように!!(ぉぃ*4

*3 : sony製ってのはアレですが(笑)

*4 : また直さなきゃなぁ(汗)

2006/06/25(日)続アンプ修理中

昨日の続きです 2006/06/25

いろいろ調べた挙げ句、プリアンプ電源のコレクタがグランドと接しているという単純ミスでした(なむー)。というわけで、3.9Ωの不燃抵抗の代わりに4.7Ωのカーボン抵抗が(またかよ(汗))。無論あとで不燃抵抗に取り替えねばらないので、今回で修理完了にはなりそうもないです(^^;;

コンデンサエージングのため、昨晩一夜電源入れっぱなしで放置。最低100時間ぐらいエージングすべきだと思うけどもそれはそれ。出力ローパスフィルタは、D907Limitedの評判でたまに聞かれるキレのある低音の要だったらしく、その傾向はバッサリなくなりました(笑)*1 その出力ローパスの影響はすさまじく、一晩電源入れっぱなしで低音は出るようになったものの、サンスイアンプ独特の元気さも少なく若干つまらない音になりました(苦笑) どうも独特の味付けのだったみたいですね。(後注:アイソレータと呼ばれる容量負荷に対する補償回路であり下手に取ると危険です。またアイソレータはそこまで音質が変わるものではなさそうです。単なるエージングの問題の模様)

まだまだエージングしないと何とも言えないですけど。プリアンプのコンデンサ置き換えと接点の掃除をしたいところですが……今日中に組みあがるのかなぁこれ(汗

*1 : とはいえ出力に直列にコイル入るのは気持ち悪い。エージング終わったらあとでまた聞き比べてみてもいいかもですけど

聞き込んでみて 2006/06/25

プリアンプを通した方が音に味がある感じです(パワーアンプダイレクトの方が源信号に忠実なんでしょうけど)。多少エージングが進んだのかサンスイっぽい鳴りも若干戻ってきました。SNの高さは、名声どおりです。

パワーアンプ部と電源の劣化してる電解コンデンサは(要するに全部)MUSE-FGに取り替えてあるんですが、音の透明度はあるものの、解像度というか定位というかがまだイマイチな気がします。どこかで位相が回転してるんじゃないだろうか? 自作の小型バックロードホーン(FE83E)という時点でフラットな秀逸なF特なんてものは求めてないのですが、位相ずれ(回転)だけは起こって欲しくないです。というのも、歪みはもとより位相ずれも音に悪いような気がしてまして、昨日出力コイルを取っ払ったのもそのためです*2

サンスイの味を残しつつより広帯域化*3したいところ……と思いながら回路図を眺めています。*4

  • 終段ドライバ用トランジスタのデカップリング(電源平滑用)コンデンサが3.3uFの直列(実質1.5uF)になっているけど、ここには100uFぐらい付けた方がいいと思う。
  • パワーアンプ部はDCアンプ(SEPP)になっているんだけど、あちこちで正/負信号ライン間に何カ所も直接コンデンサがはさんであるのが気になる。一部外していいものやら……
  • パワーアンプの終段出力を0.047uFと10Ωの直列でグランドに落としてる(NFBとは並列)。高域発振防止? のようなこれもまた外したいような……危険です
  • プリアンプの結合コンデンサが100uF 35Vの直列になっていて、交換用に100uF 100vのMuse B.P.(無極性コンデンサ)を1ヶを買ってあるのだけど、ある程度電圧かけないとハンダ付け時のコンデンサの被膜が元に戻らないって話だからいかがなものかと……。突入電流のためには、たしかに60V以上の耐圧は必要なんだけど、50V 470uFぐらい付けたいところ。

*2 : 単純に直線的に位相がずれるだけまだ許せるのですが、抵抗と並列だったり直列だったりするとそれこそLPF、HPFになるので……

*3 : 帯域は仕様上DC~500kHzまであるのですが、音声帯域の位相ずれを極力なくしたい

*4 : とはいえ今は眺めるだけ。もっとコンデンサエージングが進まないと結論は出せない